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カウントダウン!

作者: 八月一日

iPhoneにて執筆投稿。

「やあ、今日もきたんだね」

「きたんだねじゃねぇだろ。こいっていったのはどこの誰だよ」

「別に私は来いだなんて言ってないわよ? 来たかったら来てもいいって言っただけだし」

「お前の言い回しじゃ来いってことだろうが」


俺、栗原春人は地元の病院である聖南病院の302号室にきている。ここに入院している咲村詩織の見舞いにきているわけで。


「わかっておきながらくるっていうことはキミ、私に惚れてるだろ?」

「あーはいはい、惚れてますよ。なんか問題でも?」

「いや、問題はないよ? 実をいえば私もキミにベタ惚れだしね。なんなら今からここでヤってみるかい?」

「ヤらねぇよ。何いってんだよ」

「病人とはできないって? それは心外だなぁエイズとかじゃないんだ。別にうつったりはしないよ」

「誰もそんなこといってないだろ」


そもそも、俺と詩織はそういう仲じゃない。単なるクラスメイトで好き合ってるもの同士だ。

この温い関係をだらだらと続けている、ただのクラスメイト。


「じゃあいいじゃないか。いつ死ぬかわからないクラスメイトの願い事を聞くくらい。気づいたら死んでるなんてこともありうるんだ。出きる時にシといて損はないだろ?」

「その話はしないって言ったよな」

「仕方ないだろ? 毎日廊下を遺体が通って行くんだ。いつ自分がああなるとも限らないんだから」


ーーさん連れて行って。


「ほら、今も死んだよ」

「••••••」

「まあそれはそうと、打診していた事が通りそうなんだ」

「打診?」

「退院届け。死ぬまでこんな所にいるのはごめんだからね。治る見込みがないなら早々にこんなところからは出ていくよ」

「出ていくって、治療はどうすりんだよ」

「通院治療に切り替えるよ」


治る見込みがないのは詩織からは聞いていた。それでもここで出来る治療をやって延命をするんだと思ってた。


「復学届けももう出してるからある意味ではごり押しだけど」

「確信犯だろ、それ」

「いいじゃないか。ベッドの上で無駄に延命するくらいなら好き勝手に過ごすくらい」

「お前な••••••」

「さて、春人。この後どこに行く?」

「は? この後?」

「言っただろ? 退院するって」

「なあ、それってまさか••••••」

「今日だよ。さ、生着替えを見るのは構わないけど入ってきた看護師の冷ややかな目は擁護しないよ」


俺はガチで着替え始めた詩織の病室から飛び出した。

詩織の突飛な行動には飽きれつつも、それをどこか喜んでいる所もある。

詩織の復学。それはついこの前までの『日常』が戻ってくるということ。それは短いのかもしれないし長いのかもしれない。

だとしても詩織といれる時間は目一杯楽しもう。悔いなんて微塵も残してたまるか。


「よし、それじゃあ春人。ここからは迅速に行動するよ。何せ本来の退院日は二日後なんだから」

「おいまて。今日じゃなかったのかよ」

「二日後も今日も対してかわりないだろ? だったら行動あるのみだよ。さ、行こう」


病室から出てきた詩織に手を引かれ逃げるように••••••実際逃げてるんだけども足早に駆けた。


「まずは春人の家に行こう。彼女の顔見せだ」

「はぁ!? 詩織お前何いってんだよ!」

「好き合ってるもの同士なんだ。別にいいだろ? ほら、追手がくる前に春人の家に直行だ」


グイグイと先導して歩いて行く詩織。なんかものすごい生き生きしてないか、こいつ。

初のiPhone投稿です。

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