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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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85.スートと模擬戦

リョウ視点です。

再び別校舎の体育館へと戻ってきた俺とスートは、一応朝ご飯を食べた後なのもあり、準備運動兼個人訓練を始める。

スートはどうかわからないが、俺は自分の訓練を行いながら、スートの様子も見ていく。

俺の作った槍をおそらく自己流なのだろうが、俺とはまた違った動き方をしながら、技を構築している。

ただ、それは俺が戦闘をしていないからこそわかる物であり、実際の戦闘中にあの技の構築を見極めるのは相当難しいだろう。

初見ならまず不可能で、知っていてもそれに集中力を持っていけば、他が疎かになってしまう。

大した実力を持っていない者からすれば、スートは技が強力で、それに頼っているように見えるだろうが、それは大きな間違いであり、そんな考えを持とうものなら、スートの技を見る前に実力でやられるだろう。

それくらい、スートは元の戦闘力も高く、それでいて強力な技を操れる。

しかも、日々イメージ力を磨いている影響からか、クラス内トーナメントからまだそれほど日が経っていないにも関わらず、技の構築の精度というか、完成度が劇的に上がっている。

それこそ、俺やシノグの成長速度と変わらないくらいに。


だが、俺とシノグと異なる点は、一点特化で技を鍛えているという所だ。

俺やシノグなら、スートと同じ速度で技を成長させながら、他の地力を上げることもできる。

まあだとしても、俺やシノグの成長速度とタメをはれる物があるだけでも十分驚きなのだが。


そうして、準備運動を終えた俺達は早速互いに向き合い、模擬戦の準備を整える。

2人で訓練する以上、ずっと個人訓練をしていても仕方がない。

そして、俺が考える最も効率の良い訓練は模擬戦だ。

まあ、俺とスートだと今の段階では実力がかなり離れているため、スートの心が折れる心配はあるのだが、おそらく無いだろうという確信があるため、模擬戦に躊躇はない。

そして、(並列思考)や(分析)がある俺が模擬戦をすれば、対戦相手の苦手な部分や動きの癖も掴め、実力差があれば、それを克服させるような攻めもできる。

それに、実感がないからわからないのだが、俺には(グロウサポート)もある。

訓練相手としては完璧だろう。

それに、俺としても強力なスートの技を打ち破れるようになることは、経験としてかなりのプラスになり、俺のマスターオブウエポンの訓練にもなる。

こういったいくつもの理由があるため、俺は模擬戦こそが最大の訓練方法だと思っている。

そんな事を考えていたが、いつまでもこうしていても仕方ないと思った俺は、早速模擬戦を始める為、コイントスを行う。

ルールはいつも通りで、今回は普段使わないフリスネイドを使うことにした。

シナイルードンは、基本的に模擬戦で使うと、差が圧倒的に開いてしまうため、使わない。

最も命懸けの戦いとかなら別の話だが。


打ち上げられたコインが、集中している俺にはゆっくり落ちてくるように見え、スートも集中しているため、俺ほどではないにせよ、同じような感覚なのだろうと予想しながら、地面に落ちると俺とスートは同時に動き出す。

スートは投槍、俺はフリスネイドでの攻撃。

だが、この場合手から離れたスートの槍は自由に操れないが、俺のフリスネイドは自由に操れる。

そのため、俺はスートの槍を弾くような軌道でフリスネイドを動かす。

そして、スートの槍を弾き軌道を変えた瞬間、槍が俺に向かって更に軌道修正し、俺の一瞬できた隙に2つに別れ飛んで来る。

慌てて、フリスネイドで弾きにいくが、今度は俺のフリスネイドを弾き返しながら飛んで来る。

これは、おそらく俺のマスターオブウエポンのような物なのだろう。

武器の意思を読み取り、力を引き出し、自由に操る。

それを完璧にではないが、スートはやっているようで、これに対応するのなら、マスターオブウエポンを使わなければならないだろう。

ただ、あれはまだ俺が完全に操れていないため、使うのに少しだけ時間が必要になる。

けれど、今の段階ではとてもじゃないがそんな時間はなく、同時に技での相殺も間に合わないだろう。


けれど、相手と同じ動きをするのなら話は別だ。

見ているものを吸収し、自分のものにするのは俺の得意分野なのだから。

俺はフリスネイドの意思を読み取る事に集中する。

スートの槍が迫ってくるが、どうせ中途半端では防げない。

構わずフリスネイドから力を引き出す。


「ウエポンリード!」


俺の言葉でフリスネイドの存在感が一気に増し、剣の状態に戻ったフリスネイドでスートの2つに別れた槍をそれぞれ弾き飛ばし、フリスネイドをばらして追撃する。

技同士のぶつかり合いを制するのはイメージの強さ、スートが技に優れているとはいえ、まだまだ俺のイメージに勝つことはできない。

それを理解していたようで、フリスネイドに弾かれた瞬間にスートは槍を手元に戻し、オーラ状態にして俺のフリスネイドを迎え撃つ。

技同士ではイメージの差で俺が有利だが、それにオーラ状態が付けば話は変わる。

そして、フリスネイドは今ばらしているのもあり、オーラ状態にしても密度が違うため、威力がスートのと比べて劣っているため、拮抗する。

俺はあらゆる方向からフリスネイドを当てようとしていくが、そのことごとくを槍で弾いていくスート。

それでも、槍で弾き損ねたら駄目なスートに比べ、俺はこのまま攻撃していけば良いだけなので、そのアドバンテージは大きい。

このまま攻撃していても問題なく勝てるだろうが、それだけでは模擬戦の意味がないため、スートの動きから反応が甘い所を、少しだけ攻撃を遅くして当てにいく。

だが、スートにとっての弱点の場所を狙っているため、反応が鈍い。

これだけ遅くしているにも関わらずに、反応がやっとなくらいだ。

それでも直撃を受けないだけ優秀なのは確かだ。


それを続けていると、ようやく俺の攻撃に慣れてきたのかさっきよりも反撃が早くなっていく。

それに合わせて攻撃スピードを上げて、新しくできた弱点を狙っていく。

しばらくそんなやり取りを続けていたが、防戦一方の状態でいたのが影響したのか、動きが鈍り、俺の攻撃を防げず、模擬戦が終わる。

それでも、模擬戦を始めてから3時間ほど経過していたのを考えれば上出来だろう。


「今の模擬戦だけでも大分経験を積めたはずだ、休憩も兼ねてそれをまとめたら、もう一回やろう、そんな感じで今日はやっていこうか。」


《わかった、次こそは攻撃を入れてみせる。》


「ああ、期待してる。」


俺は攻めているだけだったため、大分余裕があるので、空いた時間にマスターオブウエポンの訓練をすることにした。

疲労具合からしても、マスターオブウエポンの訓練終わりにスートと戦えば丁度いいくらいになるだろう。


「マスターオブウエポン!」


まずは、俺の武器達を呼び出し、武器達の声を聞くことに集中する。

まあ、実際に話すわけではないので、あくまで意思を感じ取るのだが。

すると、各武器達が自分達の使い方を教えてくる。

一辺に話してくるのが難点だが、何とか(並列思考)で聞き取る。

そして、それぞれの要求通りに武器を操る。

自分で使うときと同じかそれ以上の感覚で使える武器達、それを自由自在に動かし、更に武器の求める動きに身体を慣らしていく。

精神をガリガリと消耗させていくが、とりあえずは気にしない。

そうして、スートが休憩している間中ずっと訓練をしていたのだが、さすがに限界になったため、俺も休憩することにした。

俺の成長速度もあって、ようやく武器達の力を引き出せてきたのだが、何となくまだ完成では無い気がする。

それが何かはわからないのだが、いずれわかる時が来るだろう、その時まで実力を磨けばいい。

そうして休憩していると、スートに声をかけられる。


《リョウ、続きやろう!》


「りょーかい。」


こうして俺とスートの2回目の模擬戦が始まる。

次回更新は7/21です。


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