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008 皮膚と衣服
衣服は第二の皮膚というが、第一の皮膚である存在がある。
生まれながらに服を着て生まれてくる種族がいる。
来ている服は美しく、生まれながらに芸術として完成したと言っても言い過ぎない評価が彼らには与えられている。
ある日、とある女王が彼らの存在を知り、彼らの服を眺めた。
女王は自分は美しいが自分を着飾る衣服が自分に追い付いていないと思い、不満を持っていたが、彼らの衣服ならば自分の美を活かせると思い至った。
彼らを狩るハンターを雇い入れた。
そして、ハンターは彼らによって殺され衣服を奪われた。
女王に献上したが、それを見た途端怒りだした。
「この小汚いものはなによ、こんなものを私に着せようというの?」
美しかったはずの衣服はボロボロになり美という言葉の対極にある存在とかしてしまった。
彼らにとって衣服は第二の皮膚である以前に、第一の皮膚でもあったのだ。




