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その先は朱か黒か……  作者: 空葉
一章:地獄へと
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第7話:逃走

 しばらくするとレオナが檻へ戻ってきた、作業が終わったようだ。


「良かった……」


 レオナは檻に居るクロハを見て安堵し、そう呟いた。


「……おかえり」

「どうしたの? まさか何かされたの?」


 レオナはクロハに少し元気が無いように感じそう聞く。


「いやそういうわけ、じゃないけど……」


 しどろもどろに答えるクロハ。


「む……何かあるならちゃんと言って! 友達なんだから!」


 もどかしい思いを感じたレオナはそう告げる。


「……う、うん、わかった」


 クロハは迷ったが、いずれ言わなければいけないことだと思い、男に連れていかれてからのことを彼女に話した。



    ◇



「う、売られちゃうの……?」


 レオナはクロハが売られてしまうと聞き、かなり落ち込んでいた。


「うん……多分ね」

「そ、そっかぁ……でも、すごいねクロハちゃん、滅多にいない闇属性でしかも天賦を二つも持ってるなんて」

「うん……」


「……」

「……」


 二人の間に何とも言えない空気が流れる。


「……私、やっぱりレオナと離れたくないや、それにどんな人に売られるのか分からないし……」

「……! 私も、もっとクロハちゃんと一緒に居たいって思う!」


 唐突に言ったクロハの言葉を聞き、レオナは驚きと嬉しさを感じ、そして彼女もクロハと離れたくないという思いを口にする。


「嬉しい……だけど、どうしようも無いよね……」


 クロハも彼女の言葉を嬉しく思い、一緒に居たいという気持ちが更に大きくなった。しかし決定事項であり、物申すこともできないだろうと考え嘆く。


「……ここから逃げる?」


 すると突然レオナはそんなことを言い出した。


「え?……逃げられるの?」


 クロハはレオナの言葉を聞いて困惑しそう問う。


「……逃げれそうな場所はある、けど上手く行くかどうかは分からない」

「……なんで、そんなところを知ってるの?」

「今日たまたま見つけたんだよね……それでどうする逃げる? 上手く行く確証は無いけど」


 レオナはクロハの問いに簡潔に答えて、逃げるか問う。


「上手く行く確証はないんだ……」

「うん、私達は子供で相手は大人、しかもこっちは二人だけで相手は複数人いる、これで確証があったら怖いものなんてないよ」


 クロハは迷う。

 もし失敗したらどんな仕打ちを受けるのだろうか、レオナが危険な目に合ってしまうのではないか。


「成功したらどこに行くの?」


 クロハはそう聞く。そう、逃げるのに成功しても行く場所がないと野垂れ死ぬのでは?と思ったのだ。


「よくアズラ王国の話を組織の人達がしてるから、多分ここはアズラ王国付近にあると思うの、アズラ王国の近くなら村とか集落が沢山あると思う、だからとりあえずそういう集落に行く」

「……」

「私もできればここから出たい、あとはクロハちゃんの答えだけ」


 レオナのその言葉を聞いてクロハは答えを決めた。


「逃げたい……ここから逃げる」

「うん、じゃあ作戦を立てよう!」



    ◇



 翌日クロハ達は木箱に物を詰める作業をしていた。


 しばらくやるとその作業は終わり、少しの休憩時間が与えられた。奴隷達はそれぞれその場で休んでいる。監視の男達も腰を降ろして数人で会話をしている。


「クロハちゃん、準備は良い?」

「う、うん」


 そんな中二人はこの場所から逃げ出すつもりでいた。

 レオナは昨日の作業場で子供一人がぎりぎり入れそうな溝蓋みぞぶたを見つけた、レオナはそこからなら逃げることができると思い、幸い今日も同じ作業場であったため、二人の脱走計画は今日実行することとなった。


 二人が考えた計画は、まず作業をできるだけ溝蓋に近いところで行い、休憩時間になったら監視の目が外れたタイミングを見て溝蓋を開けて下に繋がっているという下水道に降りる、その後下水道を歩いて出口を探し、そこから出たらアズラ王国を目指していく、というものだ。


「……行くよ」


 監視人の視線がこちらに向いていないことを確認したレオナは音を立てないように溝蓋まで移動する。それにクロハもついていく。


「開けたらすぐに入って、せーの!」


 小言でそう言いレオナは溝蓋を持ち上げる。


「ん?……おい! なにをしてるッ!」


 溝蓋を持ち上げた際に音が鳴り、監視の一人が気がついた。


「っ」


 クロハは急いで開いた穴に入った。続けてレオナも入り二人は無事に下水道に降りた。



    ◇



「チッ、逃げやがった、出口を抑えろ!」


 上から監視人達の焦った声が響き渡る。


「ふぅー、危なかったね~! でも急いで出口を探さないと、あの人達は回り道をしないといけないだろうけど出口を知ってるっぽい、クロハちゃん走るよ!」

「わ、わかった!」


 無事に下水道に降りた二人は、そうして出口を目指す。

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