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作者: 佑美

少し大人向けの童話です。


雰囲気は少し暗いですが、実はとても明るいお話なんです。


とても幸せのお話です。

僕は、お空の上でたくさんの仲間たちと楽しく暮らしていました。

そこは美しい花がいっぱい咲き、小川のお水はキラキラ光って、心地よい風がさらさらと吹く素晴らしい場所でした。動物たちはみんな仲良く寄り添い、美味しい食べ物をたくさん食べ、病気もなく、争いもないとても美しい場所でした。

人も動物も鳥たちも、ここにいるすべての生き物が幸せでした。


ある日、僕はお空の上から地球を見ていました。青くてとても美しい星です。

「あそこに行ってみたいな」

僕は言いました。

すると仲間たちは、口を揃えていうのです。

「あそこは恐ろしい場所なんだよ。苦しみや悲しみばかりがあふれてる」


僕にはどうしてそんなことを言うのかわかりませんでした。とても綺麗な星なのに。


「ほらあそこをよく見てごらん」

仲間たちは、震えながら地球を指さしました。僕は、地球を深く覗き込みました。


すると、細くやせた子供たちが見えました。お腹が空いて泣いています。

病気になった人たちが、病院に行けず苦しみながら泣いています。

犬や猫たちが、人間に捨てられ悲しみに泣いています。


僕の目から、ポロリと涙がこぼれました。初めて流した涙でした。そこは、あまりに悲しみに溢れた世界だったからです。

「僕は地球に行くよ。泣いている人たちを助けにいくよ」


「 地球へ行ったら、ここにいたすべてのことを忘れてしまうんだよ。泣いている人を助けに地球に行ったことも忘れてしまうんだよ。それでも行くの?」

仲間たちは心配そうに僕を見つめました。


「僕はきっと思い出すよ。そして、お腹が空いてる子供に食べ物を、捨てられた動物たちに暖かいお家を、そして病気で苦しんでいる人の助けになるんだ」


それから僕は、仲間たちにお別れを言いました。さようなら、行ってきます。



それから、僕は地球のママのお腹に向かって飛んで行きました。




僕には、ママとパパと犬のジョージがいました。

ママはいつもおいしいご飯を作ってくれました。パパは、ぼくにたくさんのおもちゃを買ってくれました。犬のジョージは、いつも僕のそばを離れませんでした。


僕はとっても幸せでした。だけど、なにか忘れている気がするのです。



ある日、ママが病気になり入院してしまいました。

パパは僕にこう言いました。

「大丈夫、ママはすぐに元気になるよ」


だけど、ママがお家に帰ってくることはありませんでした。


「ママは、お空に行ってしまったんだよ」


パパは泣いていました。僕も泣いていました。ジョージは僕のそばを離れませんでした。


「僕は、お医者さんになる。たくさんの人の命を救うんだ」


なんだか僕は大事なことをちょっとだけ思い出した気がしました。



僕はお医者さんになりました。たくさんの命を救いました。そして、とても大きなお家を建てました。広いお庭にピカピカの車が4台もならんでいます。犬のジョージはおじいさんになり、大きな暖炉のそばを離れません。


僕はとっても幸せでした。だけど、なにか忘れている気がするのです。



僕は年を取っておじいさんになりました。犬のジョージの子供の子供の子供のソフィは、僕のそばを離れません。僕はたくさんの人の命を救ったので、たくさんのお金を持っていました。たくさんのお金で、毎日たくさんのおいしい食べ物を食べ、高価なお酒を飲んで暮らしていました。それでも、僕はなぜだか幸せではありませんでした。とても大事なことを忘れている気がするのです。


ある朝、犬のソフィが突然いなくなりました。僕は、たくさんのお金を使ってたくさんの人を雇い、ソフィを必死に探しました。でも見つかりませんでした。僕は毎日わんわん泣きました。とても不幸せでした。



そして、僕はもっと年を取りました。僕はもうすぐ死ぬのです。そばには誰もいませんでした。僕にはたくさんのお金がありましたが、もうお金は必要ありませんでした。


僕は、もうあまりご飯が食べられないのです。


「どうか、このお金で食べ物を買い、たくさんの人の命を救ってください」

僕は、豊かな国の優しい人たちにお金を渡し、お願いをしました。


「どうか、僕の家を捨てられたたくさんのペットたちが楽しく暮らせる場所に使ってください」

僕は大きな家を、庭を、動物たちを愛し助けてくれる人たちに渡しました。


「どうか家にあるたくさんの本を、医者を目指す学生さんたちに使ってください」


僕は、医者が使うとても貴重で高価な本を、医者を目指す本が買えない貧しい学生たちに渡しました。



僕はとてもとても幸せでした。死ぬのなんて怖くはありませんでした。なぜなら僕はとても大事なことを思い出したのです。


やがて、僕のそばにはとてもたくさんの仲間たちがやってきました。

パパ、ママ、ジョージ、ジョージの子供たち、そして、お空の上の仲間。


そして僕は、、、、



ただいま。おかえり。



前よりもっと幸せでした。












































誰かのためにちっぽけでも何かできたのなら、それが幸せであり、私たちが生きる意味なのだと思います。私も誰かのために何かできたら幸せです。


ストーリーの後日談なのですが、犬のソフィは、大きなお家に戻ってきます。そして、たくさんの動物たちと、優しい人たちに囲まれて幸せに暮らしています。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても、共感したし、ああ、確かにそんなことを思いできたら、幸せなんだろうと感じました。世界中にこんな人がたくさんいたら、良いてすね…。 [気になる点] 簡潔でよかったんですが、もう少し僕の…
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