序章あらすじ
五分で読める序章・虫になる人々
1.虫になった友人
主人公ヌビクが15歳だった頃を回想する形で物語が始まる。傭兵団に所属していたヌビク少年は、山賊征伐任務のさなか、小隊の仲間であり唯一の友人だったレニタフを虫化病で失くす。自らは無事にその場を乗り切るものの、友人の死に対して無感動な自分に嫌悪感を抱く。
2.亡き友への追憶
ヌビクは死んだレニタフとの出会いを回想する。彼は愛すべき男だったが、出会った時には既に不治の虫化病に冒されていた。彼に懇願されヌビクは彼の虫化病を周囲に黙っていることにしたが、そのせいで無駄に仲間を一人多く死なせてしまい、結局誰も救われることはなかった。
3.剣士セリト
小隊はレニタフたちの遺体を火葬する。その際、ヌビクの隣で祈りを捧げていた高慢な剣士セリトは死んだ者たちを侮辱した。ヌビクはセリトとの出会いを回想する。彼は傭兵隊員ではなく旅人であり、最近盗賊に身包みを剥がされていた。彼はその赤毛の盗賊への復讐のために小隊に同行していると話した。
4.冒涜
ヌビクはレニタフたちの埋葬を指示されるが、途中で作業が面倒くさくなって乱雑にさっさと終わらせてしまう。
5.二人の副隊長
行軍を再開する小隊。小隊にはならず者のリデオと真面目なロウィスという二人の副隊長が居るが、互いに仲が悪いようだ。
6.入団の経緯
ヌビクはさらに過去のことを回想する。自分は出身地であるテリモロ島の牧童だったが、家族に疎まれ、迫害され、読書だけが唯一の楽しみという孤独な日常を送っていた。島から出るつもりは無かったが、自分以外の島民全員が虫化病を発症してしまったため、逃げ出さざるを得なかった。小船で港町テンベナに渡るが、労働という行為に価値を見出せず、そこでも日々を無為に過ごしていた。ヌビクはただ無意味に命を継続するためだけに傭兵団に入団する。