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惑星記  作者: フランクなカイザーフランク
第二章 サイシュ公国戦争
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第29A特務大隊

 通された部屋にはシクス将軍が座っていた。セイツェマン達に気がつくと、ゆっくり席を立って迎え入れた。


「英雄の仕事で忙しい時に呼び出してしまってすまない。こちらも色々とやることがあってな。早速本題に入ろうか」


 シクス将軍は机の上に置いていた資料を開けると、そこにはセイツェマンら6人の写真と経歴が書いてあった


「今、第六航空艦隊が対航空艦隊戦に向けた改修作業を受けているのは知っているだろう。その間、英雄である君達には帝国の宣伝活動に従事してもらおうと思っているのだが、君たちの意見を聞こうと思ってな」


 セイツェマンとしては命を失う可能性は低い方がいい。もちろん後方勤務は大歓迎だ。


「私は前線勤務を志望します」


 アモスが口を開いた。何を言ってるんだと辺りを見渡しても、他の者から異論はない。こんな状況では本心を語れるはずもない。


「そうか、そう言うと思って別の選択肢を用意しておいた」


 シクス将軍は机の引き出しを開けると中から封筒を取り出した。


「今度、帝国では新兵器に使った新たなエネルギーを用いた航空兵器を実用化しようと考えている。従来よりも数百倍の航続距離をもち、鋼鉄より硬い装甲を持つ爆撃機だ。君たちにはその運用部隊の隊長機に乗って欲しい」


 将軍のいる部屋から出ると、そのまま列車に乗って帝国軍実験場へと連れて行かれた。

 実験場に着くと待ってましたと言わんばかりに数十人の兵士が整列していた。


 すると、実験場の職員らしき人物が寄ってくる。

「ジェルソン隊長と帝国の英雄様方、お待ちしておりました!ささ、新設された部隊の隊員に一言お願いします」


 演説台を指さされ、言われるがままに階級が一つ上がったジェルソン“少佐”はマイクの前に立った。

「えー ニッキー・ジェルソン少佐だ。この隊の隊長を務める。よろしく。我々29A特務大隊はここで訓練を行った後、第三海上艦隊で実戦配備となる。新兵器に戸惑うこともあるだろうが慣れていってくれ。以上だ」


 話が終わるとそれぞれ新型機に試乗することになった。従来型と大きさは変わらないが、新エネルギーのおかげで燃料の重量が遥かに軽くなっているそうだ。


「ここにエネルギーメータがあるじゃないですか、ここが0になると燃料切れになります。普通に飛んでいれば一回の飛行で燃料切れになることはありませんが、エネルギー装甲を使用するときは注意してください」


 ジェルソン少佐が聞く

「エネルギー装甲とは?」


「この機体に積んである新エネルギーを使った装甲です。機体の周りにエネルギー障壁を展開することで至近弾は防げるようになります。流石に直撃弾はエネルギー装甲を貫通してしまいますが、生存性は格段に上がります」


「エネルギー装甲で何か留意点などはあるのか?」


「そうですね、装甲展開中は外側からの攻撃だけでなく内側の攻撃も防ぐので、展開中に機関銃で敵を撃つというようなことはできないです」


 説明が終わると第29A特務大隊は飛行訓練を行った。


「エネルギー装甲なんてすごいな!まるで映画を見てるみたいだ!」


「やっぱり帝国の技術力はすごいな」

 アモスとそんな話をしていると無線に連絡が入った。


「ただ今よりエネルギー装甲実証試験を行う。当該空域を飛行中の部隊はエネルギー装甲を展開せよ」


「了解。第29A特務大隊、エネルギー装甲展開せよ」


 バチバチと音が鳴った後、メータを見ると減りが速くなっていた。しかし、外を見ても変わったところはない。


「全機、エネルギー装甲展開を確認」


「これより対空砲撃を行う。各機衝撃に備えよ」


 無線が終わると地上からの対空射撃が始まった。近くで爆発するものの、機体は無傷なままだ。エネルギー装甲の実力は本物らしい。


 飛行訓練と装甲試験が終わると、そのまま第三海上艦隊へと向かうことになった。




 飛び始めてから20時間、無補給で第三海上艦隊上空までやってきた。途中でアモスがトイレの処理を間違えたおかげで機内には臭いが充満している。

 航空母艦に着艦すると、盛大な歓迎を受けた。人の波をかき分けて白髪の老兵が近づいてくる。


「あなた方が、かの英雄様御一行ですか!私は第三海上艦隊艦隊長のルビウスです!第三艦隊へようこそ!」


「我々は第29A特務大隊です。今回は将軍シクスの命で第三海上艦隊配属となりました。よろしくお願いします」


「あなたはニッキー・ジェルソン少佐ですな。話は聞いております。艦内を案内しましょう。新型機はしっかり格納庫に入れさせてもらいますのでご安心ください」


 そう言うと老兵は満面の笑みで艦内を周り始めた。

 航空艦隊と違う箇所は多くあったが、特に驚いたのが釣りができるところがあることだ。釣った魚は食事のメニューに入れられるらしい。新鮮な食料があるのはとてもありがたい。


「ここが作戦司令室。ここに映っているのがこの艦隊の居場所です。今はサイシュ公国と帝国領南西諸島群の間の海峡にいますな」


 サイシュ公国とは帝国と西の海を挟んでいる国だ。元々は帝国の北にあるオトシュ王国の領地だったが、侵略戦争の影響で国家が分断されてしまい、そのままオトシュ王国から独立を果たした国だ。独立をしたと言ってもオトシュ王国とサイシュ公国との関係はいまだに深い。サイシュ公国は世界一とも言われる海軍戦力を持っており、艦艇保有数は帝国の2倍である。


「特務大隊はこれからどうされるのですかな?こちらは大隊の言う通りにやらせろとしか聞いておりませんが」


「この海域で洋上訓練を行おうかと思っています。海上戦や航空戦、出力を抑えたA-1爆弾を用いた爆撃訓練もやろうかと思っています」


「その訓練に是非とも第三艦隊の一部を参加させてやってはくれませんか。最近はこの地域での戦闘が少なく、腕が鈍ってるでしょうから」


「よろしいのですか。なら、特務大隊と第三艦隊との勝負ということで」


「気合いが入りますな。張り切っていきますぞ」


 こうして第29A特務大隊 vs 第三海上艦隊の模擬戦が行われることになった。




「全機エンジン始動!発艦準備!」


 轟音と共に続々と爆撃機が発進していく。ジェルソン機長が無線で大隊に呼びかける。


「この戦いは海上艦隊と航空艦隊それぞれの威信をかけた戦いだ。訓練だからと気を抜くんじゃないぞ。新型機の威力を思い知らせてやれ」


 空母でも艦隊長が船員を鼓舞していた。


「航空艦隊が発足してからというもの、我ら海上艦隊は戦争の主役から下ろされてしまった。しかし!ここで爆撃機を全機撃墜し、第三海上艦隊の名を帝国に轟かせるのだ!」


「間も無く、第29A特務大隊が予定位置に到達します」 と無線で流れると特務大隊は大きく旋回をして海上艦隊に目標を定めた。


「全機突撃!」


 機長の合図で全機がスピードを上げて海上艦隊に襲いかかった。

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