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24話 対決 ルーファウス!

 

 ルーファウスの周囲に吹雪が舞い、シウラン達のマイホームは凍りついていた。


「さてと、仕事の時間だ。黒髪の少女の保護と、赤髪、青髪のガキ二人のお仕置きだな」

 

 ルーファウスは片手剣の切先で魔法を編む。

「氷弾」

 瞬時に氷の塊が形成され、それが幾重にもシウラン達に襲いかかる。


 ルーファウスに迫るシウランはその氷弾を避けるでも、防ぐでもなく、なんと突破した。

 襲いかかる大きな氷の塊をその拳の力で粉砕する。

 その行動にルーファウスは驚愕する。


 俺の氷をこんな馬鹿な真似して破るだと!?

 ならこれならどうだ!


 ルーファウスは空間に四方八方に形成した氷弾をシウランの周囲に展開させ、同時に襲撃させる。


 シウランは魔法が使えない。

 しかし、対魔法戦においては無類の強さを発揮する。


 手、肘、膝、爪先に(タオ)を集中させ、飛び跳ねて空中で無数の刃を繰り出し、自身に襲いかかった氷弾を切断していく。


 その光景に呆気に取られたルーファウスであったが、すぐにシウランが自身に肉薄することを悟り、魔法を展開する。


「氷壁」

 ルーファウスは分厚い氷の壁を前方に展開し、シウランの行く手を阻んだ。

 さらにルーファウスはシウランの後ろにいるルァも警戒していた。


 こいつは水魔法を使う。同時発動で結界で封じ込めるか……。


 ルーファウスは剣先で魔法を発動させ、ルァの周りを氷雪の嵐で包みこんだ。


 それが誤算だった。


 ルーファウスがルァと認識していた姿はルァが自身の水魔法で反射させた幻影だった。

 すでにルァはルーファウスの背後をとっていた。


 ルーファウスにとってさらに誤算だったのはルァがただの魔法士だと勘違いしていたことだ。

 接近されたところで、剣で薙げばいい程度にしか思っていなかった。

 しかしルァは咄嗟に振り下ろされた剣を素手で受け止めていた。


 ルァは自身の手に圧縮させた水圧で包み、それで剣の刃を防いでいたのだ。

 そしてガラ空きだったルーファウスの胴体、鳩尾に膝蹴りを叩き込む。

 誤算の連続と痛みでルーファウスは一瞬戸惑う。


 まさか、こんなか細い身体でコイツも近接格闘できるのか!?


 ルァが手刀でルーファウスの首を裂こうとするが、ルーファウスは氷の膜でそれを防ぐ。

 すると爆音とともに、先程展開していた氷の壁が砕け散った。


 氷の破片と共に現れたシウランがルーファウスに肉薄する。

 猛然と迫るシウランの回し蹴りとルァの回転肘打ちが同時に繰り出された。


 しかし、間一髪のところでルーファウスはそれを両手を防ぐ。

「……お前らを舐めていたな……」


 シウランとルァは驚く。

 今の攻撃は完全に相手の虚をついた攻撃である。

 何よりシウランの渾身の蹴りを平然と受け止めていた。


 この男、只者ではない!


 凍てつく風がシウラン達に吹雪く。

 すぐにルーファウスが大技を繰り出すと悟った二人は一斉に距離を取った。

 吹雪と共に宙に舞ったルーファウスが印を結ぶ。

「市街地で大事は避けたかったんだが、お前らには大人の怖さを思い知らせてやる……」

 なんとなく、二人はルーファウスが危険な魔法を放つと悟った。

 すかさずシウランはルーファウスが作った氷の塊を放り投げるが、ルーファウスの眼前で虚しく砕け散る。


 ルーファウスは低い声で囁く。

「空間錬成……」


 するとルァの甲高い声が響く。

「それをやったら、この女をここで殺るわよ!」

 ルァは黒髪の少女の首筋にルーファウスが落とした剣先を突き出し、人質に取っていた。

「貴方の目的はこの子なんでしょ!? それをやったら命はないわよ!」


 突拍子もない行動にルーファウスは呆気に取られた。

 咄嗟に魔法展開を解除し、ルーファウスはワナワナと震え、怒りの感情を滲ませながらルァに怒鳴る。

「お前らは本当にクズガキだな!!」

 ルァの行動にルーファウスだけでなく、相棒のシウランすらヒイていた。

 しかし、ルーファウスに効果的と悟り、シウランも続ける。

「スラムを舐めんなよ、こんな女、傷ものにするのも店で商売女にさせんのも躊躇いはねー。ここで大人しく退いたら、何もしねーよ」


 ルーファウスは肩を震わせながら、怒りの感情を抑え、事態を冷静に考える。


 クソ! 

 まさか女を人質に取られるとは誤算だった。

 しかもあの二人、こないだ観察した時より強い。

 しまった、急に膨大な魔力を急停止させられたから、こちらの消耗も大きい……。

 これ以上無様を晒すわけにはいかんか。


 ルーファウスは苦虫を噛み潰したような顔で、シウランとルァを睨みつけ、吹雪の嵐を起こした。

 そして姿をくらます。


 一難去って、シウランとルァは凍りついた地面にへたり込んだ。

 キアヌがシウランの元へやって来て、頭をシウランの胸元に擦りつける。

 シウランはキアヌを優しく撫でて、黒髪の少女の所に足を運ぶ。

 ルァと一緒に見下ろし、尋ねる。

「海賊に狙われるってお前、何者だ?」

 少女は何事もなかったかのような涼しい顔して、小鳥の囀りのように囁く。

「私はデーヴァ、航海用ナビゲーションロイドです」

 シウランは意味不明な言葉に頭を抱える。


 しかしルァは違った。

 ルァに天啓が降りた。


「貴方、今航海って言ったわよね!?」

「その通りです」

 そしてルァはシウランの肩を抱く。

「シウラン! 海よ! 船で海まで逃げれば、あの師範も追ってこないわ!」

 ルァの言葉にシウランも目を輝かせる。

「その手があったか! 流石ルァだ。師匠のしごきより、海賊に追われる方がマシだ!」


 喜びのあまり抱き合う二人を見て、事情のわからない黒髪の美少女は首を傾げた。

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