表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
惑星記  作者: フランクなカイザーフランク
第三章 対帝国秘密同盟
24/51

国を挙げた戦い

 オトシュ王国にある秘密同盟本部に敵艦隊集結の報が入った。そこでシーヤは各国の代表を集めて臨時会議が開いた。


「先ほど、帝国の六大艦隊が集結し始めているという報告がありました。全ての主力艦が揃っているということです。皆さんの意見が聞きたくて今日はお呼びしました」


 するとエアード王国のベルドマン代表が話した。


「敵の主力を叩けるまたとないチャンスだ。私はここで決着をつけるべきだと思う」


 各国代表が頭を悩ます中、エアード王国と帝国の国境に挟まれた小国であるミニーム共和国の代表が手を挙げた。


「我々ミニームは航空艦隊を所有していません。それは他の加盟国さんでも同じでしょう。オトシュ王国さんとエアード王国さんだけで本当に帝国に太刀打ちできるのでしょうか」


「我々の航空艦隊が弱いとでもいうのか!」


 ベルドマン代表が声を荒げた。シーヤ代表はベルドマンをなだめつつ、こう言った。


「帝国の艦隊が強いのは確かです。ですがこちらの艦艇数は帝国の倍以上で、しかも主力艦にはサイシュ公国から提供してもらった秘密兵器を搭載していますから大丈夫です」


「その秘密兵器とは何か教えてもらっても?」


「サイシュ公国が極秘に開発していた特殊砲と呼ばれる大砲です。エネルギーの束を発射して敵を貫きます。先日改修が済んだところで、もうそろそろ実戦配備しようと考えていたところなんですよ」


 シーヤが話し終わるとベルドマンも続けて話した。


「我々は帝国でも防ぎきれない兵器を持っているのだ。何も案じることはない。この戦いは必ず勝てる。侵略戦争以来続いてきた帝国中心の世界が終わりを告げるのだ。またとないこのチャンスを逃す手はない」


 ベルドマンに押されるまま、各国代表は帝国との決戦を承認した。進路予測から、戦場はオトシュ王国と帝国の国境付近と推定され、同盟国側も航空艦隊の集結が始まった。




 一方帝国側は、ほとんどの艦隊が集結し、地上は鋼鉄の龍の影で真っ暗になっていた。セイツェマン、アモス、ランドルの3人は甲板からその様子を眺めていた。黙って見ていた3人だったが、アモスが口を開いた。


「圧巻だな」


 その言葉以外に表現できる言葉はなかった。雲の上に浮く軍艦が見渡す限りある風景は何か圧倒されるものがあった。人類のたくましさ、そういうものを感じた。


「僕、実は昔、航空戦艦を見るのが嫌いだったんだ」


 ランドルが話し始めた。アモスは興味津々で話を聞いていた。


「僕ね、子供の頃に飛行機の墜落事故を目の前で見たんだ。その頃から空に浮かぶものを見ると、あの中に乗ってる人も墜落すればみんな死ぬと思ってしまうから空に浮かぶものが嫌いだったんだよ。まあ今では慣れっこだけどね。でもさっき、これだけの人々がこの艦隊にいると思うと、この戦いでここにいる何隻、何人が生きて帰れるんだろうって思っちゃった」


 少し間があり、セイツェマンが話した。


「心配いらない。ここまで死地を潜り抜けてきた私たちじゃないか。今回もきっとうまくいくさ」


 セイツェマンはランドルの不安を減らそうと努力したが、一方アモスはこういう空気が苦手なのかどこかにいってしまっていた。


 全艦の集結が完了し、艦内に放送が流れた。ワンス将軍の声だった。


「帝国六大艦隊の指揮をとるワンスだ。今回君たちには我が国を脅かす敵を排除するためここに集結してもらった。気づいている者がいるかもしれないが、我々が出撃しなければならないほど帝国は窮地に立たされている。この戦いも、これまでのように楽なものではないだろう。だが、我々は世界に誇る帝国の牙だ。なら、その誇りに恥じない働きを世界に見せつけようじゃないか!君たちの働きに大いに期待する」


 ワンス将軍率いる第一航空艦隊を中心に六つの艦隊は横一列に進んでいった。第六艦隊は左翼の1番端を任され、艦隊は左から順に六、五、四、一、三、二の並びだった。


「間も無く警戒空域に入る。全艦、戦闘準備」


 全員が配置につき、エンジン音だけが空に響いていた。




 その頃、オトシュ王国の同盟本部では帝国の攻撃に備えて騒がしくなっていた。シーヤは各国代表を集めて司令本部を設立した。


「偵察部隊によると、帝国の六大艦隊はここに向けて進軍を開始したとのことです。オトシュ王国軍航空艦隊は出撃しましたが、エアード王国はどうですか?」


「我々は主力艦の改修が完了しておらず、主力艦は出せない。だが、それ以外の艦には出撃命令を出した」


「そうですか。他の代表方から何か報告はありますか?」


「ミニーム共和国からも駆逐艦を一隻出撃させます。決戦までには合流できるかと思います」


「大丈夫なのですか?あの駆逐艦はミニーム共和国の唯一の航空戦艦じゃないのですか?」


「他の同盟国が戦っている中、ウチだけ出撃させないのもおかしいという大統領の意向から決まりました。精鋭を集めたので足手まといにはならないはずです」


「そうですか。協力に感謝します。報告にあったように敵の戦力はこちらの半分以下です。戦艦の数では互角ですが、駆逐艦や巡洋艦の数は勝っています。油断せず、着実に勝利を掴みましょう」




 ミニーム共和国では、駆逐艦の出撃に国民が熱狂していた。「世界平和・国際秩序のための艦隊」に参加できることは国の名誉であり、国民の団結をより深めた。共和国はこれを利用し、少ない国力を戦争に注ぎ込んだ。ミニーム共和国大統領であるガイスは国を挙げての戦争を行うために“英雄”を作り出した。


「我が国初の航空戦艦は勇敢に帝国との戦いへと臨んでいきました。この国に残された我々も彼らのように帝国と戦うために、力をつけなければなりません。国民の皆さん、今こそ団結の時です。男は銃を、女は工具を、子供はペンを。自分にできる奉仕を行なってください。戦地にいる彼らの勝利のために」


 ガイス大統領の宣伝は大きな効果を示し、志願兵は何倍にも増えた。国民は自主的に戦争に協力し、老若男女問わずほとんどの国民が反帝国感情を抱いた。それまで平穏だった街は戦争一色に変わり、国民は貧しい生活をせざるを得なくなった。しかし、国民の闘志は勝利に向けて燃え続けているのだった。




「シクス将軍様、レーダーが敵艦隊を捕捉しました。情報通りの大艦隊です」


 集結完了から3日でついに敵を捉えた。各艦隊から攻撃隊が編成され、出撃準備に入った。第29A特務大隊も出撃命令が下り、準備に忙しくなった。皆、それぞれが新たな敵との戦いに覚悟を決めているようだった。


「この前は突然戦うことになったから心の準備なんてしてる余裕なかったけど、こうして戦いが近づくのを感じると色々なことを思うな」


 アモスがセイツェマンに話しかけた。


「ああ。だが私たちはどんな状況でも自分の仕事をやるだけだ」


「そうだな、いつも通りやろう」


 爆弾倉に爆弾が搭載され、飛行前の最終確認が始まった。出撃せよとの命令が伝えられ、機体は射出準備に入った。警報が鳴り、「攻撃隊発進」とアナウンスがあった。機体は大きく揺れて、慣性を感じながら艦の外へと射出された。他の艦からも、巣から出た蜂のように続々と射出されては隊列を組んでいく。


「第29A特務大隊、準備はいいな。今回も我々が主役だ。第一艦隊のエースたちに遅れをとるなよ」


 ジェルソン少佐の元に大隊が集まり、隊列を形成した。そして帝国軍の攻撃隊は敵艦隊へ向けて出撃した。


 これまで防戦一方だった帝国が反撃に出た。しかし、航空艦隊中心の反撃部隊は数で同盟国軍に劣っており、さらに同盟国軍には秘密兵器が搭載されていた。この決戦で負けた側は航空艦隊を失い、相手の侵攻を許すことになるだろう。互いの存亡を賭けた決戦がオトシュ王国とシグマ帝国の国境で始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ