第3話 あなたに身を委ねるわ
直接の性描写はありませんが、仄めかす描写はあります。
「さて、じゃま…ゲフン、ジークもいなくなったことだし、先ほどの続きをしようか」
ジークを帰した後。魔王はリリアーベルの部屋に戻り、彼女に迫った。
「え」
「キスの続きだよ」
「まっ…!」
彼は抗議しようとしたリリアーベルの唇を無理やり塞いだ。
「んっ…!」
逃げようにも、気がつくと壁に押し付けられており、すでに逃げ場はなかった。
彼は、宣言通り先ほどの続きをするようにさらに深いキスをした。まるで食べられているようである。
あまりのことに彼女は逃れようとしたが、ガッチリと頭を抑えられており、叶わなかった。
「まって…!もう、ジークも帰ったしキスは必要ないわ!」
彼の唇が少し離れた隙にリリアーベルはようやく抗議の声をあげた。
「いいや、そもそもキスは一回だけとは言ってない」
「確かにそうだけど…」
「それに…さっきリリアーベルが言ったんだよ、愛してるって」
「そ、それは、あなたが恋人みたいなキスがいいとかヘンタイじみたこと言うからそういうフリをしていただけよ!」
リリアーベルは必死に弁明したが、彼は取り合いそうもない。
「じゃあ、最後まで恋人のフリしてよ」
「最後まで…?」
「うん」
リリアーベルとて、ウブな娘ではない。王国では放任されていたこともあり、よくお忍びで出掛けては庶民の真似事をしていた。エピソードはたくさんあるが、そのうちの一つにオトナ女子向けのロマンス小説を読み漁る、というものがあった。そのため、そういったことの知識だけは豊富だった。
「いやよ」
故に、即断った。
しかし、彼は聞こえないかのように無視すると、いきなり彼女を抱き上げた。
「きゃっ!…ちょ、ちょっと、何するのよ…!」
彼はジタバタ暴れるリリアーベルを押さえつけると、ベッドまで運び、そのまま押し倒した。手首はガッチリ掴まれ、いかなる抵抗も許されない。
「可哀想なリリアーベル。魔王を倒しに来たのに、逆に美味しくいただかれてしまうなんて」
「…」
まるで、獲物を射止める野獣のような目線にリリアーベルは身震いした。今、なんだかとても危険な状況にいるような気がする。
「クソみたいな王様には感謝しないとね。無防備なリリアーベルをわざわざここまで届けてくれて」
「ま、まって、さっきからどうかしてるわ。ジークも言ってたけど、女なら私じゃなくても他にいるわ!」
「ははっ、確かに俺はどうかしてるよ、こんな何の力も持たない人間の娘相手に」
「そ、そうよ、だからやめ…」
「でも、君がいい」
「いやよ…!」
「今まで魔王の誘いを断った女はいなかった」
「魔王だからって何でも自分の思い通りになると思わないで!」
「…困ったな。俺は本気で嫌がる女を無理やりどうこうする趣味はない。疲れるし。だから言うこと聞いて」
「いやよ…!」
「それ以上嫌がるなら…そうだね、魔王軍を率いて王国滅ぼしちゃうかも」
「なっ…!ひ、卑怯よ!」
「どうとでも言えばいい。で、どうする?王国を見捨てるか、大人しく俺の言うことを聞くか」
あまりの選択に彼女は非難するような視線を彼に送った。
「私は王女よ、王国を見捨てるなんてあり得ない」
「じゃあ決まりだね」
「まって!王国では女性は結婚するまでそういうことはしないの!私は王女だからなおさらしてはいけないわ」
魔王は彼女の主張を聞き、くだらないとばかりに鼻で笑った。
「リリアーベル、自分が今どこにいるのか忘れた?ここは俺の城だよ、王国の決まり事なんて俺には関係ない」
あまりの暴論に彼女は睨みつけることしかできなかった。
「それにリリアーベルも言ってたじゃん、適齢期の王族がいないから嫁ぎ先もないって。このままだと、適齢期なんてとっくに過ぎたおじさんの後妻になるかもしれないけど、いいの?」
「よくないわ!…私にはロクな未来が待ってない。それなら…魔王様に身を売る方がマシだわ。…キスも、そんなにイヤじゃなかったし」
リリアーベルは、ついに一切の抵抗をやめた。
「あなたに、身を委ねるわ」
その言葉を合図に、彼の理性は吹き飛んだ。
---
「ねぇ、リリーって呼んでいい?」
「好きにすれば」
彼女は投げやりに言ったが。
「リリー、可愛い」
彼はリリアーベルの顔を見つめた後、恋人のようなとろけるキスをした。リリーの耳は真っ赤に染まった。
「ね、ねぇ、もし、赤ちゃんできちゃったら…どうするの?」
「種族が違うから大丈夫だよ。リリーは人間だし、そんな簡単に妊娠しないと思う」
「そうなの…?ならよかったわ…」
「だから何度もやらないとね」
安堵したのも束の間、リリーは絶望した。
「む、無理よ…!」
「ははっ」
彼は絶望に打ちひしがれているリリーの顔にキスをした。
元々成人用に書いていたものを健全にお直ししたので若干不自然なところがあるかもしれません…




