表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/114

77話 白熱! 逃走劇!①


 オークションが開かれている城。


 その城の広場でイズモは馬車の中で居眠りをしていた。

 今回の任務にあたって、もしものことがあった場合、デーヴァはシャイン号を近くの海域の磯で待機し、いつでも船を出せるように準備していること。

 そしてイズモはシウラン達や、クロエ、ハンター特殺部隊を馬車で送り届け、帰りに拾い、首都の繁華街にあるハンターギルドまで送り届けるという、至って気楽な役回りである。


 イズモは馬車の中で一人、この国名産の地酒エールをあおり、喫煙を満喫していた。灰皿に吸い殻が山のように積もっている。


 例えシウラン達にもしもの危険があっても、自分の身だけは安全だ。

 何かあったら、馬車を走らせ、ハンターギルドの組合の連中に知らせればいい。


 無論、危険を省みず馬車から降りて、オークション会場に乗り込み、仲間の窮地を救うなんて危ない橋を渡る気は、イズモの頭にはない。

 例え事態が無事終わろうが、トラブルが起きようが、イズモは言われた仕事以外やる気はない。


 せっかく一人の時間ができたんだ。

 気楽に酒を嗜み、タバコの味を堪能しよう。


 イズモが一人酒盛りを楽しんでいる中、不幸が起きた。

 馬車の屋根に大きな水音と衝撃が起こったと起こったと思ったら、水流が屋根を突き破り、馬車の中を水浸しにした。

 すっかり酔いが覚めたイズモの眼前に巨大な水槽を抱え込んだシウランが現れる。

 イズモのささやかな幸せはブチ壊された。

 水槽の重さで馬車が軋み始め、イズモが慌てふためくと、空からルァとクロエも現れた。

「シウラン、水の膜で覆うから、囚われのお姫様を助けてあげなさい」

 ルァがそう告げると、シウランはその膂力で水槽を粉々に破壊し、水浸しのマーメイドを抱き上げる。

 マーメイドは愛くるしい表情でシウランの身体に抱きついていた。

 頭の中で状況を整理し、クロエは水浸しの中で呆然とするイズモに指示をだす。

「今すぐ、馬車を出せるかしら、運転手さん。すぐに首都から出て、船に乗り込むわ」

 戸惑いながらイズモはクロエの言葉に答える。

「あー、えーと……。馬車は出せる。けどライエルはどうした? 他の連中は? シウランにくっついてる人魚はなんだ?」

 困惑するイズモの頬にクロエはビンタを炸裂させる。

 そしてもう一度指示を出す。

「いいから、馬車を出しなさい! ライエル達なら今、城の出入り口に向かってるわ! 急いで!」

 クロエの言葉にルァは疑問を口にした。

「ライエルが出入り口に向かって走ってるってなんでわかるのよ?」

 クロエの自慢の槍にゴキブリが何匹も舞っていた。

「ライエルの特技、虫の知らせね。さぁ飛ばして! すぐに追っ手がやってくるわ!」

 

 城の入り口に向かって必死に逃げ走るライエル達。

 それとは逆に城の外のマフィア達は異変が起きた会場へと駆けていく。

 なんとかその人混みを掻き分けて、入り口にたどり着いた時、シウラン達の馬車がライエル達に向かって駆けていた。

 馬車の窓から顔を出したクロエがライエル達に叫ぶ。

「急いで飛び乗って!」


 クロエの叫びを聞いたライエルは馬車の後方をよく見る。

 なんと馬車はトリケラトプスに追われていた。

 建物ほどの大きさの巨竜が咆哮を上げて、路面を砕き、大地を揺るがしながら、猛烈な勢いで迫ってくる。

 とてもライエル達を乗せるために停車できる状況ではない。

 ライエル達は意を決して馬車に飛び移る。

 まずマイヤが身体を投げ、シウランの身体に抱きつく。

「きゃっ! あぁ赤髪のシウラン様……」

次にエタールがシウランに飛びつく。

「ひっ! あぁなんて逞しい身体、もっと強く抱きしめてもらいたい……」

 マリヌスは一人で着地しようとしたが、身体がよろめき、倒れそうになったところをシウランが助ける。

「く……。礼は言わないよ! ……僕だって、僕だって……」

 最後にライエルが馬車に飛び込んだが、ゴロゴロと転がり、床に頭を強打してしまう。

 堪らずライエルは抗議する。

「僕だけ酷くないですか!?」

 シウランは悪びれもなく告げる。

「ゴキブリ使いなんて触りたくもねーよ。無事に乗れたんだから文句言うじゃねぇ! さっさとイズモと一緒に馬車の運転してこい」

 シウランの言葉に心が傷ついたライエルはトボトボと操舵席へ足を運ぶ。

 シウランとルァは馬車の窓から顔を出し、後ろに迫るトリケラトプスを見つめた。

 その上にはルーファウス達がいた。

「しつこい海賊どもだぜ」

「あれ? あの爺さんが相手してなかったっけ?」

「儂ならここにいるぞ!」

 ネロは馬車の屋根の上で座っていた。

 シウランがネロを見上げながら叫ぶ。

「ジーさん、アイツらやっつけてくれなかったのかよ!?」

「阿保抜かせ! あんな大勢の手練れ、足止めで精一杯だったわい! おかげで膝が外れてしまったわい!」

  

 ルーファウスは一心不乱にトリケラトプスの尻に鞭を入れる。

 鬼気迫る形相でシウラン達の後を猛追していた。

「クソガキども! お前らだけは許さん!! 踏みつぶしてやる!」

 激しい地響きと共に巨竜がシウラン達を乗せた馬車に迫りくる。


 今、シウラン達と海賊達の戦いは佳境を迎えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ