第22話:世界の情勢
「今回はクロハさんが初めてだから、この世界についての勉強をざっくりとやります。リリア様は復習だと思って取り組んでくださいね」
「わかりましたわ!」
「お願いします」
城の大きな図書室にて、世界の情勢についての授業が始まった。
「それじゃあさっそく始めますよ~」
この教科の担任である、リールという女性はそう言ってこの世界についての説明を始める。
この世界はアーラスと呼ばれている。しかしこれはこの大陸、アストラ大陸で呼ばれている名称である。
「先生、他の大陸ではどう呼ばれているんですか?」
リールの説明にそう質問をするクロハ。
「それがですね、わからないんです」
「わからない?」
「ええ」
このアストラ大陸の他にも大陸があることが確認されているが、何故かその大陸に行くことができないとされている。
「確か、見えない壁のようなものがあるのでしたっけ?」
「その通りですリリア様」
リリアの言う通り、別の大陸へ海を渡って行くと、ある程度進んだところで見えない壁のようなものに衝突し、それ以上の進行ができないのである。
この現象の解明を行おうと日々積極的に研究を進めているのがアストラ大陸の最北東に位置するメニーラ王国という、アズラ王国には及ばないが広い国土を誇る大国である。
「メニーラ王国は長い年月研究を続けていますが、未だに見えない壁については解明できていないそうなんです」
「特に場所が海でしかも風が強いから研究が行いづらいのでしたよね」
「その通りです、しっかり覚えてそうで何よりです」
リリアの言葉を聞いてリールは彼女をそう褒める。
「他の国はその壁について研究しないんですか?」
「良い質問ですねクロハさん。メニーラ王国の目指している大陸とはまた別に複数の大陸があるため、他の国でも興味のある国はあるようです、しかしメニーラ王国と違って別大陸が物凄く離れている、そもそも沿岸部付近の国で興味を持っている国が少ない。それと現在では各地で戦争が勃発しかねない状態にあるそうなんです、なのでそう言った事をする暇が無いことも関係していると思います」
リールはクロハの質問にそう説明をして答える。
「戦争が勃発しかねない状態……」
クロハは彼女の説明を聞いて、そこが一番気になっていた。
「そうらしいです、私は戦争や政治についてはあまり詳しくは無いので、詳しいことは言えませんが……」
「戦争って大勢の命の奪い合いよね。みんな仲良くすれば良いのに」
「うん……」
戦争の話に、少し場の空気が重くなる。二人も理解していた、戦争がどういったものなのか。
「……話が脱線しましたね、お二方進めて良いですか?」
「良いですわ」
「うん」
そんな空気を変えようと話を戻したリールは、再びこの世界についての解説し始める。
「アストラ大陸はおよそ五百年前、ラーズト大帝国という一つの国でした、しかし各地で反乱が起こり、長い月を経て、現在の国々が生まれました」
アストラ大陸で現在、国とされているものは、全部で十六。
「そして現在、アストラ大陸で最も国土が広いとされている国はこの国、アズラ王国です」
アズラ王国はアストラ大陸のど真ん中に位置し、最も広い国土を誇ると言われている。
「更にアズラ王国の治安は他の国よりも良いとされ、年々移住者が訪れています」
アズラ王国は国土の広さだけではなく、治安も良いと非常に有名だ、そのため移住者が後を絶たない。
「続いてアズラ王国と他国の関係について」
アズラ王国は様々な国と親密な関係を築いている。
「中でもサンクラット王国とは盟友とも言えるほどの仲ですね」
サンクラット王国。アズラ王国の西、魔の森を抜けた先に位置する国だ。この国はアズラにとって盟友と言えるほど親しい国である。
冒険者と呼ばれる職の発祥の地で有名あり、冒険者ギルドと呼ばれる非常に規模の大きい組合の、本部がある。
「先生……私の、お父さんも……やってたんですけど、冒険者って、具体的に何するんですか?」
冒険者について聞こうと父の話を出すとクロハの脳内に一瞬トラウマが蘇った、そのため彼女は少々言葉を詰まらせながらそう聞く。
「ごめんなさい、それについて私は詳しくないので詳しくは冒険者ギルド職員か、戦闘学習担当の先生に聞いてください」
自身の専門外の問いに、リールはそう返す。
「分かりました」
「はい、では続きを。親しい国があるとすればまた敵対している国もあります、敵対している中でも……いえ、敵対されている中でも強大で有名なのはラストリア帝国ですね」
ラストリア帝国。アズラ王国の北、小さな森を挟んで北の位置にある軍事大国だ。
国土はアズラ王国の次に大きいとまで言われる広さを誇り、軍事大国なだけあって、武力がとても強大である。
帝国の皇帝はアズラ王国を一方的に嫌っており、敵対視している。
「ラストリア帝国は皇帝のどんな命令も絶対、命令に背くと罰されると言われています、命令によって世間一般的での犯罪に無理やり加担させられると言う人も居るようです。他にも様々な恐ろしい噂があるようです。私は絶対にそんな国には行きたくないですね」
「強大な力を持っている国がそんなだと恐ろしいですわね」
「うん」
リールの話を聞いて二人はそう言葉を溢していた。
「はい、あと少しだけやりますよ。では最後に先程も出た魔の森について」
魔の森とは、アズラ王国とサンクラット王国の間に挟まるようにある魔物が蔓延っている、アストラ大陸一大きな森である。
魔物の数が多く、強大な魔物も多く居るため、とても危険な森だ。
「先程も言った通り、アズラ王国とサンクラット王国は親しい中なのでよくお互いに使者を送るのですが、その際は本当に大変だと聞きます」
「先生、どうしてその森は魔物がそんなに居るんですか?」
「良い質問ですねクロハさん。まず魔物は魔力が長い間留まるとその場所に生まれます。何故なのかは現在判明されていないようですが、魔の森は特別魔力が溜まりやすい場所となっており、その結果魔物が大量発生するのです」
クロハの質問にそう丁寧に答えるリール。
「あ、ちなみに……これはこの授業とあまり関係ありませんが、魔物と動物の違いは体内に魔石があるかどうかで決まります。魔物には体内に魔石があり、動物は無いとのこと。覚えておくと何処かで役に立つかもしれませんね」
そう言って彼女は魔物についての補足をした。
「それは初めて知りましたわ!」
「うん」
「ふふっ、そうですか。では今回の授業はこれで終わりです、ありがとうございました」
「ありがとうございました!」
「ありがとうございました」
「お嬢様、次はカーラさんによる貴族の勉強でしたね、ここでの授業になりますのでここで少しお待ちください。クロハさんも受けるようにとカーラさんは言ってましたのでクロハさんもお嬢様とここでカーラさんを待っていてくださいね」
「え……」
「まぁクロハも! これは勉強が捗りますわ! 一緒に頑張りましょう!」
「はい……」
そうして世界についての授業は終わり、その次のカーラによる、貴族についての授業を受けたところでクロハの一日の勉強は終わりを迎えた。




