表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/113

73話 激闘! オークション③

 

 ルーファウスの結界が崩壊し、会場内で生き延びたマフィアの残党はその恐怖から我先にと出入り扉に殺到した。


 無理もない。

 目の前の光景は、巨大な氷柱で数多の人間が串刺しにされている、無残なものだ。

 しかもその手練れの刻の刃が複数人もいる。

 腕に覚えがある人間ほど、今ある状況に危機感を覚え、その場から離れることを意識してしまう。

 シウラン達もそうであった。

 現場を指揮するクロエも撤収を判断した。

 しかし、クロエには虫で会場の外の通路を偵察していたライエルの事前の異変を知っている。

 

 オークション会場の通路には罠の危険がある……!

 別の脱出口を探すべきね……!


 クロエの視線はオークション会場の従業員用の裏口に向けられた。

 そしてすぐにシウラン達に目配せをして、声を上げる。

「裏口までのルートを確保して!」

 クロエの指示にシウラン達は頷き、すぐに護衛対象のマフィアの男を囲い、会場の裏口へと足を向けた。

 ガイウスは倒れたエタールとマイヤの回収を急いだ。


 その時だ。

 会場の出入り口扉から絶叫が響きわたる。

 何体ものデュラハンが現れ、マフィアの男達をその死神の剣で斬り刻んでいった。

 プテラノドンに跨る物静かな長髪の男が呟いた。

「精霊操術……、ここの通路は私の使い魔で封鎖してある。一人も逃がさん……」

 騎士の亡霊デュラハンは通路へ逃げようとしたマフィア達に襲いかかっていった。

 それを見たルーファウスはハッと思い出したかのように物静かな男に呼びかける。

「おい……グェン。……ちょっと不味いんじゃねぇか? 姉御は力を見せつけろって俺達に命令したよな? ここにいるマフィア全員根絶やしにしたら、この派手な光景を知ってるの俺達ぐらいしかいねーぞ……。デュラハンに一人ぐらい見逃すように指示だしてくれよ……」

 グェンと呼ばれた物静かな男が眉を顰めてルーファウスに抗議する。

「あのデュラハンは召喚術式で呼び寄せた。……細かい指示はできんぞ。……そういうことは先に言ってくれ。そういうことなら、スケルトンとか弱そうな連中を召喚すれば良かった……」


 まさにオークション会場は阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 手錬のマフィアやその護衛達はルーファウス達、刻の刃の手によってなすがままに流血を散らし、命を落としていく。


 その光景にルーファウスとグェンは二人して顔を青くした。

 どうしよう、といった顔で暴れるデュラハンを呆然と眺めている。

 そんな二人に龍族のユーリが呼びかけた。

「心配しなくても、別方向から会場に逃げる連中いるよー? ルーファウス、アイツらは見逃すの?」

 ユーリが指指す方向にルーファウスが顔を向けると、自分の顔に泥を塗った因縁の赤髪と青髪の少女が映った。

 シウラン達を見たルーファウスがかっと目を見開いた。

 書きたくもない小説執筆で痛めた腱鞘炎が疼きだす。

「冗談吐かせ! あのガキ共は絶対に許さん! メイ、やっちまえ!」

 ルーファウスに指示された女性、メイは溜息をついてから、シウラン達の方へと手をかざす。

 シウラン達の足元に闇の影が走りだす。

 メイが闇の顎を顕現させようとすると、突然、ルーファウス達の眼前に鮮血が舞い散った。

 ルーファウス達が乗っていたプテラノドンの首が刎ねられたのだ。

 一匹残らず、一瞬で胴体だけのプテラノドン達が崩れ落ち、ルーファウス達も会場の床に叩きつけられる。

 愛しのペットを殺されたユーリは何が起きたかと慌てて起きると、目の前に鋭い手刀が襲いかかっていた。

 すぐに仲間のジークがユーリを蹴飛ばし、その不意の一撃を躱す。

 相手の虚を突いた一撃を避けられ、思わず舌打ちした者の正体は初老の男、傭兵のネロであった。

「ちっ! まだまだしのびたりないわい! ずいぶんと仲間想いじゃねぇか、若いの。嬢ちゃん蹴るんじゃなくて、儂を蹴飛ばせば、いい一撃が入ったはずだぜ?」

 ジークは身構えて、ネロを見据え、呟く。

「そうすればアンタは必ずユーリを殺す。それは困る。とても困る。ウチは人手不足なんだ。労災事故厳禁だ。それに現場の欠員は仕事の効率を下げる……」

 するとルーファウスが現れ、ジークを窘める。

「ジーク、落ち着け……。このジジイ、強いぞ……。この場にいる全員でかかるんだ……」

 ジークに脇腹を蹴られたユーリは痛めた箇所を抑えながら、ルーファウスに尋ねる。

「アイツら逃げちゃうよー?」

「問題ない。ロイとウェッジが向かってる。ジジイだからって油断するなよ……。あの腕の入れ墨……間違い無い、グラスランドの特殊部隊の生き残りだ……。統一戦争で生き残った猛者が目の前にいるんだ。気を抜くな!」

 ネロはひょうきんな表情を浮かべ、指を鳴らす。

「やれやれ、老人相手に袋叩きとは、最近の若者は怖いねぇ」

 

 嵐の前の静けさが周囲を包み込む。

 その時、シウラン達が裏口に辿りついたところで、別れた凶刃が迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ