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ごう

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昨日は散々だった。

王と王妃には、考え直すように何度も言われるし。貴族からは祝福されない。

一体、マリアンヌと婚約することの何が悪いっていうんだ!?

「ダニエル?」

「ああ、マリアンヌ。」

マリアンヌは今日も綺麗だ。昔からこの金髪は変わってない。俺よりも色は暗いが、中々いない美しい色だ。

....そういえば、レティシア。あいつも髪だけは綺麗だったな....

まあ、顔が地味だし、マリアンヌで正解だな。あのままレティシアと結婚してたら、すぐ飽きてただろう。中身もつまらなさそうだしな。

それに比べてマリアンヌ。

いつも俺のために美しく着飾っている。

隣に並んでも、釣り合いが取れていい。

そのうち父上も母上も気づくだろう。マリアンヌの素晴らしさに...


「だ、ダニエル様。王がお呼びです。」

「なんだ、後にしてくれ。」

「い、急ぎだそうで...」


父上の部下が飛び込んできた。

チッ、マリアンヌと過ごそうと思っていたのに。みなの邪魔が入らないよう、わざわざ離宮に移動したというのに...気が利かないやつだ。今はいないとでも伝えておけばよいものを。

「ダニエル?行ってしまうの?」

マリアンヌが切なげな瞳で見上げる。

ダニエルはマリアンヌの金色に輝く髪に手を伸ばした。

「すぐ帰ってくる。そうしたら一緒に街に出かけよう。」

「嬉しい!私、新しいドレスが欲しいの!」

「こないだ王族専用の仕立て屋を呼んだばかりだろ?」

王族専用の仕立て屋は、技術師の内の一人で、王族が呼ぶにも大金がかかる。それも、技術師が王族から独立している証だ。

「街のも新鮮でいいでしょ?ダニエルのために可愛くしたいの。」

「マリアンヌ...分かったよ、楽しみにしていてくれ。」

マリアンヌの頬を撫で、部屋を出た。


「ダニエル様、お急ぎください!」


さっきの兵士が急かす。

どうせまた、マリアンヌとの婚約の話だ。

今日は説得できる自信がある。父上も母上も認めてくれるだろう。

これでようやく、マリアンヌと結婚できる。

...そういや、マリアンヌは王族なのに、なぜ俺の婚約者にならなかったのだろう?一番身分としても釣り合っているのに...

ああ、そうか。マリアンヌの母親が過保護だって聞いたことがあるな。中々人前に出さないとか。それで俺も学園に入るまで会ったことがなかったんだった。

まあ、あの美しさなら過保護になるのも分かるな。今回の婚約も、もしかしたらディオゲネス夫人が反対しているからかもしれない。


「ダニエル様、こちらです。」

「なんだ?この部屋は。父上じゃなかったのか?」

「王もこちらでお待ちです。」


父上に会うときはいつも執務室だ。

こんな仰々しい部屋、初めて来たな。

もしや、婚約発表はこの部屋でしなければならなかったのか!?

だから父上も考え直すように言ってたのか...

なるほどな。


俺は気合いを入れて扉を開けた。


「ダニエル・ディ・ヴォルティーヌ。入れ。」


俺は驚いた。

誰だ、あの男?俺のこと呼び捨てにするやつなんて初めてだな。しかも、父上と母上もいる。珍しい、正装だ。

しかし、これは罰せられるな、あの男。

父上と母上の前で俺のことを呼び捨てにするなんて.....

思わず笑みがこぼれる。


「ここへ。」

男の声で、男の部下らしき人物が動いた。

目の前に知らぬ男が数人。

少し離れたところで、王と王妃、王族たちが座っている。なぜかレティシアの父も。

これだけみな揃っているということは、やっぱり婚約が認められたのか....

俺は安堵した。

「マリアンヌは呼ばないのか?」

婚約者を披露する必要がある。マリアンヌの両親だけいても、仕方ないじゃないか!

レティシアの時だって、両家の親と子が揃ってたぞ。...まあ、ほとんど書類のやり取りでつまらなかったが....


「マリアンヌ・ディオゲネスは、別件がある。長くなるので、本日は貴殿一人だ。」

「「開廷する。」」

「ダニエル・ディ・ヴォルティーヌ、貴殿には婚約破棄と名誉毀損めいよきそんにより、レティシア・ハイドローザへの損害賠償責任が生じています。」

「ダニエル・ディ・ヴォルティーヌ。貴殿は、レティシア・ハイドローザと婚約していましたね?なぜ、婚約破棄をしたのですか?」

「ちょ、ちょっと待て!なんだこれは!」

俺は王子だぞ?なぜこんな責めを受けなければならない!そもそも損害賠償とは何だ!

...父上も母上も、みな静かに聞いている。なぜだ...ああ、レティシアの仕業か?いや、レティシアにそんな力は...

そうか、王子としての試練か?マリアンヌと婚約するのにふさわしいか試されてるのか....

「質問にお答え下さい。」

男に睨みつけられる。

俺を睨むだなんて、無礼な。

堂々と言い返してやる!

「それは、マリアンヌのことを愛しているからだ。」

「では、他の女性を愛したため、レティシア・ハイドローザとの婚約を破棄したのですね?」

「ああ、そうだ。」

どうだ、見たか。これが王となる男だ!

「分かりました。先日のパーティーで、観衆を呼び集め、婚約破棄をし、レティシア・ハイドローザに対しての暴言があったと。これについてはいかがです?」

「は?みなを集めて婚約発表をした。暴言?そんなことあったか?」

「分かりました。それでは、後日証人尋問を行います。」

「「閉廷」」




次期王らしく、やり遂げたぞ。

...しかし、一体、なんだったんだ...?





いつも読んで下さりありがとうございます。

unagi

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