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35話 ウェッジ再来!


 夜の海からの襲来者にシャイン号の船室には緊張感に包まれていった。


 ウェッジのナイフがライエルの首皮を斬り、血が滲む。

 恐怖に身を震わせていたライエルは下半身を激しく濡らしていた。

 イズモは外の看板で倒れている。

 ルァに起こされたシウランは寝起きのせいか、不機嫌そうな顔をして、ウェッジを睨みつける。

「よぅ、銀髪の兄ちゃんじゃねぇか。 おや? お前、ゴツい鎧はどうした? 武器もそのナイフぐらいしか無いみてぇだな」

 ウェッジがワナワナと震えながら答える。

「テメェらが港で派手に俺らの船をぶっ壊したせいだ! 自慢の鎧も、武器も海の底に沈んじまった! それどころか何日もこの馬鹿広い海を漂流するハメになっちまったよ!」

「……お前一人か? 他に仲間とか来てるんだろ?」

「ざけんな! オレの部下も仲間もみんな、あの光の塵になっちまったよ! ルーファウスともはぐれちまった! よくもあんなひでぇ目に合わせてくれたな!」

「……ちなみに何人の仲間と来てたんだ?」

「あ? 500人だ。それがどうした?」

 ルァがボソリと呟く。

「ずいぶん大量に殺戮したわね、シウラン。私、貴方が怖いわ……もはやジェノサイダーね」


 シウランは改めて自分の罪の意識に苦しむ。


 思わず両膝を崩して頭を抱えてしまう。

 デーヴァが空気の読めない発言をする。

「あなただけでも無事で良かったです。助かって良かったですね」


 ウェッジが激高する。

「船をぶっ壊したテメェらが言う台詞じゃねぇだろ! しかしオレはツイてる。こうして古代の魔法船を手にすることができんだからよ。このションベン臭い兄ちゃんの命が惜しいなら、全員、外に出ろ。安心しろ。殺しはしねぇ、夜の海にダイビングしてもらうだけだ」

 ウェッジの脅しに微塵も動じないルァはハッパを吸いながら、呟く。

「残念だけど、遊泳は満喫したわ」

 そしてルァが小指を立てる。


 すると船内が激しく揺れ出した。 

 支えの無いウェッジがバランスを崩すと同時に、水の触手に縛られ、看板へと投げ出される。

 ウェッジが何とか立とうした時には遅かった。

 ルァが作った水の結界に放り込まれてしまったのだ。


 ハッパを吸うルァが吐き捨てる。

「海上で喧嘩売るのが浅はかね。海水が武器になる水使いに勝てる訳ないでしょ」

 ウェッジはルァの結界の水の中でもがくように溺れている。


 それをわき目にルァとデーヴァが倒れていたイズモに駆け寄った。

 イズモに目立った外傷はない、気を失っているだけだ。

 するとシウランがルァに声をかける。

「ちょっと下がった方がいいぞ。アイツ強いわ」


 ルァが振り返ると、自分の作った結界が破られていた。

 ウェッジは肩を上下させながら、ナイフを構えている。

 シウランはウェッジのナイフに刻印が有り、それが特殊な魔法武器であることを見抜いた。

「ずいぶんいいエモノもってるじゃねぇか銀髪」

 ウェッジは眼光を鋭くさせる。

「斬り刻んで、ミンチにしてやる!」


 離れた位置にいるウェッジがナイフを振るう。


 すると見えない斬撃が飛んできた。


 すかさずシウランはデーヴァとルァを組み伏して、それを躱す。


 避けられても構わず、ウェッジは次々に斬撃を飛ばしていく。


 ウェッジの放つ斬撃の嵐を前に、シウランは指でコインを弾いた。


 ただのコイン飛ばしではない。

 シウランの膂力によって強く弾かれたコインは高速回転し、最早弾丸のような速さでウェッジに向かっていく。


 シウランの放つ指弾をウェッジは見極めていた。


 寸前で持っているナイフで弾く。


 すると腹部に強烈な衝撃が走った。


 シウランの飛び蹴りが炸裂したのだ。


 シウランは指弾で作った隙を見逃さず、僅かな瞬間にウェッジに肉薄していた。

 シウランの手加減抜きの蹴りを直撃してしまったウェッジは、余りの威力に船から放り出され、海面へと落ちてしまう。


 シウランが海に浮かぶウェッジに向かって告げる。

「ウチの船は無賃乗車お断りなんだ。夜の海で頭冷やしてこい」

 ウェッジは忌々しい顔しながら、怨嗟の言葉をぶつける。

「殺してやる! オレをまた漂流させやがって! 生まれたことを後悔するような思いをさせて殺してやるからな!」


 ウェッジの死の宣告が夜の大海原でこだまする。


 シウランとルァ、デーヴァはそれを耳にしながら、優雅にハッパを吸う。


 神のハーブの煙がシャイン号を包んだ。


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