84.転移魔法は難しい
リョウ視点です。
~~~~~~♪
いつものアラームで目を覚まし、周囲を見渡す。
リナ達は既に訓練に出掛けたようで、部屋には俺とマドルだけだった。
そのまま少しの間ボーッとして、目が完全に覚めるまで待つ。
それから数分すると、ようやく目が覚めたので、リンクイヤーでそれぞれのいる場所を探す。
リンクイヤーを持ってる人数が増えてきたが、それでも問題なく誰がどこにいるのかはわかる。
まあ(並列思考)が無かったら判別するのは大変だったと思うけどな。
そう思いつつ、リンクイヤーを作った時には既に(並列思考)を持っていたので、そんな可能性を考えても仕方ないと思い、俺はリナ達が集まっている別校舎の体育館へと向かう。
今までは人避けの魔力を撒きながら移動していたのだが、転移魔法を覚えた今なら気にする必要はない。
それに、リンクイヤーで相手の魔力を探知できるため、その人物の元に飛ぶのも簡単にできる。
いずれはリナ達にも覚えていてほしいと思いながら、俺はマドルに朝の挨拶を行い、体育館へと向かう。
「おはようマドル、俺も訓練に行ってくるな。」
『はい旦那様、お気をつけて。』
「転移、リナ!」
1番親しみのあるリナの魔力へと向かって飛んでいく。
リナ達なら誰でも飛べるとは思うが、その辺は気分の問題だな。
そうして体育館へと到着すると、突然の俺の登場に驚きを浮かべる金クラスのメンバー達、リナ達は昨日にも体感していたからか、それほどの驚きはなかったみたいだが。
それと驚いてはいたが、すぐに我に返り質問をぶつけてくる2人。
「リョウ、今のは?、俺には突然リョウが現れたように見えたんだが。」
〈また新しい何かか、いくらなんでも覚えが良すぎるぞ?〉
シノグとシュウが一方は疑問を、もう一方は苦笑を浮かべていた。
そんな2人の気持ちも理解できるなと思いながら、昨日の出来事を説明し、転移魔法を習得した事を伝える。
そうなれば早速やり方を聞いてくる2人、当然転移魔法などという便利な魔法を使いたいのはみんな同じであり、俺はやり方を説明する。
最も、俺のやり方は特殊なのを理解していたので、フリルに教わったやり方を教えることにしたのだが。
飛びたい場所のイメージを固めて、魔方陣を作り、それを繋ぐ。
これは1度準備して、消されない限りは機能する物だが、その分魔方陣を隠すのが難しい。
みんなそれがわかっているようで、俺がやっていたやり方を聞いてきた。
それはそうだろう、俺はやり方を魔方陣を用意してもいないのに、昨日突然飛んできたのだがら。
俺のやり方を実行するためには、魔力の判別が出来なければならないことを伝える。
その上で、相手に飛ぶ時にはその相手の魔力へと自分を飛ばすイメージを固める必要があること、その難易度は魔方陣で補わない以上格段に上がる事を説明した。
事実、まず魔力の判別が出来るのが、リナ達とシノグとシュウだけだった。
なので、まずはペアを作らせて、お互いの魔力が見えるようにする所から始めた。
当然すぐに出来るわけではないため、しばらく2人組で魔力を見る訓練へと移行する金クラスのメンバー達。
そんなクラスメイト達を尻目に、俺達は既に魔力の判別は出来るし、リンクイヤーもあるので、一段先である飛ぶイメージを固める所から始める。
この体育館内でそれぞれ距離を開けて、飛ぶイメージを固める訓練を行いながら、実際に転移魔法を試してみる。
しかし、イメージを固めるのが難しいらしく、未だに転移できない。
結局俺達がマドルに呼び出しをかけられるまで続けていたが、覚えられたのは1人もいなかった。
何となく予想は出来ていたので、俺はそれほどのショックはない。
それに、あくまで俺の感覚だが、それほど遠くないうちに転移魔法を覚えられるような気がしている。
だからこそ、それほど心配はしていない。
そんな俺の様子に気がついていたのかはわからないが、転移魔法を覚えられずに、若干落ち込んでいたメンバー達は少しだけ元気を取り戻したみたいだった。
そして、お手本を見せるという意味で、全員の魔力と俺の魔力を同調させ、俺達の部屋へと飛ぶ。
「転移、マイルーム!」
独特な感覚と共に、瞬時にと表現できるスピードで部屋へと戻ってきた俺達は早速料理が冷めない内に食べるため、席に着く。
今日の料理は昨日食べ損ねてしまった料理のため、結構な量があったのだが、転移魔法でかなり疲れたようで問題なく食べきれてしまった。
ちなみに、今回の俺の隣の席はリナとスートだった。
昨日、フランと自由日を交換したため、今日の自由日はスートとなっている。
片付けを終えた俺は、今日の自由日であるスートと今後の予定を決める。
「スート今日はどうする?」
《訓練!、転移魔法早く使いたい!》
「わかった、それじゃもう一度体育館に戻るか、転移、別、体育館!」
こうして今日の予定は1日中訓練に決まった。
次回更新は7/20です。
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