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星と羽虫  作者: 病気
第一章・異能の女たち
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36. 崖を隔てて




「…ええ、そうです。それで、父の次に私の騎士団入りを喜んで下さったのは、ご存知でいらっしゃるでしょうか、亡き母と交友関係があり騎士団の先輩でもあられるタヤリク=ラギ殿です。喜ばれるのと同時に彼女は『これで化粧台を独占出来なくなる』と嘆いてもおられました」


「ふーん、でも貴女はそんなに化粧に時間をかけそうな類には見えませんね」


「ええ、そうなのです。鏡に向かうのは毎朝数分と言ったところですな。それも大体が髪を梳く時間なので化粧台はいっそ無くても問題無いかと思います」


「はぁ、それでその肌ですか。一体どうなってるんだ」


「それで化粧台は必要無いとお伝えしたらタヤリク殿は何故かひっくり返って驚きまして、私もびっくりして反対方向にひっくり返りました」


「ははは」


「それで『私などまだタヤリク殿の半分も生きておりません故、化粧なんて勿体無い』と申しますと…その…、いえ、謙遜したつもりだったのです。悪気はまったく無かったのですが…」


「あははは…。タヤリクさんは騎士でありながら兜を身に付けることを嫌うことで有名ですが、あれだけおしろいの厚みがあればそれを必要としないのも道理です。私が彼女を最初に拝見したのは彼女がまだ三十手前でいらした頃ですが、年々明らかに化粧が濃くなっていくのが気の毒ですね。…あぁ、ところで私も来年で三十路になるんですよ。知っていましたか?」


「…え?そうなのですか?おめでとうございます。なるほど私より十近くも上なのですな。外見からして大体そのくらいなのだろうなと常々思っておりました」


「………ははは…」


 様子を見るに、おそらくニャキは日誌を盗まれたことにはまだ気が付いていないようだ。道中、ニャキとハステは和やかな雰囲気で雑談をしながら歩いていた。理由は前述したようにハステはとても上機嫌だったし、ニャキは意地の悪い性格とは裏腹に、くだらない冗談に対して屈託無く笑みを見せる一面もあるらしい。先頭を行くホルズとしんがりを守るメセという二人の強力な護衛を擁しているが故の安心感から警戒がほどけてしまっているのか、彼女らに限らず私自身も、木々の間から差し込む柔らかい光で先日の黄昏時の悲劇を忘れかけてしまう。


「…道は正しいのでしょうね?」


 しかし、しばらく進むとこれまで平坦だった道は徐々に険しくなり、両足のみで踏破することが難しくなって来ていた。私が疑問を口にするまでもなくそろそろニャキが抗議するはずだと踏んで黙っていたが、その見込みは的中したのだった。


「これが一番近いんだよ。他のアホどもが使う道だと今日中には着けねーぞ。また丸一日ビスケット食いてーのか」


 そう言いながら進むホルズの行く先はついに道が無くなった。谷である。崖の対岸に獣道の続きらしき薙ぎ倒された草が見えるが、そこまではどう考えても人間の足で跳躍できるような距離ではない。近くに生えている最も背の高い木を橋にしたって半分にも届かないほどの遥か遠くだ。


「あなたはいいでしょうが、私たちはけだものじゃないんです。この先ずっとこんな道が続くようであれば、結局明日になりますよ」


 ホルズが黙ってロープを取り出す姿を見ながら、まさかそれで綱渡りでもさせるつもりなのかとでも言いたげに、ニャキがうんざりした様子で溜息をついた。ホルズはその縄の先端の鉤を体の横でぶんぶんと回して、すぐに放り投げた。それは対岸の木の枝に吸い込まれるように命中した。縄は枝に巻き付き、鉤は刺さって食い込んだ。


「だからこそ俺がこうして進みやすいように導いてやってんだろーが」


 そして縄の反対側を両手でしっかり掴むと、息を吸って吐くがごとき気軽さで彼は崖から身を投げた。


「ええっ、おい、ウソ!?」


 ハステが驚いて片手を伸ばした時には既にホルズは空中に居た。一方通行の空中ブランコは落下に等しい速度でホルズの全身を対岸の崖に激突させた。並みの人間であれば、岩肌に叩きつけられた拍子に良くても気絶して落下、最悪は即死する程度の衝撃だろうが、ホルズはそのまま当たり前のようにロープをするすると登り出し、私たちが呆気に取られている間にもう対岸の崖の上に立っていた。尋常じゃない頑丈さである。


 そして彼は振り向くと、私たちに向けて手招きをした。


「いや、だから出来ませんって。無理です」


 ニャキが顔の前で片手をぱたぱたと振った。仮に地面が柔らかい草地であっても転落すれば怪我では済まない高さだが、過去に水が流れていた場所なのか谷底には丸みを帯びた細かい石が敷き詰められている。ホルズのようにふざけ半分でとりあえず渡ってみようと思えるような地形ではない。


「…どうしますかな。崖を降りますか?それとも迂回路を探して参りましょうか」


 ハステが青ざめた顔で俯いて崖の底を眺めながらそう言うと、ずっと黙って様子を見ていたメセが一歩進み出た。


「やむを得ない。俺が一人ずつ向こう岸へ吹っ飛ばすから、あいつに受け止めさせよう」


「そう言えば貴女もそっち系でしたね、メセ。その案も当然却下です。やはり迂回するしかないようですね…」


 ニャキはそこまで言うと、一旦言葉を区切って、声を落とした。そしてハステに向けて非難するような視線を投げる。


「…そう…とにかくこの道は通りませんよ。あの男をまだ信じ続けるにせよ、そろそろ見切りを付けるにせよです」


 ハステは一瞬驚いたような顔をしてちらりと対岸のホルズを見たが、すぐに視線をニャキに戻して、ニャキと同じく声を落としながらも、はっきりと強い口調で答えた。


「あの男は信用できます」


 ハステにしては話の理解が早い。私の居ない場所で既に途中でホルズを置いていくことについて予告していたのかもしれない。

 ニャキもまた対岸のホルズへちらりと目を向けた。私たち全員がそれに釣られてホルズのほうを見ると、彼は訝しげに腕を組んで首をかしげて見せた。


 奴の事だ、私たちが一体何の話をしているのか、きっと気付いていることだろう。


 ニャキは続ける。


「貴女がなんと言おうと、あの男は盗賊です。貴女に牢から解放してもらった恩も、貴女を信頼する演技に信憑性を持たせるための材料として利用しているだけかもしれません。今はメセという抑止力が存在するおかげで手を出してきませんが、隙さえあればきっと私たちを殺すと思いますよ。無防備を曝しながらこの崖を降りることは許可出来かねますね。彼は弓を持っているんですから」


 確かにホルズはその背中に彼自身の持ち物である巨大な弓を身に付けている。脱獄した際に抜け目無く取り戻していたようだ。


「奴が私たちを撃つと言うのですか!」


 そう言うハステの声は、ニャキを非難すると言うよりは単純な驚愕に満ちたものだった。発言の意図がわからないのだろう。


 ニャキは眼鏡を押し上げる仕草のついでに、頭を俯けながらハステに強い視線を投げる。


「当たり前のことを何度言わせるんですか。彼は盗賊ですよ。崖を隔てて彼と距離を置いている今、決断するべきでしょう。確かに少し余計に時間はかかりますが、メセの探知能力を使えば案内人が居なくとも数日あれば確実に着けますし、そもそもそれが元々の計画だったんです。メセ、今のところ方角は正しいのでしょう?」


 狼狽するハステを尻目に、呼びかけられたメセは淡々と答える。


「ほとんど直線的に最短距離を進んでいる」


「最後に探知を使ったのはいつです?」


「今朝だ」


「ここまでだけでも予定より早く来れたのは悪くない結果ですよ、ハステさん。彼についてはこのへんが潮時です。私たちだけで行きましょう」


 私やホルズにしてみれば唐突なタイミングで切り出したように思えなくもないが、そもそも彼女は最初からホルズを信用していなかったのだ。いつ言い出しても別段不思議もないことだ。


「しかし…彼はきっと恩を返したいはずです」


「遊びではないので感情論は必要ありません」


「では目的地に着いた後はどうするのです。関係者の紹介があった方がより円滑に事が運ぶのでは」


「貴女にしては珍しく的を射た意見ですね。私も本来そう考えていたからこそあの男を同行させた部分もあるのですが、彼の言動を見るうちにその考えを改めましたよ。彼はきっと私たちを仲立ちするどころか、逆に話をこじれさせてしまうに違いありません」


 話を聞く限り、どうやら女たちの目的地はやはりこの深い森の奥にある山賊のアジトそのものであるらしい。セリト曰く『帝国の要人』である彼女らが何故山賊などに用があるのかは不明だが、私たちテンベナ義兵団の最終的な目的地と同じ場所に向かっていると言うのは好都合であると言えるかもしれない。女たちの召使いの小姓のふりでもすれば、女たち自身が拒絶されない限りは私もそこに侵入できるはずだ。


「しかし…ほら、まだ手招きしていますぞ…。このまま踵を返して彼を置いていくのは…その…、可哀相なのでは?」


「感情論は必要無いと言ったでしょう。とにかく私はあのような品性の無い輩と道中を共にするのは虫唾が走るんです。さあ、先ほどの平坦な道まで戻りましょう」


 感情論を否定しておきながら、ニャキの言も明らかな感情論で無理矢理締めくくっていたが、結局彼女はリーダー権限によってホルズとここで別れることを決定してしまった。


 崖の向こうで何も言わずに様子を見ていたホルズだったが、こちらが動きを見せるとついに両手を頭上で振って声を上げた。


「おーい、てめえら来ねーのか。まさか帰んのか?」


 ハステはその短い銀色の眉を申し訳無さげにしかめて、崖のぎりぎりまで走り寄って片手を振り上げた。その動作は衝動的で危なっかしく、勢い余ってそのまま落っこちそうにも見えたが、私たちが手を伸ばすまでもなく踏みとどまった。


「すまん。急に一緒に行けなくなった。目的地で必ずまた会おう。ここまで本当に世話になった」


「そうかよ。どうせまたすぐに俺に会いたくなると思うけど。今日の夕方ぐらいにはな」


 ホルズは意味ありげにそう叫んで腰に提げた鞄を平手でぱんと叩いた。奴と私だけが知っているが、その中にはニャキの旅日誌が入っているはずだ。


 その仕草を見た途端に私は思わず耐え切れなくなり、ほとんど何も考えないままハステの隣に走り寄ると、対岸に向かって声を上げていた。


「待て、ホルズ。僕もそっちに行く」


 そう言い切ってからようやく自分が何を言っているのかを理解した。ここでホルズと別れる事になれば先ほどの暗号解読作業をこのまま途中で放棄することになるため、それが気になっていたというのも事実だ。しかし、私自身この瞬間まで気付きもしなかったのだが、どうやら私は女たちと道中を共にするよりもホルズと居た方が気楽であると咄嗟に判断したらしかった。ニャキはともかくとして、ハステはもちろんメセのことも別段不快という訳ではない。私は単純に、女たちだけの集団の中にただ一人で放り込まれるという事が、ただとにかく気まずかったのだ。


 私の感情の変化など知る由も無いだろうが、視界の端でハステの表情がぱっと明るくなった気がしたので振り向くと、彼女は目を輝かせてこちらを見ていた。


「おー!それは名案だ。あいつもおまえが一緒に居たら寂しくないだろう。どうせ現地でまた会えるからな。それまであいつに付いて行ってくれ。よろしく頼んだぞ!」


 彼女は私の背を手のひらでどんと叩いた。崖の傍では遠慮願いたい仕草だが、私が恐怖で足を突っ張ったことには気付いてないようである。


「了解しました、ハステ先生」


 私は極力平静を装って上目遣いに彼女を見ながらそう答えた。


「うんうん。おまえのような聡明な弟子を持って嬉しいぞ。お聞きになりましたかニャリ殿!そういう訳ですのでこのヌビクは一旦ここで見送りましょう」


「私の名前はニャリではなくニャキですが、わかりました。初めて気の利いた選択をして下さいましたねヌビクさん。煩わしい部外者がまとめて居なくなるのは私にとってとても喜ばしいことです」


 私はそう言うニャキを一瞥し、軽くおじぎをした。そしてその斜め後ろに居たメセにも別れの意志を示すために一瞬視線を向けると、普段いつも伏し目がちな彼女と珍しく目が合った。すると何故だかしばらくの間――数秒待っても彼女が黙ったまま私から目を離そうとしないので、私の方から目を逸らした。


 するとまるで不意に、私の隣のハステが呟いた。


「メセ殿は相変わらず心配性ですなあ」


 その台詞に私はびっくりしてしまって、はっと振り向いた。ハステはメセのほうを見ながら続ける。


「あなたもホルズのことを警戒しているのですか。何度でも言いますが、彼は大丈夫です。私は相手が決して約束を破らない人間であればそれがわかりますからな。彼は二度と盗賊行為はしないと私に誓いましたし、万が一そうでなかったとしてもそもそも問題ありませんぞ。だって見たところ、ヌビクとはどうやら既に友達同士のようですから。なぁ?」


 私はそれについて肯定も否定もせずに、再度メセのほうを見た。彼女はまだ私の目を見ていたが、今度は少しすると彼女のほうから目を逸らし、いつもの伏し目がちな様子に戻ってから短く呟いた。


「そうか」


 彼女もハステの言葉について肯定も否定もしない。


 これまでの振る舞いから察するに、彼女はまるで私のことなどには無関心であるように思えるが、掴みどころの無い彼女の性格を私が理解出来ていないだけであるかもしれない。少なくとも私よりはずっと彼女と長く居るはずのハステが、メセが内心では私のことを心配しているのだと言ったことについて、悪い気はしなかった。


「…僕は金目の物は一切身に付けていないし、そもそも僕に盗賊行為を働く理由がまず無いからね…」


 私はメセの心を探るように、彼女に向けてそう言ったが、それに対してはいつも通り無反応だった。既にニャキは背を向け、元来た道を辿って歩き出しており、すぐにメセも黙ったままそれに追従した。


 残ったハステは先に行ってしまった二人のほうを意識しながらも、いつもより大分抑えた声で、私に囁いた。


「…メセ殿は…、誤解されやすいがとても優しい子なんだ。おまえも彼女によくしてやってくれ。きっと彼女は最後まで味方で居てくれるような子だ。私にはそれが分かるから…」


 そこまで言うとその後は崖の向こうのホルズまで聞こえるような声量で私たちに別れを告げ、はぐれてはいけないと言い残し、急いでニャキとメセのあとを追いかけていった。


 私は黙ったまま彼女を見送っていたが、ハステのうしろ姿が見えなくなるとすぐにホルズが呼びかけてきた。


「バカな選択したな。俺と居るより女と居たほうが楽しいに決まってんじゃん」


 ホルズはもう待ちくたびれたとでも言いたげに崖に腰掛けて足をぶらぶらさせていた。私は崖の底に目をやり、どうやって向こう側に移動しようかを考えつつ、答えた。


「ああ…おまえは平気なんだな…。でも僕はしんどいんだよ。それに、僕としては最終的に森で遭難さえしなければ別にどっちに付いて行ってもいいんだ。とにかく今そっちに行くよ。どっかに降り口は無いか?」


「いや、いい。俺がそっちに戻るからよ。これ、その辺の木か岩に巻き付けろや」


 そう言ってホルズは木の枝に刺さった縄の反対側をこちらに投げ寄越した。私はそれを両手で何とか受け止めたが、ホルズの指示に従うことは躊躇した。


「戻るって?結局別の道を行くのか?」


 面食らってそう尋ねると、ホルズは当たり前のように言った。


「俺はもう山賊じゃねーんだ。案内しろって言われたからそうしてやってただけで、別にあんな腐った要塞にゃ二度と戻らなくたっていいんだよ。遭難しなきゃいいんだろ?だったら森の外まで送ってやる。引き返すぞ」


 親切心で言っているのか、それとも単なる気まぐれで適当に言っているのかは定かではないが、彼の過剰なほどの協力的な態度に私は少し驚いた。はっきりと口では言わないが、やはり牢から出してやった一件について、私に対してもいくらか恩を感じているのだろうか。


「いいのかい。でもハステさんは目的地でまた会おうって言ってたよ」


 私がそう口にして恐る恐るその出方を探ると、彼は軽く自らの腿を叩いてあっけらかんと答えた。


「あ、そっか。じゃあやっぱ先に進もう」


 私の単純な一言でホルズはころりと目的地を変更した。しかし私がもう一度何かしら希望を口にすれば彼はきっとそれに従うことだろう。


「いや…ちょっと待って。行くか戻るか僕に考えさせてもらえるかい」


「あー?好きにしろよ。でも早く決めたほうがいいぞ。意外かもしれねーが俺は実は結構気まぐれな人間だかんな」


 傭兵団の一員としてまともにこの状況を判断するのであれば、やはり一旦この森の外へ脱出することが正解なのだ。しかし今、ホルズと共にこの森の中を自由に移動できる状況であるなら、ハステの後を追って山賊の要塞へ辿り付く事や、この森から逃げ出す事の他にもう一つすべきことがあった。


「森の中で他に合流したい人が居るんだ。その人に無事に会えるまで同行してもらっていいかい」


「ふーん、いいけど。でもよ、誰か知らねーけど、こんな深い森の中で会おうと思って誰かに会えるわけねーだろ。アホなの?」


 今朝見た夢のことを彼に説明するつもりも無かったが、この時の私は既にあの夢のことを微塵にも疑っていなかった。


「いいや、会えるんだ。彼女は遥か遠くに居る人間の存在を感知できる超能力者だよ。おまえもこないだ会ったろう」


 ホルズはすぐに手を叩いて納得した。


「ああ、うん。覚えてる覚えてる。あのなんか卑猥な感じの女な」


「おまえは何かしらひどい誤解をしてるようだけど、でも多分その人で合ってるよ」


「なるほどな。しかし俺達のことを捕捉してるとしても、せいぜい方角と距離くらいしかわかんねーだろ。森の中で会いたいなら道に出ないといけねーな。あいつは後ろから追いかけて来んのか?」


「そのはずだよ。行こう」


 そう言って、話しながらずっと握り締めたままだった縄を木の幹に縛り付けた。


「またさっきみたいに崖に体当たりして渡るのかい。やめといた方がいいんじゃない」


「そうだな。やめとくわ」


 彼が先ほどの奇行を繰り返さなかった理由は定かではないが、恐らくはただの気まぐれと言うか、その場のノリの問題なのだろう。彼は向こう側の木に刺さった鉤を外し、崖下に向けて放り投げた。そしてほとんど垂直の崖を一切手を使わずに軽い足取りで駆け下りるとそのまま歩いてこちら側へ来て、垂らされたロープをよじ登り、いとも簡単に大地の亀裂を横断したのだった。最初からそうしろよ。




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