第二章あらすじ
五分で読めなくもない第二章・久遠の旅路
1.覚醒
ヌビクは致命傷を負ったはずが、何故か無傷の状態でゼームの屋敷にて目覚める。不可解な生存に困惑しつつもそこで療養生活を送ることになった。退屈しのぎの本を要求すると、ゼームは謎多き地下書庫の存在をヌビクに教えた。
2.ギリザの門
地下書庫の深部はギリザの門と呼ばれる罠付きの扉で封印されていた。ヌビクはその扉を開けようと二週間奮闘を続け、諦めて不貞寝した時に見た夢で閃いてついにそれに成功する。扉の奥にあったのはさらに広大な書庫だった。そこで見つけた不思議な本に魅了されつつも探索を続けると、書庫それ自体が広大な迷宮であることが分かった。その時、闇の向こうから何かがヌビクに近付いてきた。
3.黒衣の司書
ヌビクは正体不明の不気味な男に導かれ、迷宮の奥の昇降機に乗せられる。着いた場所は今は無人となった山賊の要塞だった。そこでヌビクは自分が虫人間から攻撃を受けない特性を持つ者であると知らされ驚愕する。謎の男に導かれるまま要塞を進むヌビクは、超能力を封じる効力のある遺物の元へと辿り着く。その遺物とは巨大な人面虫を閉じ込めた発光する水晶だった。
4.リドニッツ
不思議な感覚に囚われて水晶に手を触れたヌビクは、謎の男から第一の鍵を手に入れたと伝えられる。男は水晶に閉じ込められたその人面虫こそが、ヌビクら大陸人が信仰する神であるテリその人であり、ヌビクの身体は神の力の緊急退避先であると告げる。カナベロと名乗った男は、聖域を巡り神の力を解放することをヌビクに要求して姿を消す。屋敷に戻ったヌビクはゼームと共に再び迷宮書庫へ降り、第二の聖域テリリドニジグとそれにまつわる強化人間リドニッツについて学ぶ。
5.呼び声
その晩からヌビクは就寝時に謎の呼び声にうなされるようになった。死や絶望を想起させるその声で、ヌビクは自分を庇って死んだメセへの想いに囚われる。不可解な現象に恐怖したヌビクは屋敷に留守番するのが嫌になり、その日からゼームに付き添って要塞の調査に同行し、シギミヒの残した遺跡の調査日誌を読破する。帰り道にて、ゼームは山賊団駆逐の際に現れた覆面の人物は自分であると明かし、目的のためにホルズを犠牲にしようとしたことを深く詫びた。ヌビクは審判はホルズの役目であるとしつつも、その懺悔を受け入れた。
6.愚者と盲人
毎晩続く呼び声に疲れ果てたヌビクは屋敷の探索を試みるが、ゼームに咎められる。ヌビクとゼームは再び要塞へと出掛けるが、そこにはリデオをはじめとした傭兵たちが再調査に訪れていた。彼らを尾行しつつ会話を盗み聞き、ハステがニャキから離反し、拉致の対象だったオーリスとアイリスを助けるために彼女らを引き連れて港町テンベナへと逃げ去ってしまったことを知る。その後も坑道で尾行を継続するが、カナベロによって落盤が引き起こされ、ヌビクとゼームは分断される。
7.旅なんて悲しいことばっかりだ
カナベロの策略によってヌビクは虫人間を使役した黒幕であるとリデオに認定される。ヌビクは呼び声の正体について仄めかしたカナベロに従い、単身で屋敷に戻って家宅捜索を始める。ヌビクには精神を集中することで呼び声の位置を把握する特殊な能力が芽生えていた。呼び声の発信源は山賊長シギミヒによって廃人にさせられたランであり、発見した丁度その時にホルズによって介錯されていた。ヌビクはオーリスたちを助けるために旅立つことを決意した後、ホルズによるランの埋葬を手伝う。
8.旅立ちと再会
一週間後、ヌビクは友情の誓いを交わしたゼームに見送られ、馬と共に旅立った。ゼームに言われたとおりかつてのオーリスの家を訪れたヌビクは、そこで五体満足で生存しているメセに迎えられる。彼女はどんな致命傷すらも自己再生出来る超能力の持ち主だった。安堵を通り越した多幸感で酔っ払ったようになったヌビクは気持ち悪い感じにひどく陽気になり、メセの手料理を味わいつつ時間も忘れておしゃべりに興じた。
9.密偵
食事中、ニャキがノラッドを伴って家へと戻ってきたためヌビクは地下室に隠れて会話を盗み聞きする。ノラッドはリデオの報告によってヌビクのことをハステの父フィノケリ卿に仕える密偵であると推測していた。ハステの離反にも関与していると見做され、ニャキとノラッドはヌビクの抹殺について同意する。なんとか発見されずにその場を脱したヌビクはテンベナへと向けて発つが、道中、悪徳宿屋に騙されて所持金の大半を奪われてしまう。半狂乱になって見るに堪えない猿芝居を仕掛け奪還を試みるも失敗し一度は諦めるが、その場に居合わせた異国風の出で立ちの不思議な女性に助けられ取り戻すことが出来た。
10.やばい女
テンベナに到着し宿を取ったヌビクは先ほどの女性に再会する。ジッフェと名乗ったその女こそがフィノケリ卿の密偵であり、ヌビクは現状を説明し手助けを乞う。話術や共感性に長ける一方で隙も多いジッフェにすっかり心を開いてしまったヌビクは、一晩かけて自身の生い立ちまで含めて自分が知るあらゆる情報を全て彼女に話してしまい、彼女にやり込められたことに後で気付いて一人で悶絶した。
11.サンマを焼く女
ヌビクとジッフェは変装してハステたちが暮らす酒場へと偵察に出かける。そこでハステとアイリスは給仕として働いており、オーリスはなんらかの不調により部屋に篭っていることを知る。
12.懲りずにまた飲む
ヌビクたちは同じようにハステらを偵察していたホルズと再会する。情報交換のために別の酒場を訪れ、三人で杯を合わせる。ホルズは協力する意向は示しつつも、ニャキがノラッド小隊を雇っていることについて不穏な予感を口にする。
13.酔っ払ってモノマネする
ジッフェがヌビクに対して親しげであるとホルズにこっそり指摘され、ヌビクの中にもやもやしたものが生まれる。その後、ジッフェの同僚と名乗る軟派な雰囲気の美男子が現れ、テーブルを共にする。その男に対するジッフェの態度に、ヌビクの中のもやもやがどす黒いものに変化する。最悪の酔っ払い方をしたヌビクは気持ち悪い奇行の果てに、男に対し理不尽な暴力を振るうが、得意の記憶喪失に陥ることでそのへんの事実を強引に曖昧にした。だが大騒ぎの代償は投獄だった。
14.仲間たち
ヌビクが目を覚ました場所はテンベナ義兵団本部の地下牢だった。ノラッドとリデオから尋問を受けるヌビクは、樹海で起きた様々な事件についての関与を追及され全て否定するも信用されない。気持ちが昂ぶったヌビクは自分が彼らに仲間として受け入れられなかった悲しみと失望を吐露し、リデオを感情的に糾弾する。リデオも同様にヌビクに対する個人的な不満を打ち明け、ヌビクはそれについては一部受け入れるものの、結局互いに相容れない。その時、上階からやってきたロウィスが敵襲を報告する。
15.裏切り
襲撃報告はヌビクを脱獄させるためのロウィスのでっち上げだった。拘束を解かれたヌビクはロウィスと共に脱出を試みるが、同時に本当にホルズが襲撃してきたことを知る。ホルズと合流するためなし崩し的に戦闘になり、ヌビクは敵意が無く油断していたかつての仲間を不意打ちに近い形で殺害してしまう。ヌビクは激しく動揺するが、ホルズの友情に助けられぎりぎりで正気を留めた。無事に脱出したヌビクは、先日酒場で殴った相手が帝国騎士団長フィノケリ卿だったことを知らされる。
16.騎士団の偉い人
フィノケリ卿に招待されたヌビクは謝罪と情報交換のため応じる。向かった先の港でセリトと再会する。セリトはヌビクがかつての仲間を斬ったことについての正当性を主張することでヌビクを励まし、そして帝都へ向けて旅立っていった。フィノケリ卿はヌビクを騎士団の船へと招き入れ、オーリスとアイリスの脱出計画を説明する。
17.蕁麻疹
フィノケリ卿の計画の下、姉妹を船へ送り届けるべく彼女らの住む酒場を再び訪れたヌビクとジッフェ。逃亡を拒絶するオーリスを観察すると彼女が虫化病に冒されていることが判明した。ヌビクはオーリスの虫化はニャキによる謀だと確信する。するとジッフェは唐突に土下座し、裏切りを告白した。
18.嘘泣きのはずがない
騎士団とテリリドニジグは密約を交わし、非人道行為を禁止する交換条件としてオーリスとアイリスを差し出すことに同意していた。ヌビクはジッフェを冷たくあしらい、アイリスを陸路で逃がし、オーリスは自身が介錯することを決める。
19.久遠の旅路
オーリスを介錯するため二人きりでテンベナを後にしたヌビクは三日ほど共に旅をするが、オーリスへの思いの強さから介錯を踏み切れない。葛藤の末、ヌビクは泣いてそのことを詫びるが、その時既にオーリスの虫化が完了していることに気付く。ニャキによって仕組まれたオーリスの虫化は特別なもので、彼女は自我を残したまま殺戮本能を植えつけられていた。ヌビクは気絶させられ、オーリスは主人であるニャキの元を目指して飛び立った。
20.クソメガネは黙らない
オーリスを追ってキャンプを飛び出したヌビクは馬を調達し、既にニャキに従えられていたオーリスに追いつく。あえなく武器を奪われ木に縛り付けられてしまったヌビクは、ニャキ自身の口からオーリスに使用された新兵器の正体について聞かされる。ヌビクはニャキへ憎悪をぶつけるが、彼女はそれを享受した。
21.暴走
そのとき眼下の街道に、アイリスを捕縛したノラッド小隊が姿を現した。ニャキは、オーリスにノラッド小隊の殲滅を命令する。オーリスは小隊を圧倒しノラッドを殺害しかけるが、ヌビクが咄嗟に命令を上書きしたためにノラッドは失神させられるに留まった。アイリスを取り戻したオーリスはニャキの命令を無視して去ってしまう。アイリスをリドニッツとして自然覚醒させる計画が破綻し半狂乱になったニャキはヌビクを虐待する。しかしメセがヌビクの懇願を受け入れずに、オーリスを殺害せよとのニャキの命令に従ったことで、ニャキは一転狂喜乱舞した。
22.嘘と約束
ニャキは丘へ登ってきたノラッド小隊に包囲されるが、隊員を虫化させつつその場から逃走した。ヌビクはリデオと共にオーリスを追いかけるが、逃走を諦め戻ってきたオーリスはヌビクにアイリスを託し、メセに殺害される。姉の死によって怒り狂ったアイリスはその場でリドニッツとしての力に目覚め、メセの心臓を抉り出し復讐した。
23.みんなぶっ殺せ
一部始終を見ていたリデオはヌビクが信頼に足る人物だと判断し、これまでの不信とそれに由来する数々のトラブルを謝罪した。リデオはニャキの悪事を告発するため心臓を抜き取られたメセを確保してテンベナへ戻っていった。事件の顛末と真相を聞かされたアイリスは、遠大な復讐を遂げる強さを得るため自らテリリドニジグへ向かい、改造人間になることを決意する。
24.人間
テンベナでオーリスの葬儀を終えたヌビクは、ノラッド小隊と完全に和解する。ヌビクはテリリドニジグ行きの船に乗るため騎士トヌロヤと打ち合わせを行ない、メセが目覚めたことを知る。メセはオーリスを殺害したことへの断罪を求めたが、ヌビクは彼女の立場と人間性に理解を示しそれを拒否した。翌日、一行を乗せたテリリドニジグ行きの船が出港する。




