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気ままに掌編  作者: 古緑空白
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005 ライオンと冒険

 彼は知恵を得た動物だった。知性を持ち、食べる以外にも楽しみを持っている。

 サバンナを闊歩するのが楽しい。遠景に見える風景に価値を見出すという、野生からかけ離れた理性を持ち合わせていたのだ。

 ある日、彼は百獣の王と名高いライオンと出くわした。

 食われてしまう、怯えすくんだ彼は立ち止まりライオンと対峙しました。

 しかし、後退りしたのはライオンの方でした。

 どうしてだろう、彼はわからなかったけどのどが渇いていることに気が付き水を飲みに出かけました。

 その途中、後ろに獣がいることに気が付きました。

 そして、水場に辿り着き彼はどうしてライオンが立ち去ったのか解りました。

 彼はライオンの天敵ハイエナだったのです。

 そして、彼の後ろにいたのは同じハイエナ。ライオンは自分が捕食されると思ったのでしょう。

 彼はその誤解がありがたかった。

 なぜなら知恵を得た彼は変わり者として同じハイエナたちから嫌われていたからです。

 それでも、やはり冒険は楽しい、とハイエナである彼は喉を潤して動物らしからぬ感想を抱くのでした。

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