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67話 クロエからの依頼②


 シウランの言葉に瞳を大きく開けたクロエは、微笑をやめ、真剣な表情でシウランを真っ直ぐ見つめる。


「私の若い頃の仲間もそんな目をしてたわ。その強い瞳、とても懐かしい。旅の途中で申し訳ないんだけど、お姉さんからの依頼、受けてくれるかしら?」

 するとシウランの代わりにルァが答える。

「ギャラ次第よ!」

 ルァの発言にシウランもライエルも糾弾するような目をしていた。

 デーヴァは我関せず、水槽の古代生物を眺めていた。

 クロエは静かに微笑んで答える。

「貴方達の依頼内容は要人警護。ギャラはそうね、この船が二隻は買えるぐらいよ」

「乗ったわ! むぐぅ……」

 勝手に話しを進めよとするルァの口をシウランは大慌てで塞いだ。

 そしてライエルとルァ、シウランは三人で相談する。

「このパターンはヤベェ……。絶対厄介ごとに巻き込まれるぞ……」

「確かにボンベイはこっちも寄港予定でしたが、目的は食糧調達です。前回みたいに反乱に巻き込まれるなんてシャレにならない……」

「大丈夫よ。単なるボディガードでしょ。それで大金貰えるなんてうまい話、乗らない手はないわ!」

「クロエ先輩ほどの大物ハンターが要人警護なんて普通じゃあり得ないことですよ。ちょっと詳細な説明を先輩に聞いてみます」

 ライエルが怯えながら肩を震わせてクロエに尋ねる。

「く、詳しい依頼内容を聞いてもよろしいですか?」

「ええ、護衛対象マフィア、東亜連合の若頭リオウ。期限は奴が今度ボンベイの首都で開かれる闇オークションで出品されるマーメイドを競り落とし、入手するまで。そして私の目的はそれまでリオウを監視し、リオウが手に入れたマーメイドを奪取することよ」

 シウランが疑問をぶつける。

「それでなんで俺達の依頼が護衛だけなんだ? 要するにソイツが手に入れたヤツを奪えばいいんだろ?」

「流石に奪取の任務までは危ないわ。それにリオウってのはあちこちから狙われてるから、護衛も重要な任務よ」

 ライエルが申し訳なさそうに手を挙げる。

「あのー、先輩の目的はマーメイドの保護ですよね? そのリオウってヤツが手に入れる前にマーメイドをこちらが奪えばいいのでは? オークション前に奪還とは出来ないんですか?」

「残念だけど、その闇オークション自体が大陸中のマフィアが手を組んで主催してるものなのよ。警備が厳重過ぎるわ。だったらリオウがマーメイドを手に入れてからの方が安全だわ」

 ルァがクロエに疑問を投げかける。

「なんでマフィアの若頭やってる奴の護衛がハンターなわけ? 普通、自分とこの構成員がやるでしょ」

「リオウは自分の組織からも狙われてるような奴なのよ。それにアイツはハンターとのコネクションで力を誇示しているの。今回アイツの護衛に当たるのは皆んなベテランハンター達で構成されているわ。勿論、全員こちらの味方よ。つまりリオウはハンターに囲まれてオークションに参加する形になる。」

 シウランが首を傾げる。

「熟練のハンターが何人もいるんだろ? 俺達いらなくねーか? ギャラも破格過ぎるぞ」

「今回の闇オークションでは各国の海賊やマフィア幹部達が腕利きを揃えているの。ネームドの傭兵や暗殺者を雇う奴もいる。組織の武力を誇示するためにね。不測の事態も兼ねて戦力はあった方がいいわ。それにマーメイドの保護にはそれだけの価値があるの」

 シウランとルァが顔を見合わせて、海賊というワードに嫌な予感が過ぎらせる。

 恐る恐るシウランがクロエに尋ねる。

「……やっぱり燕の海賊とかも参加したりするのか?」

 クロエは机に置いた槍を強く握り、低い声で答える。

「ウチのシークレットハンター達が持ってきた情報で、その燕の海賊が今回の闇オークションで妙な動きをしているらしいわ。ボンベイは海賊、マフィア、ギャングが不戦協定を結んでいるはずなのに、その均衡が崩されるかもしれないわ……」

 危ない橋を渡りたくないルァが依頼のキャンセルを口にしようとした時、シウランか再びその口を塞ぐ。

 ルァはシウランに抗議する。

「何するのよ! 冗談じゃないわ! またカミナリ男とリベンジマッチすることになるわよ!」

「ルァ! 逆転の発想だ! こっちにはベテランハンター達もいる。この際だ、ここでアイツら海賊連中を叩き潰そう。この槍の姉ちゃんの力があれば絶好のチャンスかもしれねーぞ!」

「確かに追われ続けてるのは性に合わないわね。ひょっとしたら、他の海賊やマフィアもお互いに潰し合ってくれるかもしれないわ……」

 ライエルは二人の密談を聞きながら嫌な予感に襲われた。

 この二人が悪だくみしてる時、必ず事態は最悪の斜め上に行くことを、出会ってから知っていたのだ。

 二人に内緒でクロエに依頼のキャンセルをしようとすると、クロエがライエルの耳元で甘く囁く。

「私の後輩の女の子と今度合コンセッティングしてあげるわ。貴方の大好きな獣族の若い娘達よ」

 クロエは魔性の笑みを浮かべ、ライエルの耳たぶを撫でる。

 ライエルは誘惑に負けた。


 かくしてシウラン達はハンター、クロエの依頼を受けることになり、ボンベイへと船の進路を進むのであった。


 シウラン達は知らない。


 更なる苦難が待ち受けることに。

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