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どうしてこんなことにーー

ハイドローザ公は俯いたまま動かなかった。

あれほど愛していた人が、まさか、と信じられる気持ちではなかった。

ディオゲネス公がいない間も、帰って来てからも、彼女は沢山の男を招き入れていたようだ....

マリアンヌも俺の子供でなかったなんてーー

一度真実を知ってしまえば、様々なことが気にかかった。

ルカだ。

ルカは一体誰の子なんだ?

ルカはレティシアが来た後、マリアンヌの弟としてハイドローザ家に預けられた。

その時は、新たな命の誕生と、ハイドローザ家の跡継ぎができたことに喜んだ。

しかし、こうなった以上、ルカは俺の子でない可能性が高い。

よくよく考えれば、ルカを預けられた前後は彼女とそう頻繁に会っていなかったはず....


「ルカ、ルカはいるか!」

ハイドローザ公は声を張り上げた。

それを聞いた執事は、ただごとではないと、ルカを部屋に呼びにいった。

「ーー父上?」

ぐったりと老けた印象の父に、ルカは驚いた。

「屋敷から出て行け。」

ハイドローザ公はルカの方を見ずに言った。

「え、な、今なんと?」

ルカは耳を疑い、ハイドローザ公に聞き返した。

「お前は俺の子ではない。マリアンヌも俺の子ではなかった。」

ルカは目を見開いた。

「ど、どういうことですか、父上!」

ルカから父上と呼ばれるたび、ハイドローザ公の心は悲鳴を上げた。

「良いから出て行けと言っている!」

ハイドローザ公はルカを家から追い出す決意をした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「そ、それでどうなったんすか?」

王家のスキャンダルは、今一番関心を集める話となっていた。

宰相の息子として仕事をする際は、誰にも話を漏らすことはできない。

だが、学術師といるときはユリウスも肩の力を抜いていた。

彼らを信頼していたし、実は他所に漏らすほどの興味はないことを知っていたからだ。

ただの話のタネであって、王家になんて興味がない。

彼らの興味は、新しい機械や技術のことだけだと、ユリウスは知っていた。

「マリアンヌ様の母親は捕まったんでしょ?」「マジすか?で、レティシア様は?」

「レティシア様はディオゲネス公と上手くやっている。」

家庭を顧みない印象のあったディオゲネス公だったが、レティシアといるときは視線の全てがレティシアに注がれていた。

「一件落着てことすか?」「バカ、それじゃあダニエル王子と結婚できねーじゃん。」

ガチャガチャと機械を弄りながら、王家について話が盛り上がる。

「いや、多分二人は正式に婚約するだろう。」

「えっ?マリアンヌ様、貴族でもなんでもないじゃないですか?」「しかも母親捕まったでしょ?」

ユリウスが説明するまでもなく、彼らは何があったか知っていた。

こういう話はどこからか漏れるものだが、彼らの情報はあまりにも早かった。

学術師には独自の網が張られてるとは本当の話だった。

「いや、立場としてはハイドローザ公の娘だし、マリアンヌ様自身は罪に問われなかったからな。」

「えー、俺マリアンヌ様嫌いです。」「レティシア様じゃダメなんすか?」

「レティシア様が婚約者に戻ることはないだろう。ダニエル王子はマリアンヌ様との婚約披露宴の招待状を送ってしまったらしいしな。」

「ダニエル王子馬鹿だな〜」

それはみんな思っている、とはユリウスも口に出せなかった。

「おい、聞かれたら大変だぞ。」

「聞かれないように、注意します!」

ハハハハ、と笑い声が響き渡った。



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