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28話 反魂修霊の術儀

 

 シウランがエコーと名乗る美少女になすすべなく敗れ、優しく膝枕されていると、そこに突然、銀仮面の男が現れた。


 その時、シウラン達の周囲が青い闇に包まれる。

 その闇の中から銀仮面が浮かび上がる。

「エコー。上出来です。彼女とはもっと親睦を深めておきたかったのですが、大人しくしていますね。これから反魂修霊の術儀を行います」


 銀仮面の男が片手で印を結ぶ。

 そしてもう一つの手で水晶を掲げた。

「繁氣と久遠の精よ、まずはここに起きるべき魂を捧げる……」

 すると水晶が弾け、銀仮面の右腕は朱色の炎に包まれた。

「安興と永念の精よ、今ある宿り木に鎮魂の眠りを与える。新たな触媒に眠れ……」

 すると印を結んだ左手に白い炎が宿る。

 それだけでなく、この周囲一帯が白い炎に包まれた。

 そして銀仮面がシウランの耳元で囁く。


「さぁノア……。新たな憑代だ。その身に宿りなさい。長い眠りから覚めるんだ……」

 しかしシウランは全力で力を振り絞り、その銀色の仮面に唾を吐きつける。

 予期せぬ行動に銀仮面は思わず首を傾げる。

「おかしいですね。術式の儀は問題無いはず。母さんもこれで起きたのに? ひょっとして貴方、意識はある?」

 シウランは苦しそうに息をしながら、減らず口を叩く。

「さっきから何ホザいてる、賢者様よぉ……」


 すると銀仮面は思わずその仮面を地面に落とす。

 仮面の下からは、賢者シュナの愕然とした表情が曝け出された。

「……ネックレス! 貴方、手渡したはずのネックレスを持ってないのか!? どこにやった!?」

 挙動不審な賢者を不思議に思ったシウランが呆けた顔をして答える。

「あん? あの妙に派手な首飾りなら、うちの看板娘のネムが嬉しそうに身に着けてたぜ?」

 ワナワナと震えながら、仮面を外したシュナは白い炎を纏った左手でシウランの襟首を掴む。

「何てことを……貴様ぁ!!!!」


 するとシュナの肩が大きな手に掴まれる。

「星霜よ……。言ったよな? ウチの弟子にお触り禁止だって」


 武神の姿がそこにはあった。

 そして背後から肩を掴まれたシュナはシウランが瞬きをする間に武神から距離をとっていた。


 シュナが自身の周囲にカードの嵐を展開する。

「貴方への対策は万全に整っています」

「ほぅ……」

 と武神が口角を上げながら片手を上げ印を結ぶ。

 すると周囲に立ちこめる白い炎は瞬く間に消えた。

 そしてシウランの身体の自由が戻ったことを自覚する。


 武神は腰に下げた酒瓶をあおると、弟子達に告げる。

「賢者相手だ。ちと本気を出す。シウラン、気絶しているルァを連れてお前らは下がっていろ。できるだけ遠くへ」

 武神の頼もしい言葉にシウランは思わず笑顔になる。

「わかった! 最強の武神の力を発揮してくれ!」


 するとシュナは歪んだ笑みを浮かべた。

「やはり飲みましたね。弟子も馬鹿なら師も同じらしい」


 すると武神の身体に異変が起こる。

 全身が震え出し、堪らず片膝をついてしまう。


 察しのいいイズモはすぐにそれが毒だと気付いた。

「まさか、飲んだ酒に!? 毒を使うなんて卑怯者が!」

 苦む武神を眺めながらシュナは優雅に答える。

「毒なんてこの男に効きませんよ。これは呪いです。私が古代魔法を研究、改良を加えたものですよ」

 シウランが武神の元へ駆け寄り、安否を確認する。

「大丈夫か!? 師匠!?」


 すると大柄な武神の姿がみるみるうちに小さくなり、獣のような毛に包まれる。

 その様子に堪らずイズモは悲鳴を上げる。

「ま、まさか野獣の姿に変えられているのか!?」


 武神の姿はさらに縮む。


 これでもかと小さくなる。

 シウランの靴と同じサイズまで。


 そしてその姿はまさに小さなドブネズミだ。

  

 その滑稽な姿にシュナは高らかに笑う。

「いい様だな武神。敵の酒なぞ呑むからこうなる。エコー、武神伝説に終止符を打て」

 シュナの命令を聞いたエコーは躊躇なく足下のネズミを踏み潰そうとする。


 しかしそれは空を切ってしまった。


 エコーは足下のネズミを見失う


『やれやれ物騒なお嬢さんだ。まずは御退場願おう』

 エコーの視界には空を舞うネズミがいた。

 それが小さな手で、莫大な(タオ)を収束させ、エコーの全身に叩き込む。


『当分手出しできまい』


 そのあまりの衝撃をまともに受けたエコーは海の彼方へと吹き飛ばされる。


 その圧倒的な光景にシウランは我が目を疑った。


 あれだけ俺が手も足も出なかったヤツが一発かよ……。


 なんでネズミになったのに強ぇえんだよ……。

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