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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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88.町巡り

リョウ視点です。

《リョウ!、朝ご飯出来たわよ!》


再びサクラに声をかけられ目を覚ました俺は、既に席決めを終えたリナ達がテーブルについていた。

俺待ちだったようで、慌ててベッドから起き上がり、テーブルにつく。

まだ眠気は覚めないが。


「すまん、待たせたな。」


『丁度席決めが終わったところなので、問題ありませんよ、旦那様。』


マドルの言葉に頷くリナ達。

その言葉通り、料理はどれも出来立てのように湯気があがっており、食欲をそそる香りが辺りへと拡がる。


「それなら良かった、そんじゃいただきます。」


俺の言葉と共に、それぞれ食前の挨拶を済ませ、料理に手を伸ばしていく。

こうして毎日マドルの料理を食べているのだが、日を追う毎にどんどん美味しくなっていく。

毎日作っていれば確かに腕は上がるのだろうが、それでも明らかに美味しくなるスピードが速い。

スートもサクラも技と魔法の成長速度が俺も驚くほど速い。

まだ確信は持てないが、リナ達は何か一芸に関していえば、俺やシノグを超えるスピードで成長できるのかもしれない。

俺が弱くて良い訳ではないが、リナ達が強くなる分には俺の心配は無くなる。

自分自身を守れるようになってくれれば、俺達を襲ってくるような連中を問題なく蹴散らせるだろうからな。


食事を終えた俺達は、それぞれの予定があるため、各々準備を整えて部屋を出ていく。

そして、俺とサクラは今日の予定を話し合っていた。


「それでサクラ、俺との時間を作りたかったって言ってたが、何するんだ?」


《えー、そこはリョウが決めるものでしょ?、私はリョウが立ててくれた予定をリョウと一緒に過ごしたいだけなんだから。》


「ようするに何でもいいって事なのな、じゃあとりあえずは町に出ようか、校内に残ってても面倒事に巻き込まれるだけだろうし。」


《わかったわ!、問題の起こる前に学園を出たいし、転移で行くわよ!、転移、正門!》


またもや、俺の意見を聞く前に強引に飛ばされた俺は、もう文句を言うのも疲れたので、そのままサクラと手を繋いで町中へと向かった。

今は朝ご飯を食べ終えた時間なので、これから活動するのであろう冒険者達や、日が昇りきる前に買い物を済ませようとする主婦達で溢れている。

とはいえ、夕方程ではないので、歩くのにそれほど苦労はしない。

俺とサクラはそんな人混みの中を歩きながら、様々なお店へと入っていく。


装飾品を売っているお店、骨董品を売っているお店、屋台、スイーツを出すお店等、数えるのが開始数分で面倒になるくらいの勢いで回っていた。

それが出来たのは、ほとんどのお店は入ってはすぐ出てきたからなのだが。

俺とサクラはスイーツで有名なお店の中で、それぞれ注文したスイーツを食べながら町巡りの感想を話し合う。


《魔力と生命力を見えるようになってからお店を渡り歩くと、各お店の差が激しすぎて笑えてくるわね。》


「まあ、あれだけ店があれば、素人から達人まで様々な人が経営しているんだろうし、差が出てくるのは仕方ないだろ。」


《それでも!、同じ商品で品質が悪い方が倍くらいの値段するのはおかしいわよね!?》


「しかも、それを誤魔化すように装飾している所がまた巧妙というか、ずる賢いって感じだったな、まあ俺は2度と行かないけど。」


そう言って俺とサクラが愚痴っていたのは、学園から比較的に近い場所にある武器屋だった。

ダスガリットを見つけた時の事もあるため、一応入ってみたのだが、そこには粗悪品と呼べるような剣や槍を装飾で誤魔化して高く売っている物がほとんどだった。

俺とサクラは魔力も生命力も見えるので、そんな装飾がされていても、その武器の持つ存在感を感じ取れる為、呆れを通り越して感心すらしてしまった。

こんなものを売っていて、よく問題が起きないなと。

俺達がそんな感想を抱いているなど思ってもいないであろう店主の元には、学園から来た生徒達がその装飾された武器を俺たちに見せびらかしながら買っていた。

俺とサクラは苦笑いだったのだろうが、優越感に溢れていた生徒達には、俺達が悔しそうにしているように見えたらしい。


「お前達金クラスの奴らには買えないだろう、武器は良い物を揃えなければ実力は発揮できないからな、最もお前達みたいな落ちこぼれに発揮するほど実力があるかはわからないけどな!」


馬鹿笑いしながら去っていった学園の生徒達、その後もぞろぞろとやって来ては同じような事を言って学園に戻っていった。

俺とサクラはそんな彼らを哀れに思いながら、この店をあとにしたのだ。


その事を思い出してしまった俺とサクラは、どうしてもため息が出てしまうのを抑えられなかった。


「あんな奴らが学園トップクラスの紫クラスと銀クラスで良いのか?、正直あんな装備で出せる実力がどれ程低いのか知りたいってのはあるんだが。」


《私だって、ついこの間リョウに解放されるまではそこそこ実力のあるクラスだと思ってたんだけど、あんなのしかいないなんて予想外だわ。》


「そう考えると、あんな奴らの多いクラスで代表にいるイルデやドーラには同情しか浮かばないな。」


《そうよね、まさかリョウのカリバーンとかレイワロンとか見てもあんな反応が出るなんて、正直アホらしかったわ。》


「まあ、金クラスってだけで侮っててそんな事は考えられないんだろ、こりゃ予選会終わりにどうなるか見物だな。」


《そうね、リョウにシノグ、スートにカリバーンにソルンが出るんでしょ?、もう負ける様子が思い浮かばないわね。》


「まあ、学園内を魔力で索敵する限りで相手になりそうなのは、数人しかいなかったしな、それも先生を含めて。」


《何か魔力とか生命力が見えるようになっちゃうと、今まで自分がどれ程騙されていたのかわかって悲しくなるわね、同時に一流も見つけやすいからメリットの方が大きいけど。》


そう、今俺達が寄っているスイーツの有名店(フェスイ)は、俺とサクラが魔力と生命力が見える状態で、スイーツなのに半端ない存在感を放つ商品を数多く産み出しているお店だった。

実際に食べてみると、俺が今まで食べてきたスイーツは何だったのかと思うほど、美味しい物で、それでいていくらでも食べれるほど病みつきになる物だった。

なまじ、底辺のようなお店を見てきたあとだった事もあり、このオーノスの町にもちゃんとしたお店があるのだと、何故か感動した。

そうして、ゆっくりとした時間を過ごした俺達は、再び町へと出て一流の店探しを始める。

同時に町を歩く人達の魔力や生命力も探っていく。

ほとんどの人がどちらも低く、冒険者であろう人達を見ても、金クラスにいるメンバー達の足元にも及ばない人達が多かった。

本気でこの町の安全が心配になり、いざとなった時は、俺達が何とかしようと決めた。


だが、そんな中で他とは明らかに異なる、それこそシュウに匹敵するかのような存在感を持つ人物を見つける。

大きな鎌を持ち、ローブのような物を纏い周囲に溶け込んでしまいそうな人物なのだが、身長が2メートルほどあるため、かえって目立っている。

顔立ちはちょっと厳つく、目力が強いといえばいいのか、ともかく鋭い目付きで、よりその人物を近寄りがたいものにしていた。

そして、極めつけは鍛え抜かれた身体、ローブから出ている部分から見える筋肉は、鋼のように固そうで、もしかしたら剣や槍の攻撃を弾けそうな程だった。


こんな人物もいるのかと感動して、ぜひ話を聞きたいと思ったのだが、今はサクラと一緒にいるため、残念ながら諦めることにした。

そして、再び町の人々を観察していく。

だが、あの人と匹敵するような人は見つけることはできなかった。

そのあともお店巡りを繰り返しながら一喜一憂する俺とサクラ。

こうして俺は久々に訓練のないゆっくりとした時間を過ごした。




次回更新は7/24です。


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