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その先は朱か黒か……  作者: ぬい葉
二章:鎮静

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第31話:依頼と異変

「ここもサンクラット王国の一部でしたのね」


 現在クロハたちはサンクラット王国内の森へと来ていた。


「魔の森に近いなんて危険じゃないんですか?」


 サンクラット王国は魔の森から西の全ての地域である。サンクラット王国内の森は魔の森付近に多く分布し、今回はその中でも特に魔の森に近い場所であった。そのためクロハは不安になり、この場に連れてきたソラーヌにそう聞く。


「まあ安全か危険かで言えば危険だな」


「え!?」


「依頼の薬草は魔力が豊富な地域によく見られるものだ、他の森でも見つかりはするが、圧倒的に魔の森付近の方が見つけやすい。ほらもうそこにあるぞ」


「本当ですわ!」


「まあ安心しろ、何かあったら私が何とかしてやる、それにお前たちお連れの最強の騎士も居ることだしな」


 今回森へ来ているのは、クロハ、リリア、アサーク、ハンズ、リコット、ソラーヌ、アンジェロ、クラゲーヌの計八人である。護衛はクラゲーヌ以外は居らず、ぱっと見とても危険な状態に見えるが、実力者であるソラーヌとクラゲーヌがいるため、一同はそこまで危機感が無かった。


「あそこにもある」


「この調子でどんどん集めましょう」


「ちなみにその薬草、いくつ集めれば良いんだい?」


「えっと……三十本、ですわ」


「多いね」


「集められない数ではない、今日は時間はある、気長に集めればいい」



    ◇



「ん?」


「これは……」


 しばらく薬草を集め、残り数本となったころ、ソラーヌとクラゲーヌは何かを感じ、足を止めた。


「……ほう」


「陛下! 素早くここから立ち去ってください!」


「どうしたんだ?」


「魔の森から強大な何かと同時に、多数の魔物の気配が押し寄せてきている……これは半端者だと死ぬぞ、こいつの言う通りここから立ち去った方が良い、がこれは間に合わないな」


「っ!確かに何か、来る」


 クロハも遅れてソラーヌたちが感じ取った気配を感じ、その表情をこわばらせる。


「お前も感じ取れたか……正直に言って今から逃げるにはもう遅い、それに恐らく目的は王都だろう、それゆえ私はここで戦う。くっくっくっ、私の都に手を出そうなんていい度胸だ、燃えるな!」


 今から逃げるのは遅く、更に魔物たちがサンクラットの王都目掛けて向かっていると感じたソラーヌは、逃げることをせず、この場で戦う選択をする。

 余談であるが、このようなことは不定期で起こる、勿論魔の森と接しているアズラ王国でもだ。

 故に一同は焦りこそあれど、冷静であった。


「母さん、私も戦うぞ」


「ああ……まあ良いだろう、ここ最近お前も成長したしな、ただ死ぬなよ」


「死ぬつもりなんて毛頭ない」


 ソラーヌは自身の娘が今回の危険な戦いに参加することに反対気味であったが、将来国を継ぐ者、と考えた結果、少々葛藤したものの許可した。

 どうやらサンクラット王国の王は強者でないといけないようだ。


「逃げても遅い、か。前線に行くでしょう? 私も行きましょう」


「ではどちらが多く魔物を葬れるか勝負と行こうか」


「なぜ貴女様はそう楽しそうなのか……」


 逃げても無駄だと分かり、クラゲーヌもハンズたちを守るため、ソラーヌと魔物を狩ることにした。


「よし、ハンズ、お前たちも剣は振れるな?」


「まあこれでも王族だからね、自衛レベルなら扱えるよ」


「……よし、まず今回このようなことに、危険な目に合わせてしまってすまない。今から私とクラゲーヌで魔物の元へ向かっていく、その少し後ろでアンジェロとクロハは待機しろ、討ち漏らしがあった場合お前らで処理だ」


 ソラーヌは謝罪し、作戦のようなものを一同に告げる。


「分かった」


「わ、分かりました」


「クロハ……」


「リリア様、大丈夫です。私はそう簡単には死にません」


 突然の出来事に少々混乱しつつも、リリアはクロハが戦うことになり、不安で仕方がなかった。

 その様子を見たクロハが、そう言って落ち着かせようとする。


「それに私はリリア様の護衛ですから、たとえ止められても守れるなら行きます」


「……そうですわよね、クロハは強くなったと聞きましたわ、だからきっと大丈夫ですわね」


「まあ、それに私もいるしな」


「アンジェロ様、クロハを任せましたわ!」


「おう、任せろ」


 アンジェロからの言葉もあり、リリアは段々と落ち着きを取り戻していった。

 そしてそれは彼女だけでなく、ハンズたちも同様であった。彼らも、もはや家族に等しいクロハが前線付近に行くことを、多少なりとも不安に思っていたのだ。


「よし、続けるぞ」


 それぞれの様子を確認し、そう言ってソラーヌは話を続ける。


「更に討ち漏らしがあった場合はハンズ、お前たちで処理してくれ。まあ危険だと思ったら身を守るだけで良い、死なないよう立ち回れ」


「……」


 ソラーヌの言葉で、少し不安になるクロハであったが、逃げてももう遅いことが分かっているため、心の中でしぶしぶ納得していた。


「……それぐらいしか今は解決策が無いか。任せて、これでもアズラの王だからね、他国を守れるなら本望だ」


 ハンズはそう告げて、ソラーヌに笑って見せる。


「ふっ、頼もしいな。改めて、危険な目に合わせてしまってすまない、だが必ず私が安全に帰す」


「緊急事態だ、仕方がないよ」


「ありがとう。では以上だ、行くぞ」


 配置についての言及をし、一同の覚悟を確認したソラーヌはクラゲーヌに、行くと呼び掛ける。


「分かりました……陛下、お気をつけて」


「君こそね」


「二人とも気を付けて」


 そうしてソラーヌとクラゲーヌの二人は素早く魔の森方面へと向かっていった。


「私達も行くか!」


「そうですね……リリア様行ってきます」


 クロハとアンジェロも、ソラーヌに言われた通りにするために、走っていった二人を追いかけようとする。


「クロハ、無事でいてくださいまし!」


「ソラーヌ達が居るから大丈夫だと思うけど、絶対に生きて戻ってくるんだよ」


「気をつけて」


「勿論です、リリア様達こそ」


「行くぞクロハ!」


 こうして、数で圧倒的不利な魔物との戦いが突如として始まることとなった。

【あとがき】


 ソラーヌやクラゲーヌ、クロハが魔物たちの気配を感じれるのは天賦とは関係ありません。

 五感のようなものです、言うならば第六感。この世界では強くなればある程度気配に敏感になります。

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