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偽聖女と言われて捨てられました。

作者: 佐葦夏

偽聖女と呼ばれて捨てられた少女に会いに行きました。

 違います、違います。

 私は本当に聖女ではないのです。偽物の聖女だったのです。


 ただコップにミルク、グラスにワインを窓辺に置いて「誰かの小さな願いが叶いますように」と毎晩お祈りしていただけです。


 そうやってお祈りするだけでした。

 治療の力とか大地の恵みとかいった奇跡なと到底起こせるものではありません。


 住処として与えられた塔の片隅の部屋で静かに過ごすだけでした。


 そこが「聖女の住む部屋だ、感謝して過ごせ!」と言われましたので…。




 はい、食事は毎日ちゃんと配給されていました。スープとパンとチーズを毎朝その日の分を。月に一回位(たまに)はリンゴが付いてるときもありましたよ!




 ミルクとワイン?


 あ、えっとそれは窓辺や小さな畑で育てた薬草と交換で…。


 日当たりが良いから、結構良い薬草が育つんですよ!差し掛け屋根の下に干して置けば丁度いい具合に乾燥するんです!


 納戸の棚にあった古い小箱に古い薬草があって…ああ、種がそこにあったんです。


 育て方を簡単に纏めたものと、コップにミルク・グラスにワインを窓辺に置いてお祈りすると小さな願いが叶う事がある、って書かれてあって。




 え?何か願ったのか?って?


 はい、「誰かの小さな願いが叶いますように」って。




 他の願い事を願わなかったのか?ですか……?


 これ(この願い)じゃ駄目だったんでしょうか…。


 ああ、だって私、偽聖女ですものね。正しい聖女なら良い願い事を願えたのに。


 今は本物の聖女様が、神殿で正しい祈りを捧げられているのでしょう。


 本当にご迷惑をおかけしました。




 私が神殿で祈りを捧げなかったのかって?


 その…一度も神殿に行った事は無かったのです…。


 私は塔から出ないようにと言われてましたので…。


 塔の裏手にある井戸や木陰の横の小さな畑位は、見逃してもらっていましたけどね!




 それなりに自由に過ごしていましたよ。


 だから今の生活とそう変わりは無いですね。


 ただ、ミルクとワインは手に入らなくなってしまいましたけど。




 わあ、持ってきてくださったのですか?ああでもお渡しできるような代価がありません…。




 いいのですか?頂いても。話のお礼にって?


 ふふ、ありがとうございます!




 それではお帰りに?


 都から此処は遠いですものね。


 追い出されたけど、ここでも塔と変わらすひっそりと穏やかに過ごせていますのでお気遣いなく!



               ◇◇◇◇◇◇◇◇



 その日の夜、窓辺にミルクとワインを並べ、かつて偽聖女と呼ばれて都を追放された女性は久しぶりに願いを祈った。


「正しい聖女が心安らかに過ごせるようになりますように、そしてミルクとワインを分けて下さったあの騎士さんに感謝を。」


 彼女はこれからずっと心安らかに過ごせるだろう。



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