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惑星記  作者: フランクなカイザーフランク
第一章 結末へ向けて
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将軍シクス

 帝国軍バカラシントシ司令支部は対応に追われていた。続々と途絶える国境警備隊からの連絡、偵察部隊から届く大軍の襲来の報告。就任してから日が浅いシクス将軍には少々荷が重い仕事であった。


 作戦会議室に将校が集まり、大きな地図が広げられた。


「ラース共和国軍の動向は?」


「共和国軍はここから西に150km離れた国境から侵攻し、砂漠地帯を進んでいるものと思われます。偵察部隊の情報によるとおよそ10万人規模と推定されます」


「10万か…」


 バカラシントシでいつでも稼働可能な地上兵力はおよそ3万。それに加えて新設された第六航空艦隊の兵力およそ8万が加わる。しかし航空艦隊はほとんどが新兵であり、まともな戦力としては期待できない。


「将軍様、ここは航空艦隊を使いましょう。平坦な地での戦闘は数の少ないこちらが不利です。なので航空艦隊である程度数を減らした後、地形を活かした防衛戦をする方が勝ち目があります」


「そうしよう。第六艦隊に出撃命令を出せ」


 あくまで航空艦隊は数を減らすための一手であり、本命は後ろに控える地上防衛線だ。

 

 そう割り切っていたはずだが、攻撃の結果は「敵地上部隊壊滅」だった。そのまま共和国は撤退し、侵攻の危機は去ってしまった。


「まさか新兵が大半の艦隊で10万の大軍を撃退できるとはな」


「将軍様、次の一手が重要です。ここは共和国へと攻め入りましょう」


 将校の一人がそう言うと他の将校が反発した。


「攻め入ったとしても帝国にメリットがあるとは思えん。こちらが優位な今のうちに講和すべきだろう」


「だがここで講和しても共和国はいずれ再び侵攻してくるはず。ここは帝国の力を見せつけるべきだ」


「もしそれで他国が参戦してきたらどうするのだ。帝国に世界を相手にするだけの力はない」


「将軍様の御前で何を言うか!」


 こんな調子で会議は荒れ始めた。確かに、この機を逃せば帝国に優位な条件で講和を結べるタイミングは来ないかもしれない。しかし、ここで攻め入って共和国を倒せれば第六将軍シクス就任後初めての大手柄となるだろう。航空艦隊も想像以上の力を持っていた。勝ち目は十分あるかもしれない。


「わかった、共和国に侵攻しよう。中央参謀本部に連絡するために、私は帝都に行ってくる」


 そう告げるとシクスはすぐさま専用機に乗り帝都へと向かった。

 帝都に着くとまず、皇帝の居城へと挨拶に行った。


「久しいな、シクスよ」


「お久しぶりにございます。父上」


「バカラシントシはどうだ。たしか帝国一の農業生産を誇る街だったな」


 皇帝である我が父ルーサスは私の就任式にも来ていなかったから、会うのは本当に久しぶりだ。六男ということもあり親としての皇帝の姿はあまり記憶にないが、こうして覚えてもらえているのはとても嬉しい。


「父上、共和国への侵攻についてはご存知でしょうか」


「お前が来る少し前に連絡が入った。参謀本部はワンスとジースを派遣するそうだ」


「第一将軍と第二将軍をですか?」


「それほど参謀は早期終結を目指しているのだろう」


 将軍が来るということは、その直属の航空艦隊も来るということである。航空艦隊に対して抵抗手段を持たない共和国に対して3つの艦隊 ー しかも六大艦隊 ー の派遣は多すぎる戦力だ。


 皇帝との話が終わるとその足で参謀本部へと向かった。そこには第一将軍ワンスと第二将軍ジースがいた。

 シクスの姿を見るや、気さくなワンス将軍は満面の笑みでこちらに歩み寄ってきた。


「シクス!将軍就任おめでとう!これで6兄弟全員が将軍だな!」


「ありがとうございます。ワンス兄さん。ジース兄さんもご無沙汰してます」


 そう言うとジース将軍は軽く会釈をした。ワンス将軍と違いジース将軍は冷静沈着で、私とあまり話したことがない。個人的には怖い存在だ。


「シクス将軍様。作戦の概要ですが、帝国航空艦隊は共和国国境にある広大な砂漠の上空を通って侵入し、敵の防衛線を空爆した後、陸軍の到着は待たずそのまま敵首都に攻撃を加えます。この作戦は、他国の介入を防ぐためにも早期決着が重要となります」


「敵首都攻撃はいくらなんでもやりすぎではないか?」


 参謀の説明を聞いた時、シクスは思わず聞き返した。敵首都の攻撃ほど講和に有利な材料はないが、周辺国が黙っていないだろう。帝国に恨みを持つ者は世界中に大勢いるのだ。

 するとワンス将軍が口を開いた。


「そのための第一艦隊と第二艦隊だ。航空艦隊の破壊力はシクスも見たばかりだろう?それは共和国だって同じだ。首都に近づいただけで講和に応じるさ。だろ?ジース」


「ああ、侵略戦争時代の艦隊が二つも向かうんだ。そんなに警戒する必要もない」


 そうだ。ワンス将軍もジース将軍も2つの艦隊も帝国の侵略戦争時代から戦い続けているエリートたちだ。それに、帝国に比べれば共和国の航空戦力は無いに等しい。


「わかりました。では航空艦隊による敵首都攻撃作戦を開始しましょう」


 こうして侵略戦争以来初めての航空艦隊による他国への侵攻が始まった。

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