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その先は朱か黒か……  作者: ぬい葉
一章:地獄へと
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第11話:超再生

 ちょっとグロい描写があります。苦手な人は気を付けてください。

「では、これから究極複合生命体作成の実験を始めます」

「……」


 翌日クロハは実験室にて拘束され、博士の実験を受けることとなった。


「我々が求めるのは強さ、その為に様々な生物の能力を統合し、一つの生物とする。そしてその生物でアズラ王国を手中に収める。この目標を忘れないように」

「「「「はい!」」」」

「よろしい……さて、まずはどれ程の再生力があるのか確かめないとですねぇ……ということで今回は再生能力について調べます、手始めに浅く切りますか」


 そう言って、博士はクロハの腕を浅く切る。


「っ……」

「……ふむ、これぐらいならすぐ治ると、それにオークションで見た時よりも早い?」


 彼は治ったクロハの腕をまじまじと見つめながらそう呟く。


「では次は指を折りましょうか」


 予め決めていたのか、今度は懐からペンチを取り出してそう言う。


「づっ……ゔ」


 博士はクロハの中指をペンチで掴み、折ろうとする。その痛みに彼女は呻き声を上げる。


 ――ゴリッ


「ッ!づッあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああ!」


 中指を完全に折られ、クロハは痛みのあまり叫ぶ。


「うーん、煩いですね……っとそうでした、下を噛まれて死なれたら困りますね、猿轡を……いや、首輪の能力でできるかもですね」


 博士は思い出したと言わんばかりそう言うとクロハの首輪に触れ、拘束レベルを五へ上げる。


「あ゙あ゙ッ、ゔ、あ゙」

「舌を噛むことを禁ずる、声を出すことを禁ずる」

「――」


 彼の言葉によって、首輪が作用し、クロハは舌を噛んで死ぬことも、声を出すこともできなくなってしまった。

 レベル五の首輪の効果の“体を自在に操れる„は文字通りであるため、このように声を出さぬよう命令すれば対象者は声を出すことができなくなる。


「――――!!」


 クロハは首輪の効果に反して声を上げようとしたところ、命令違反と捉えられ、首輪の効果によって全身が激痛に見舞われることとなり、更に暴れる。


「では確認しますか……ふむ、少しずつですが確実に再生している、ひとまず完全に再生するまで待ちますか」


 拘束され、首輪によって何もできないクロハは、目に涙を浮かべて恐怖と絶望に表情を染めていた。



    ◇



「――ッ!!――ッッ!!!」


 あの後、僅か数十分でクロハの指は元通りになり、それに感極まった研究者らは、次々とクロハの再生能力の実験をしていた。


 単純な打撲、複数の切り傷、爪剥ぎ。足、手首の切断。腕、大腿の骨折、切断、押し潰し。


「なるほど、出血死は今のところなさそうですね、となると血液も天賦によって作り出されている可能性があると」


 肉を抉る、腹の切開。眼球や一部内臓の破壊、取り出し。脳の骨を砕く、穴を開ける。


「おっと、脳はこれ以上行うとまずそうですね……やはり不死身ではないのかもしれないですねぇ、とは言えこれだけされてもまだ生きているとは、とても感慨深いものですね」


 火炙り、冷凍、違法薬物の過剰摂取、毒の投与。


「泡を吹きだしました、すぐに解毒薬を!」


 それは単純な拷問よりも遥かに地獄であった。



(痛い痛い痛い痛いっ!)


 クロハは痛みのあまり気絶する、しかしすぐに痛みによって目覚める。何度も何度も。


(いたい、くるしい、いたい……)


(ぐるしい、だれ ゙か……)


 ――ビキッ


 クロハの中の()()ひびが広がる。


(あ、あは……いたい、くるしいよぉ、いたい、あはは……!いたい、いたい、いたい、いたい、いたい)


「なっ、闇属性の魔法……!」


 実験中、クロハは無意識に闇魔法を使い、辺りに闇属性の刃を撒き散らす。


「『魔法の使用を禁じる』……と、危なかったですね、皆さん被害は無いですか?」


 博士は予想外の出来事に驚きながらも、冷静に対処し、首輪の効力によってクロハの魔法を抑えることに成功する。


「ついつい忘れてました、闇属性の適性があることを……にしても無詠唱とは、この娘には驚かされてばかりですねぇ……」

「博士、三人負傷しました」

「そうですか、手当てしておいてください」

「博士、次はいかがなさいますか?」

「そうですねぇ」


 まだまだ研究したいといった様子の研究員の言葉に対してそう返しながら、博士はクロハの超再生について纏めた資料に目をやる。



『黒髪の少女』 

『天賦:超再生の詳細』


『体の部位が消失しても再生する』

『出血死の予兆が見られないため、超再生は血液をも再生していると考えられる』

『超再生は傷を受ける、もしくは超再生によって傷が治ることによって再生速度が増す』

『不死身ではない』

『血液を体中に送り出す心臓を破壊してしまうと、恐らく再生する前に死亡すると考えられる。ただ、将来的には問題なく生きている可能性が高い』

『脳の再生にも成功していたが、重要部位を破壊した場合、再生前に死亡する可能性がある』

『窒息は再生とは無関係であるため、超再生ではどうにもできないと推測』

『毒の解毒は不可能、しかし毒による身体の破壊は再生が可能』

『再生が止まらないことから、超再生は常時発動し、尚且つ制限が無いものと考えられる』



「……それなりに超再生についての情報は集まりましたね、今日はここで一旦終了とします。明日の実験については後ほど、現在の情報を整理してから告げます、では解散」

「わかりました」

「おつかれさまでした」

「おつかれさまでした」


 十分に超再生についての情報が集まったと思った博士は研究員たちに本日の解散を告げた。

 博士の言葉に反論する者はおらず、研究員は各位解散していく。


「…………」

「さてこの娘をどうしましょうか」


 博士は項垂れて動かないクロハを見てそう呟く。


「さすがにやりすぎましたかね、まあですが目的はあくまで超再生、最悪この娘の自我が崩壊したとしても問題は無いのですがね……どうせ明日も行うのですからこのまま動かさなくても良いですね。さて、私は超再生について正式に纏めるとしましょう」


 彼はそう言って、拘束された状態のクロハを置いて実験室を後にした。

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