90.学園での用事
リョウ視点です。
サクラの転移で学園の正門前まで飛んで来た俺達はこの後の予定をアベルにたずねる。
「アベル、用事があるって言ってたけど、どこに行くんだ?」
「ああ、とりあえずは教頭の元に行こうか、校長は忙しいことが多いらしいし、それほど話の時間も掛からないだろうからね。」
「わかった、じゃあ案内するよ。」
こうして俺達は教頭に会うために、まず職員室へと向かう。
校長室はあっても、教頭室はないから、先生達が集まっているところに行くのが1番だろう。
アベルやミロールを知っている人物がどれだけいるかわからないし、見つかったら面倒な事になりそうなので、人避けの魔力を全開に放ち、サクラにも協力してもらい、俺達と同等の実力がないと、近づくことはおろか、認識することもできない状態を作った。
こうして、特に問題なく職員室に着いたところで、アベルが扉をノックする。
少しして中から先生が出てきた。
レイ先生だった。
「何のようだ?ってお前は確かリョウだったか、ちょっと見ない間に大分実力をつけたみたいだな、それに横の女子は金クラスか、やっぱお前を金クラスに送って正解だったな、そんで用があるのはそこの兄ちゃんか、、、って!?、アベル王子!?、それとミロール王女!?、何の御用でしょうか?」
「はは、相変わらず元気そうで何よりだよレイ、ちょっと用事があってね、レイなら態々教頭に会いに行かなくてもいいか、実はお願いがあるんだ。」
「私に叶えられる事でしたら何なりとお申し付けください。」
「今は公の場じゃないから普通でいいのに、まあ言っても変わらないんだしいいか、お願いというのはほかでもない、僕とミロールをこの学園に期間限定でいれてもらえないか?」
「、、、え?、アベル王子今何と?、私にはこの学園に期間限定で入りたいと聞こえたのですが、、、」
「うん、その通りだよ、実はリョウには借りがあってね、そのお礼をしたかったんだけど、僕はまだリョウの好みを知らないし、必要になりそうな物も知らないからそれを知るには学園に入るのが1番かなと思って。」
《もちろん、グランバニアの学園との違いを見るという目的も含まれていますよ、まあついでみたいな物ですが。》
「いやミロール、本当はそっちが目的だからね、まあ僕もそれはついでと思っているけどね。」
「は、はあ、わかりました、私レイが承りました、この事は他の職員には伝えますか?」
「いや、出来るだけありのままを見たいから、ここだけの秘密にしておいてほしい。」
「わかりました、しかし、護衛等はどうしますか?、流石に校内であっても王子と王女に護衛無しはこちらとしても容認できないのですが。」
「そこは俺がやるから問題ない、顔を知られてる可能性もあるだろうから、その辺を誤魔化すアイテムも用意しとく、それじゃダメですかね?」
「いや、リョウが構わないならそれでも良い、俺としても、お前が護衛するなら問題ないと思うしな。」
「それじゃ、そういうことで俺に任せてくれ、アベル達もいいだろ?」
「僕は問題ないよ。」
《私も問題ないわね、ついでに私達の送り迎えもお願いできない?、寮に入るのも面白そうだけど、そこまで自由にするわけにはいきませんし。》
「わかった、転移があるから苦労もないしな、一応俺以外にもリナ達が護衛してくれるから、それほど行動に制限はないから安心してくれ。」
一応、護衛云々の話は出ると思ったため、リンクイヤーで聞いてみたところ、全員むしろ喜んで参加するらしく、一時は行動を制限してもらおうかとも思ったが、その心配もなくなった。
「流石リョウ、準備が早いね、じゃあレイ、今日のところは挨拶だけだからそろそろ帰るよ、校内で見かけたらよろしくね。」
「はい、アベル王子達もご達者で!、それとリョウ、2人の事は任せたぞ?」
「はい、お任せください、2人の安全は保証します。」
こうして、俺達は職員室をあとにして、俺は歩きながら道具生成を行う。
産み出すのは、魔力を思い通りに変化させられるようにする指輪を作る。
まあ、俺の魔力が込められているから、本人達に負担は全くない。
これはいざというときの防犯の為でもある。
俺の魔力を武器とかに変換すれば、道具生成程の物はできないが、身を守る事くらいはできるようになっている。
しかも、その武器は本人の思う物になるため、2人のイメージ力にもよるが、それによってはかなりの力になるはずだ。
俺はついでにその対となるリングも作り、離れていても俺が魔力を補給出来るようにもしておいた。
それをアベル達に説明すると、大喜びしてくれたので、作った甲斐があった。
すると、アベルがこんなことを言ってきた。
「リョウ!、早速使ってみてもいいかい?、それにまだ夕飯まで時間もあるし、この前の魔力や生命力の扱い方も教えてもらいたい!」
《私も同感ですわ、兄さんと私の実力は同じくらいですし、練習相手としても丁度良いはずです。》
「わかった、それじゃ俺達がよく訓練してる体育館に向かおうか、リナ達もいるみたいだし。」
《それは楽しみね!、私に下心を持たずに接してくれる人は滅多にいないし、同姓になると更に減ってしまうから、リナ達と話すのは貴重な時間なの。》
《確かに、それだけ容姿が整っていて、地位もあれば良からぬ事を考える連中はうんざりするほど寄ってくるわよね、せめてオーノスにいる間はそういうことを忘れて一緒に楽しみましょう!》
《お気遣いありがとうサクラ、そうさせてもらいます!》
「まあ、こっちはこっちで楽しもうなアベル。」
「そうだね。」
こうして俺達は別校舎の体育館へと向かった。
次回更新は7/26です。
引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークをお待ちしております。