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惑星記  作者: フランクなカイザーフランク
第一章 結末へ向けて
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艦隊決戦

 第六皇子シクスは自身の名がつく戦艦「シクス」に乗艦していた。敵の第一次攻撃が収まったので艦内では作戦会議が行われた。


「この艦隊も敵の攻撃に遭いましたが、被害は駆逐艦小破のみで収まりました。迎撃隊の被害は3機が被撃墜です。総合損害率は4%ほどと順調です」


 報告が終わると、テレビ通話で参加していたワンス将軍が口を開いた。


「敵首都は目前まで来ている。ここからさらに敵の攻撃は苛烈になっていくだろう。ここだけの話だが、皇帝陛下から秘密兵器を賜っている。詳細はその兵器が必要になれば伝えよう」


 そうして作戦会議は続いていった。これまで通り、艦隊による爆撃によって敵首都を破壊するという方向性は変わらなかったが、敵の攻撃によって艦隊の被害が大きくなったり、艦隊の身動きが取れなくなった時は爆撃隊を編成し敵首都を爆撃すると言うことになった。


 会議が始まってから1時間ほど経った頃、レーダー部隊より急報が入った。


「所属不明の飛行物体が現れました!ただ今、偵察隊を向かわせていますがおそらく大軍です!」


 会議室はそのまま司令本部へと様変わりし、各艦隊で連携をとることとなった。

 すると、伝令兵が会議室に飛び込んできた。


「偵察隊によると、飛行物体は敵性航空艦隊とのこと!共和国が航空艦隊を持っていました!その数およそ2個艦隊規模!」


 会議室はどよめいた。帝国以外で航空艦隊を持てるだけの国力がある国は世界中どこにも無いはずだ。どこから技術が流出したのか。大量の情報が同時に頭に流れ込む。


「攻撃隊を発進せよ!」


 混乱の中、ジース将軍がそう言うと戦闘配置の警報が鳴り、戦闘機や爆撃機が飛び出して行った。


 セイツェマンはランドルから借りていた恋愛小説を読んでいた。小説の世界に入り込みそうになった時、戦闘配置のサイレンで現実に戻された。機長が「爆撃機発進命令が出た!」と大声を上げながら格納庫へと入ってくる。

 格納庫内には混乱が起こる中、言われるがままに爆撃機に乗り、機は艦外へと射出された。


「ジェルソン、一体何があったんだ?」


 副操縦士のヴェルン大尉が聞くと、シクス将軍の声が無線を通じて聞こえてきた。


「偵察部隊の情報によると共和国軍の航空艦隊が発見された。そこで、敵航空艦隊を撃滅するべく攻撃隊に出撃を命じた。経験のない敵航空艦隊への攻撃になるだろうが、訓練通りの実力を発揮してくれ。戦闘機隊は爆撃機の護衛、爆撃隊は対水上艦爆弾を用いて攻撃せよ。幸運を祈る」


 共和国の航空艦隊とはどういう意味なのか理解できなかった。空飛ぶ艦隊は帝国の持つ世界で一つだけの兵器ではなかったのか。この前の戦いで見た、なす術もなく落とされていく敵機の姿が思い起こされた。皆も同じ気持ちなのだろう。機内は静まり返っていた。


「見えたぞっ!敵艦隊だ!」


 アモスの声で気合いが入る。無線では敵機が迎撃に上がってきていて、まもなく到達することを伝えている。


「敵機くるぞー!」


 機銃を撃つ音が耳をビリビリと刺激する。襲いかかってくる敵機に向かって必死に銃を撃つ。巣を守る蜂は以前のものよりも格段に速く、手強くなっていた。味方の爆撃機が落とされるのが見える。次は自分かもしれない。そう思いながら引き金を引く。


 戦闘が始まってしばらく経つと、対空砲の黒い弾幕が現れ始めた。はじめは少なかったのが、時間が経つにつれてどこかしこでも炸裂するようになった。その間にも続々と被害は増え続ける。


「我々第三中隊は他の隊が突入するまで待機となった!粘るぞ!」


 機長はそう言うと機体を大きく旋回させ、敵艦隊から距離をとった。友軍機が敵の戦艦めがけて突撃するのが見える。しかし、その多くは突撃途中で撃墜され、数機が爆撃に成功している。


 その後も戦いは続いたが、一向に敵の戦艦を撃沈できずにいた。爆撃隊の損耗も激しかったが、一方で敵戦艦にも損害は出ているようだ。弾幕が弱まってきている。


「第三中隊にも突撃命令だ!行くぞ!」


 機長の声が上がると機体は急降下を始め、戦艦への突撃態勢に入った。後続の機が対空砲に当たって爆発する中を三番機は抜けて行った。爆撃態勢に入る頃には我々を含めて3機しか残っていなかった。


「爆弾投下!」


 爆撃手キースの掛け声で爆弾倉から爆弾が投下された。激しい弾幕の戦艦から離れる間、爆弾が主砲付近に命中し、誘爆したのが見えた。大きな爆発が起こった後、敵の戦艦は船首を大きく下げながら地表へと落ちていった。第三中隊の中で弾幕を抜け切れたのは三番機のみであった。


 戦艦シクス艦内は、敵戦艦撃沈の報に沸いていた。将軍シクスも一安心である。


「攻撃隊を撤退させろ。この艦隊と敵との距離は?」


「敵艦隊はまもなく主砲射程圏内です」


「なら主砲で攻撃後、対艦ミサイルを発射せよ。艦隊決戦を行う」


 シクスはワンス将軍に連絡をとった。


「ワンス将軍。まもなく主砲の射程圏内に入るので主砲と対艦ミサイルで飽和攻撃を行います」


「そうか。なあシクス。さっき言ってた秘密兵器についてだが、腕のたつ爆撃機乗りを探しておいてくれ。詳細はその後で話す」


「わかりました。ですが秘密兵器というのは爆弾なのですか?」


「また後で話す」


 そう言うとワンス将軍は通話を切った。


 セイツェマン達の乗る第三中隊三番機が母艦に帰ると甲板は兵士で溢れかえっていた。帝国初めての航空戦艦撃沈を成し遂げた英雄は、帰還後すぐに戦艦シクスへと連れて行かれた。部屋に通されるとそこには第六将軍シクスがいた。


「まずは戦艦撃沈おめでとう。君たちには話があってここに呼ばせてもらった」


 緊張した空気が部屋の中に流れる。


「君たちには特別の任務を請け負ってもらいたい。その任務は帝国が開発した新型爆弾を共和国の首都まで運び、落とすだけだ。これだけの死地を乗り越えた君たちにならできるはずだ。任されてくれるな?」


 話の後、セイツェマン達は第一艦隊の旗艦ワンスまで移動し、そこで新型爆弾を爆撃機に乗せた。


 将軍シクスの話が頭の中で反芻される。


「我々は元々航空艦隊による敵首都強襲を狙っていたが、君たちの知るように敵の航空艦隊が現れたことで艦隊による攻撃は難しくなった。だから君たちの任務は共和国の首都を攻撃して敵の目をそちらに向けることだ。兵器の詳細は私もまだ聞かされていないが、敵の首都にある大統領府を目印に攻撃してほしい」


 セイツェマンの心の中には不安が渦巻いているが、敵艦隊接近の放送があった後、セイツェマンの乗る三番機は母艦を離れて敵首都への進路を取った。

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