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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
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83.ロード=ドラク=グランバニア

リョウ視点です。

「さて、みんな揃ったことだし料理が冷める前に食べようか、改めて今日は危ないところを助けてくれてありがとう、これはささやかなお礼だと思って遠慮なく食べてくれ。」


そういって立ち上がって食事の音頭をとったアベルが席に着くと、それぞれが食事前の挨拶を済まして料理に手をつけていく。

肉料理、魚料理、ご飯もの、麺類、揚げ物、果物など様々な物がテーブルに並び、それをトングのような物でお皿に取り分けていく。

どの料理も美味しく、いくらでも食べれるようだった。

心なしか身体に力が湧いてきて、調子がよくなった気もする。

そんな料理に満足している俺の対面では、普段料理をするリナ、リンダ、サクラ、マドルは数々の料理を味わいながら、自分の作る料理の参考にしようとしているようで、近くにいるメイドさんに材料や調味料などを聞いていた。


その他のメンバー達は、普段食べられないような料理を可能な限り楽しもうと、際限なく食べ続けていた。

その割にはテーブルマナーは俺が見る限りではだが完璧にこなしているのだから苦笑いをするしかない。

普段はもっと食べ方が雑な彼女達だったが、流石に王族の前なのを理解しているのか、普段よりもきちんとしているのを見る限り、ちゃんとテーブルマナーは学んでいたらしい。

そんな彼女達を羨ましそうに見る人物が1人。

もちろん俺だ。

料理は物凄い美味しいし、対面にはリナ達がいるからいくらかリラックスもできる。

しかし、両隣にはアベルにミロールと王族の2人が並んでいるのだから、マナーを意識しすぎてぎこちなくなってしまう。


そんな俺を見ながら微笑ましいといった表情を浮かべているアベルとミロール。


「リョウはこういった場は不慣れなようだね、初々しくて見ていて微笑ましいよ。」


《普段は強気なのにこういう所には慣れていないのを見ると、何というか母性をくすぐられるわ。》


そう言って俺の慣れないテーブルマナーを見て感想を伝えてくる2人にイラッとしつつも、事実なのは確かなので反論できない。

その代わり不満です、と言った視線を2人に送っていたのだが、それすらも流されてしまった。

そんな様子に遊ばれている気がして、納得いかなかったが、何を言っても無駄なのは予想できるので、渋々料理を食べる事に集中する。

そんな中で視線を感じて対面を見ると、リナ達もアベル達と同じ表情をしていたため、また来る機会があるかはわからないが、次に来たときにはばかにさせないと心に決めた俺だった。


アベルは時に俺をからかい、ミロールは女同士で盛り上がりながら、楽しい食事の時間を過ごしていると、1人の人物がこの部屋へと入ってきた。

一目見た瞬間、先程までの和やかな雰囲気から一気に緊張感に包まれたのがわかった。

緊張感というよりも、入ってきた人物から放たれるプレッシャーと圧力が大きい。

だが、俺もそんな物に負けてはいられず、そのプレッシャーをはね除け、それを上回る圧力を送る。

リナ達もプレッシャーに負けてはいないが、押し返すことはできないみたいだ。

アベルとミロールに関しては、少し辛そうな顔をしている所を見ると、これを打ち破れる力は持っていないことがわかる。

まあ、それが今は、なのか、これからも、なのかはわからないが。


とりあえず、部屋に入ってきた人物はまさか自分のプレッシャーを返されるとは思っていなかったようで、多少の驚愕と愉快そうな表情を浮かべていた。


「がはははは、まさか儂のプレッシャーを跳ね返されるとは思わなかったぞ!、それにそこにいる美人達もプレッシャーを打ち消している!、アベル、ミロール、これほど愉快な人物を連れてきたこと感謝するぞ!」


そんな事を言いながら大笑いする男。

年齢は40代くらいか、整った顔立ちは歳を重ねた事で、アベルやカリバーンのような誰からもモテるような顔ではなく、その人物の生きてきた歴史が表情や、雰囲気を作り、貫禄をもたらしていた。

そして、溢れる魔力と生命力、それは最近力を伸ばしているリナ達をも上回る。

その他にも、優雅さと力強さを併せ持つ立ち振舞い、視線の動かし方、こちらを観察する様子など、この人物の実力が窺える。

俺がそんな(分析)を終えると、ようやく我に返ったアベルがそんな男に話しかける。


「父上、来るなら来るって言ってください、彼らは僕の客人なんですから。」


「がはははは、いやー済まないな、丁度帰って来た所に客人が来てると聞いて、それがアベルの恩人と聞いたものだから、どんな人物かこの目で見たいと思ってな!、それにしても予想以上の人物だった!、いやー、愉快愉快!」


《お父様、嬉しいのはわかりますが、少し落ち着いてください、お父様が来るとは思っていなかったから、リョウ達には紹介もしていないのだし。》


「おお、そうだったな!、あまりに愉快だったからかすっかり忘れていたぞ!、儂はグランバニア国王ロード=ドラク=グランバニアだ!」


「そんな訳で僕の父さんだ、リョウ達も自己紹介を頼むよ。」


そんなアベルの言葉に俺も自己紹介を行う。

最も王族の頂点である国王相手なのだから、言葉遣いや言い方を考えなくてはならないため、少しだけ面倒だと思ったのは秘密だが。


「挨拶が遅れてしまい申し訳ありませんでした、私はエジマリフ魔導学園金クラスのリョウ=テンジンと申します、国王様に会えて感激です。」


俺の言葉遣いや行動に感心するような表情を見せるロード。

何とか自分の中で最も丁寧な挨拶が上手くいって良かったと思う俺だった。


「という訳で父上、彼が僕の恩人で友のリョウだよ、それで父上、まだ食事の途中だから良かったら一緒にどうかな?」


「それは良い提案だな!、儂も腹が減っていた所だったからな!」


そう言ってミロールのいた席に座ったロード、その様子に呆れていたミロールだったが、どうやらリナ達とももっと話したかったようで、俺の対面に移動していった。

そうなると、俺はアベルとロード、グランバニアの現国王と次期国王に挟まれるという余計に落ち着かない空間を作られてしまった。

だが、そんなの関係ないとでも言うかのように、食事前の挨拶を行い、さっさと料理を食べ始めるロード。

国王にも関わらず自由な様子に、俺の中の国王というイメージとあまりに違っている事に苦笑いを浮かべるしかなかった。


そんなロードの合流というイベントがあったが、食事を再開した俺達は、料理を食べながら雑談をしていた。

ミロールはリナ達と何やら盛り上がり、俺とアベルとロードは男同士で盛り上がっていた。

その中でも特にロードが興味を持ったのは、案の定先程の道具生成の件だった。

俺はその時に実際に作ったリンクイヤーを見せ、その効果や使い方を説明する。

先程は流れてしまったが、これは元々アベルに渡す予定だったので、ロードに見せたあと、丁度いいと思い、アベルに渡した。

そうなると、ロードが黙っているはずもなく、儂にも作れ、報酬を出すから、と言ってきたので、道具生成でリンクイヤーをもう1つ作り出した。

俺がリンクイヤーを作り出す様子を見て、子供のようにはしゃぐロードを見ていると、何となくグランバニアがどんな国なのか想像できるような気がした。


こうして、リンクイヤーを2人に渡し、食事を食べ終わると、執事やメイドさん達が片付けをしていく。

俺たちも手伝おうとしたのだが、客人に仕事をさせるわけにはいかないと、きっぱりと断られてしまったので、厚意に甘えることにした。

そして、食事が終わると、食事前にミロールと途中で中断してしまった魔力、生命力についての説明を再開することにした。

まあ、当然のようにアベルとロードが加わり、リナ達は復習も兼ねて説明を聞きにくる。

そんな中で俺は、言葉だけでは伝わらないと考え、いつも通りに映像を作りだし、実際に行い、言葉で補足する。

そして、一通りの説明を終えたところで実践してもらう。

まあ、すぐに俺達のように出来るわけがなく、まずは魔力を感じ、操る所から始める。

意外な事に最初に魔力を操れるようになったのはアベルだった。


「これは凄いね!、僕も魔法については知識として知っていたけど、これはそんなものよりも実戦的だ!」


そう言って嬉しそうにするアベル、次に出来たのはロード、未だに出来ないのはミロールだった。

しかし、この2人が魔力を操れるようになるまでかなり時間が経ってしまっている。

結局俺達の帰る時間になってしまい、最後までミロールは魔力を操ることが出来なかった。

それを悔しそうにしていたのだが、あとは本人の努力次第な所もあるので、ミロールの頑張りに期待するしかなかった。


そうして見送りに来るアベル、ミロール、ロード、王族3人に見送られるという贅沢過ぎる体験をした俺達。


「リョウ、今日は本当にありがとう、助けてもらったのもそうだけど、魔力の扱いとか教えてもらえて楽しかったよ、お礼は熱中し過ぎて準備できなかったから、後日学園に渡しに行くよ。」


「リョウ、儂にも教えてくれて感謝するぞ!、何かあったら頼ってくるがいい!」


《リョウ!、次に会うときにはマスターして見せるからね!》


「こちらこそ今日は楽しかったので、ありがとうございます、機会があればまた会いましょう。」


そうして挨拶を終えた俺達は学園に戻る。

最も、転移魔法を覚えた俺がいれば移動も楽なのだが。


「転移、マイルーム!」


こうして俺達は王族との食事会という滅多にない経験をし、その影響からか疲労感が襲ってきたため、すぐさまベッドにはいる。

最もリナ達は俺の添い寝をかけて争っていたのだが、俺にそれを最後まで見る元気はなく、結果を見る前に深い眠りについた。




次回更新は7/19です。


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