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パンパカ・パーンの冒険  作者: 八八八八八八八・八朔
第二章 パチモンスキー男爵領
10/30

パチモンスキー男爵領まで

○0

 パチモンスキー男爵領の領都フィナンシェは、辺境の村から北に一週間、馬を走らせたところにあった。


 ホワイトシューティングスターは、とても立派に育てられた駿馬で、クロウズ、パンパカ、オブザビアの三人乗りでも問題なく走ることが出来た。


 パンパカは馬上や、時折の休憩時間に、クロウズから色々なことについて聞いた。


「来るときにあった亀裂も、今は小さくなっているね」


 亀裂の起点のディロン山地から、まっすぐに封印の塔に伸びている亀裂に対し、街道は多少なり蛇行していて、フィナンシェの街につくまでに何度か亀裂の上を通り越したこともあった。


 当時のこの辺りの亀裂の事情を知らないパンパカには、どれくらい小さくなっているかは分からない。


 けれども、辺境の村を縦断していた亀裂はほとんど見えないくらいにまで塞がり、足を引っ掛けることも無くなっていた。これには村の妻たちもニコニコ顔だ。


「完全に塞ぐには、ディロン山地で起きている異変を取り除くしかない。それにはまず、東西南北の切れ目から塞いでいくしかないんだ」


 そのために一旦王都に戻る必要があるという。


 報告のためでもあるが、南部から他の封印施設に直接向かうことが、物理的に困難なことも理由としてあった。


 南部と東部の間には広大な森が広がり、南部と西部の間には峻嶺な山脈が広がっている。


 馬や人の足での通過は困難で、迷うくらいなら街道に沿って一旦王都に戻り、それから東・西・北のいずれかの封印遺跡を目指せば具合が良かった。


 街道沿いにはいくつもの宿場町があるのが常だが、あまりに辺境すぎるため、それもアテにならない。少なくともパチモンスキー男爵の領都よりも王都側に近づかなくては、宿場町らしい宿場町は無いとのこと。


「パンパカ君は、君の村を辺境だと思っているようだが、王都の人間はそうは思っていない。今から立ち寄るパチモンスキー男爵領こそが、辺境だと思っているのさ」


 クロウズからしてみれば、フィナンシェへの立ち寄りは、王都への足がかりであり、別段大きな意味を持っては居なかった。


 クロウズが王都から南下している際も、フィナンシェの街には目新しいものは見つけられなかったし、男爵という爵位を考えて立ち寄って挨拶する必要も無かったという。


 それを差し引いても、パンパカにしてみればフィナンシェの街は、初めての街だった。


 見たことのない人、見たこともない建物、見たことのない食べ物、服装、風習、エトセトラ。


 フィナンシェの街には、見たこともない光景が広がっているに違いなかった。




 数時間後、パンパカの予想は寸分違わず的中することとなる。

 彼にとってあまり好ましくない結果として。

 今日の分は短いです。すみません。

 だいぶ難産しそうですが、頑張ります。

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