篝火
小学生の頃、おばあちゃんと出掛けた大晦日の神社。
暗い夜道。冷たい風。燃える篝火。
甘酒は、言うほど美味しいものではない。むせそうに甘い。
夜遅くまで起きているのと寒いのが億劫で、あれからずっと行くことはなかった。
でもずっと覚えていた。あの非日常感。真夜中なのに人がたくさんいて、不思議な感じ。
煙って火の粉を放つ、篝火。顔に熱を感じた、あの篝火。
息子が十になった。
初めて真夜中まで起きていた。初めて夜中に外を歩いた。
空気は冷えていたが、風はあまり無かった。
丸い月が我が物顔で輝く。道は明るく照らされたが、その分星々は控えめだった。オリオン座とおおぐま座はあったが、カシオペア座は見つからない。
神社は盛況だった。鳥居の外まで人がいた。二人で列に並んで、その時を待つ。前の人のスマホの光が、角度によって時折目に刺さる。
寒いのにうつらうつらしながら、目を瞑って立っている。
ごー、よん、さん、にー、いち!
花火が上がった、びっくりした。ヒュルルと上がって、ドンと弾けた。時間をずらして、違う種類の花が咲いた。
少し列が進んで、鳥居をくぐる。
もう眠そう。列は遅々として進む気配がない。
帰ろうか。うん、帰ろう。
列を外れて、篝火を見に行った。順路を逆走しない程度に、遠目から。
オレンジ色の炎が天高く踊る。火の粉がぼうぼうと舞う。消防車も控えている。
神様、また明日ね。
響く除夜の鐘を聞きながら、手を繋いで歩いた。
月が煌々と、星が深々と。
今年もよろしくね。
よい年になりますように。




