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第四章【凶事の余興】

ちょっと長めです。

「今日が波佐谷さんと会う日かー、暇だしテレビ見よ」


アナウンサー

「おはようございます。昨晩、東京都内の記者宅で複数の死亡事件が発生しました。現場の様子をリポーターの柿谷さんが伝えます。」


リポーター

「はい、現場は現在、警察によって完全に封鎖されている状態です。確認できる範囲では、廿木浦野さんの妻・紗奈さんを含む複数の方が亡くなっており、現場には浦野さん自身も死亡していたことが確認されました。」


アナウンサー

「現場周辺の状況はいかがですか?」


リポーター

「周囲の住民の方々も大変驚いており、警察が安全確保のため注意を呼びかけています。現時点で事件の詳しい動機や経緯は明らかになっていません。警察は浦野さんの死亡状況も含め、事件の全容解明を最優先として捜査を進めています。」


アナウンサー

「続報が入り次第、随時お伝えしていくとのことです。では次のニュースです。」


「えぇー!浦野さんが!まじで!意外だなぁ、あっ!もうこんな時間じゃん早く行かないと!」雪愛は、走って待ち合わせ場所に向かった。

「待ち合わせ場所は、ここ!」

「雪愛さーん!おはようございまーす!待ってましたよー!」高瀬は、元気よく手を振っている。こっちまで気分が良くなる程だ。

「波佐谷さんは?」

まだ待ち合わせ場所には、波佐谷は来ていなかった。

「それがまだ来てないんですよ。」

高瀬は申し訳なさそうだ。

「遅れてしまった。すまないな。」

やっと波佐谷が来た。

「遅いですよ!あなたがいないと始まらないのに、じゃあ私の妹いや雪那と雪禍岳に登った時のことを聞かせてください。」

「わかった。では話すとしよう……」


これはまだ俺たちが山に登る2日前のことだ。

「おい、鷹也!雪那と俺とお前の3人でどこに行くってんだよ。もう2日前なんだし教えろよ!」

「わかったよ。教えるから雪那を呼んできて!」

「なに、何の用?」

「鷹也が行く場所教えるってさ」

「わかった。ちょっとまってて」

少ししてから雪那は来た。

「で?どこいくの?」

「俺たちが行くのは……雪禍岳だ!」

雪那と波佐谷

「え?」

「まず雪禍岳ってどこにあんの?あとどこそれ?まじで知らないんだけど」

「知らないの?もったいぶった意味ないじゃん。」

鷹也は残念そうに言った。

「逆に知ってるやついんのか?その雪禍岳とかいう山」

「登山家の中では結構有名だぞ」

「もう決まったことだし行くは行くけど、もうちょっといいの無かったの?」

「雪禍岳がピーンと来たから選んだ。だからこれ以外はない!」

「じゃあ2日後雪禍岳の駐車場な」

「何を持ってけばいいの?」

「そりゃもちろん。登山道具だよ」

「曖昧すぎでしょ、まぁいいや。あとで調べる。」

「じゃあねー」

雪那は帰ってった。

「じゃあ俺も帰るわ、バイバイー!」

俺は、走って帰った。


当日

俺たちは、雪禍岳の駐車場に着いた。

「デッカいな!」

「すっごい大きいね」

雪那と俺は雪禍岳を見上げながら言った。その時、山の麓の木々の隙間に、なにかがいたように見えた。

「今、あそこら辺に何かいなかったか?」

俺は、木の方を指差した。俺は、こう言っておきながら自分でも言った事の意味がわからなかった。

「そんなのいるわけないでしょ」

「そう……だよな……」

「まっ、そんな事より、雪禍岳に来てよかったって思ったか?」

「それは絶対にない。」

「ふふふっ、早く登ろ!」

雪那は少し嬉しそうに笑った。

「そうだな。早く登ろう!」

雪禍岳を波佐谷一行は登り始めた。

雪禍岳の登山道は、想像していたよりも静かで寒かった。

「うわぁ……思ったより雪深くないね」

雪那がストックで地面を突きながら言う。

確かに、駐車場から見上げたときの威圧感に比べれば、道は意外と整っている。

「ほらな?有名なだけあって登りやすいんだよ」

鷹也が得意げに笑っている。

波佐谷は少し前を歩きながら、山の斜面を見上げた。

空は妙に青く、雲一つない。風もない。静かすぎて気味が悪かった。

「どうしたの?」

雪那が振り返ってきた。

「いや……なんでもない。行こう」

三人は足並みを揃えて登り始めた。

「ザッ、ザッ」と雪を踏みしめる音だけが響いている。鳥の声も、風の音もなかった。

「ねぇ、こんなに静かな山ってある?」

雪那が小さく呟やいた。

「冬の山ならこんなもんだろ」

鷹也がこの中で1番登山の経験があったからそうなんだ。と思ってあまり気にしていなかった。

少し登ったところで、道が左右に分かれていた。

「どっちだ?」

「こっちに足跡あるよ」

雪那が右側の道を指差す。

だが、その足跡は途中でぷつりと不自然に消えていた。

「……消えてるな」

波佐谷がしゃがみ込む。

「まぁ、溶けたとか?」

鷹也は軽く言って右の道へ進んだ。

再び歩き出す。

標高が上がるにつれ、気温が下がる。

息が白く、濃くなる。

「寒っ……」

雪那が肩をすくめた。

その時。

「ギュッ!」

自分たちの足音とは違う……音。

三人同時に歩みを止める。

「……今の音、聞こえた?」

「俺たちの足音だろ」

「違う。止まってた」

沈黙が少しの間続いた。

遠くの斜面に、何か白い影が見えた気がした。

「気のせいだろ。ほら、山頂がすぐそこだ」

鷹也が無理に明るく言っている。

確かに、木々の隙間から山頂標識が見え始めていた。

「よし!あとちょっと!」

雪那が駆け出す。

俺は一瞬だけ振り返った。

誰もいない登山道。

だけど

視線だけが、追っているような感覚がした。

(急ぐぞ)この言葉だけを心の中で唱えていた。

三人は最後の斜面を登り始めた。

そして山頂に着いた。

「すっごい長かった!」

「遂に山頂かぁー!長かったなぁー」

鷹也は嬉しそうに言った。

「ホントだよ!」

「あ、あぁ、長かったな……」

「薫、お前どうしたんだ?」

鷹也は心配なようだ。

「大丈夫だ。それにしても綺麗だな。」

「じゃあテント張るか、もうこんな時間だしな。」

「そうだな……」

10分程でテントを張れた。

「疲れたー」

「薫なに書いてんの?」

「これか?日記だ。一応書いてるんだ。」

「ふーん、そうなんだ。」

「私、もう寝るね。」

「そうだ一つ言っておきたい事があるんだ……」

「なに?」

「明日、何かが起こる気がするんだ……」

「大丈夫だよ。」

鷹也も聞いていたようだ。

「じゃあ俺も寝るから、おやすみ」

「あぁ、二人とも、おやすみ」

明日何かが起こるという感覚が、胸の奥で蠢いていた。

【雪を喰らうもの】の第七章の波佐谷の日記の部分にあたる物語です。なので、もう一度読み返したりするといいと思います。

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― 新着の感想 ―
うわなんかこれの前作には出てこなかった話が出てきて最高だった!!!続きも気になるー!!
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