ヒーロー
唐突ですが、僕はヒーローです。
世界を守るという宿命を受け、少し困ったけど、みんなのために戦うことを決めました。
そんな僕は今、敵と対峙している真っ最中です。
利き腕でもある右腕は、攻撃を防ぐために使ったせいで今はボロボロ。おそらく使い物になりません。実際どうかはわかりませんが、少なくとも二箇所は折れていると思います。
「その腕はもう使い物にならないな……!」
目の前の敵が高笑いをしています。おまけに思考もリンクしていたようです。完璧にバレているようなので、否定はしません。
「大正解。でも、君の方もダメージは相当なものなんじゃないかな。立ってるのも辛そうに見えるけど」
僕の言葉に、敵は眉をひそめます。図星みたいです。事実、見てるだけで痛々しいほどの傷を負って、今にも倒れそうです。
そんな彼女――敵はなんとなんと女性です――は、何を隠そう僕の初恋の人。同じクラスの女の子です。
「出来るなら僕は、君を殺したくない。考え直してもらえないかな」
「そんなこと出来るか……! さっさと殺せ!」
吐き捨てるように言われました。
部活のエースとして活躍しているボーイッシュな彼女が好きだったのですが、なんだかフラれた気分になります。
僕達の側につけば、争うこともなく、守ってあげられると思っていたので残念です。
ともあれ、こうまで言われては仕方ありません。僕は距離を一気に詰め、自由に動く腕を振り上げました。
覚悟を決めた瞳は、気持ちとは裏腹に恐怖に揺らいでいます。
――美しい。全身で感じた瞬間、彼女の首は宙を舞っていました。
悲しいけれど、これもヒーローであるが故の宿命。後片付けは組織の人がやってくれるので、帰り支度をします。
僕は元の姿に戻り、荷物を持って、やっぱり彼女の頭が落ちている所へ戻り、最後に大好きな人の顔を脳裏に焼き付けました。
今後、こういうことが何度もあるかもしれません。それでも、戦わなければならない。それはとても辛いことですが、僕は耐え切ってみせます。
それにしても……。
「なんで戦う時に姿を変えないんだろう? 手足は多いほうが楽なのに……」
微かな疑問は、夜空に消えていきます。
次の標的は、なんと五人組だと聞かされました。僕の味方も、次々にやられたそうです。
さすがこの星の敵。数を揃えて一人を相手取るなんて卑怯そのものです。
それでも僕は負けません。
なんたって、ヒーローですから。
またまた短編になります。
最後になるほど!と思ってもらえれば幸いです。




