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十三

息子が婚約破棄を宣言してから、なんだか毎日上手くいかない。


まず、演算機が使えなくなったことで、仕事が滞る。

政務官から誰から、だんだんと溜まっていく仕事にイライラした雰囲気がにじむ。


それと同時に、パーティーの行われる数が減った。

パーティーといえば、貴族たちの大切な交流の場である。それが、鍵盤機を使えないことで....


彼奴アイツがいなくなったせいで、甚大な損害を受けたときと似ている...

あの時も、技術師などの協力が得られなくなった。王宮の機能はだんだんと弱っていき、あと少し、というところまで追い込まれ...

あの時、他国から攻め込まれていたら、この国は終わっていただろう。


そして、今日。

司法員が思わず呆れた顔をするほど、息子の対応は酷いものだった。

もう一人前だ。それくらい放っておいても、と思っていた私...反省している。

...先ほども政務官から通達があった。

なんでも、息子とハイドローザ公が金銭の取引を話し合っていたとか...

私は頭痛が酷くなるのを感じた。

どうして政務官の目の前でできるのか...

息子は王族以外の者をゴミのような扱いをすることがあったが、これはあまりにも酷い。

裏でこんな取引をしているのを見られて、なぜ問題になると思わぬのか....

今回は揉み消せたが、そろそろ危うい。

なぜ、ばれないようにできないんだ!


息子がこんなに常軌を逸した考えになってるとは知らなんだ。

これはきっと私の責任に違いない。

確かに、息子は王族で、次期王となる可能性もあった。

だが、他に次期王として確実な者がいたため、息子には王としての教育が行われなかった。

私の責任だ。私がもっと厳しく目をかけていれば...

息子が幼少の頃は、それどころではなかった、というのはただの言い訳か...


それともうひとつ。

もっと大変な問題がある。

これは、誰にも相談することはできない...

レティシア嬢へお金を払えば済む問題ではない。

国中のライフラインである魔力の問題...

これが、この真実が発覚してしまえば、一体どうなってしまうのか...!


私はどうにかレティシア嬢を婚約者へ戻すよう、息子を説得した。

マリアンヌにも説得しに行った。

しかし、全く聞く耳をもたなかった。

このままでは持たない...

王族にはそうやって軽い気持ちで結婚を決められる者などいないというのに...


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


父にはもううんざりだ。

レティシアのどこがそんなに良いと言うんだ?婚約者がレティシアからマリアンヌに変わって、幸せしかない!


父がこっそりとマリアンヌの魔力について調査し、落胆していることも知っている。

マリアンヌは確かに魔力はゴミだ。

だが、なぜマリアンヌに魔力が要る?

俺の魔力で十分やっていける。

...父には負ける。それは認めてもいい。

だが、あんなに必要か?

いざとなれば、庶民街までに流している大量の魔力をストップさせればいい!

俺たちの魔力で生きているなんて、図々しい。魔力は遺伝しかないんだ。アイツらは俺たちに寄生して生きていくしかない!


だいたい、俺の代で足りなくならないよう、父が大量に貯めて置いてくれればいいだろ?


そもそも、マリアンヌの方が血筋も適任だろう。

父は散々、「魔力は大切だ。魔力あるものと結婚しろ。」と言っていた。

それは分かる。

父も母も魔力が高く、王族としての義務を果たしている。そして俺も、魔力と金髪を受け継いだ。

マリアンヌとレティシアは俺に比べれば五十歩百歩だが、それでもマリアンヌの方が魔力は高い。


馬鹿だなあ。

なぜマリアンヌの方がいいと分からないんだ!



...こうして、王と王子の溝は深まっていく。

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