パーティー2
会場のざわめきが、さっきとは変わった。
私を見てヒソヒソ言っていた声が、明らかにマリアンヌ様へと移っている。
王や王妃も何かに気づき、息を飲んだ。
「そうですか。では、マリアンヌ様。学園で勝手に魔術を使い、他人を傷つけたものにはいかなる処罰を?」
「そんな...処罰だなんて...ただ、会うと怖いから幽閉とか...」
チラチラっと、私優しいでしょ?みたいな目線で見られても...幽閉のどこが優しいんですか!?
「なるほど。王子はどのようにお考えで?」
「被害者であるマリアンヌが決めれば良い。」
「な、なるほど。被害者の好きなように決めると。」
....ゆ、ユリウス様?今ちょっと笑いましたよね?王子の発言に、プッて笑いましたよね?
「皆様、こちらをご覧ください。」
魔術で壁に何かが映し出される。
「魔術使用管理データです。」
学園に通っていた者なら知っている。不正に魔術を使用した者や、授業外で魔術を使用した者のデータを取っておく魔道具だ。
安全を確保するため、数年前から設置されている。
「マリアンヌ様が服を切り裂かれて倒れていた日。授業外で魔術を使用した者は、マリアンヌ様ただ一人です。」
どよどよどよ、と会場がざわめきたつ。
「な、なによこれ!?」
「ついでに、屋上は魔術を勝手に使うものが後を絶たなかったので、画像録画機も設置されています。」
壁に映し出された映像には、マリアンヌ様の自作自演の一部始終が記録されていた。
「ま、マリアンヌ?」
王子はマリアンヌから一歩離れた。
「わ、私は公爵家の令嬢よ!?」
マリアンヌが金切り声をあげた。
「レティシア様は王家のご令嬢です。」
ユリウスは淡々と返答した。
「わ、私は王家に魔力を捧げてきたわ!その私に、こんな仕打ちをーー」
マリアンヌは怒りでブルブル震えた。
確かに、魔力は国にとってなくてはならないものだった。
雀の涙ほどとはいえ、マリアンヌが魔力を提供していたことも事実。
その魔力を使い、生活していた者たちは口をつぐんだ。
「オイオイ、忘れたのか?あんたには、魔力がほとんど流れてねーんだよ。だからそんな茶髪なんだろ?」
マリアンヌは突然現れた男に驚いた。
金色の髪をなびかせ現れた男は、荒っぽい喋り方をしながらもどこか気品溢れる男だった。
「な、なにいってるのよ!私はAクラスだったのよ?少なくともそこの女よりかは格が上だわ!」
マリアンヌがレティシアを指差すと、男の形相が変わった。
「ーーそこの女?へぇ。そうか。」
男はレティシアへと近づいた。
「ディディオン、なんでーー」
レティシアは急に現れたディディオンに驚いた。
周りは男がレティシアに危害を与えようとしていると思い、兵士たちが戦闘態勢に入り駆けつけようとした。
レティシアに逃げるよう、声もかかった。
しかし、レティシアはディディオンを見つめたまま、動かなかった。
男はレティシアの首元に手を伸ばすと、チョーカーをカチリ、と外した。