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惑星記  作者: フランクなカイザーフランク
第三章 対帝国秘密同盟
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御前会議

 対帝国同盟国を名乗る連合軍の攻撃を受けて、帝国は国中の重鎮を集めて会議を開くことになった。帝都は前線から近いということで、最も前線から遠い第六将軍シクスの治めるバカラシントシにて行われた。大広間に集められた参加者の話題は前線の戦局で持ちきりになっており、騒がしくなっていた。そこへ皇帝ルーサスが入ってくると部屋は一気に静まり返り、皇帝は静かに椅子に腰掛けた。


「それでは会議を始めようか」


 皇帝の宣言で会議が始まり、前線の状況が読み上げられた。それは侵攻を食い止められてはいるものの、敵の航空艦隊による支援などでいつ突破されるか分からないというものだった。すると参加者の1人から声が上がった。


「質問なのですが、帝国の誇る六大艦隊は一体どこにいるのでしょうか。彼らがいれば戦局を変えることなど簡単なのではないですか」


 大広間は騒がしくなり、隣席同士で話し合う声が聞こえる。ワンス将軍が立ち上がり、説明を始めた。


「帝国航空艦隊の主力艦は防衛戦には出ません。敵の航空艦隊も主力艦は出擊していないため、防衛線を維持する目的なら主力艦は温存すべきと考えています。ただ、第六航空艦隊は例外的にサイシュ島の防空任務についています」


 なぜ本土ではなく海外領土を守るのだと不満の声が聞こえた。それに賛同する者も多く、また場内は騒がしくなった。そんな中、ワンス将軍は作戦計画を話し始めた。


「報告によると、敵、特にオトシュ王国とエアード王国は完成された航空艦隊をすでに保持しており、さらに艦艇数はこちらのおよそ3倍と見積もられ、手強い相手です」


 より騒がしくなったが、ワンス将軍は話を続けた。


「そこで我々は敵の包囲網に穴を開けるべく、大反撃作戦を立案しました。これまで温存していた帝国の六大艦隊を集結させ、包囲網を破るというものです。いくら数に差があるといっても、質では帝国が大きくリードしているので勝ち目は十分あると思います」


 1人の参加者が手を挙げた。


「もしこの戦いで敗れて六大艦隊全てを失うようなことになればどうするのでしょうか」


「もし戦況が悪化すれば、“奥の手”を用意しているので問題ありません。皆さんもいずれ見ることになります」


「それを教えてもらうことはできないんですか」


「最高機密事項なのでこの場で申し上げることはできません」


 参加者は納得できない様子だったが、それ以上の質問や反論が出ることはなかった。


 会議後、六将軍は皇帝によって集められた。全員がいることを確認すると皇帝は話し始めた。


「皆に集まってもらったのは帝国の今後についてだ」


 将軍達の顔が引き締まった。


「知っているように、『惑星記』は今の世の中で繁栄を築くために最も必要なものであり、幾つもの国がそれを所有している。サイシュ公国もそのうちの一つなのだが、シクスの報告によると惑星記の存在は確認できても惑星記自体は発見できなかったらしい。加えて、サイシュ公国のアベルノ公爵はオトシュ王国に亡命したらしい。おそらく惑星記もその時オトシュに渡ったのだろう」


「ということは敵が新たな兵器を投入する可能性が高いということですか」


 シスクの一つ上の兄で第五将軍のフィフス将軍が訊いた。


「そういうことになる。帝国の研究機関に、公国が使っていた光線兵器を航空戦艦に載せられないか試させているが、お前達が出撃するまでには間に合わない。もし敵が新兵器を使ってきたとしても既存の兵器だけになるが、よろしく頼むぞ」


 皇帝の話の後、一大決戦に向けた会議が引き続いて行われた。そこでは、六大航空艦隊を集結させて敵の航空戦力を引き付け、その間に地上軍が防衛線を築くことが決められた。そして集結した敵航空戦力を破って敵国内部に侵入し、反抗の糸口を掴むことが目標に定められた。決戦はオトシュ王国と帝国の国境線で行うことが決められ、各将軍は準備のために艦隊へと戻っていった。シクス将軍はしばらく帰っていなかった自邸へと向かった。するとそこには皇帝ルーサスがいた。


「父上!もう帝都に戻られたのだと思っておりました」


「ああ、ここの近くに知り合いが住んでおってな。久しぶりに顔を見にいっていたのだ」


「そうでしたか。もう帰られるのですか?」


「帝都はオトシュ王国から近い。だからしばらくここにいることにした」


 シクスは少し驚いたが、顔に出さまいと堪えた。


「父上は御用邸に泊まられるのですか?」


「いや、ここにしよう。ここなら公務が続けられるし安全面も問題ない。それにシクスはまたサイシュに行くのだろう?」


「私は明日ここを出発します」


「なら決定だ。荷物を取ってきてくれないか」


 皇帝がそばにいた人に告げると、続々と荷物が運び入れられてきた。


「何としても一度はここに住んでみたかったんだ。感謝するぞシクス」


 シクスは整えられていく部屋を見ながら唖然とするしかなかった。


 翌日、皇帝と同居している緊張で全く眠れなかったシクスは逃げるようにサイシュ共和国へと飛び立った。サイシュ共和国には宣戦布告があった日を除いて大きな侵攻はなく、時々敵の偵察部隊が来るだけだった。将軍不在の間も大きな事故はなかったらしい。シクス将軍はサイシュ共和国に着くと第六航空艦隊を召集した。


 各艦艇の甲板には全乗組員が集められ、シクス将軍の言葉が中継された。


「第六航空艦隊の諸君、まずは私が不在の中でも十分な仕事をしてくれたことに感謝する。昨日、バカラシントシにて帝国会議が行われた。そこでの報告によると、帝国はなんとか防衛線を維持できているものの、これ以上戦闘が激しくなれば破られるのは時間の問題ということらしい。そこで我々を含む帝国六大艦隊は合同作戦を行い、敵の包囲網を突破することになった。我々がこの戦いで敗れれば帝国の防衛線は崩壊し、国民の多くが死ぬことになる。これは一大決戦だ。そのことを心に刻んで戦ってほしい。総員、戦闘準備」


 セイツェマンら特務大隊も甲板で言葉を聞いていた。終わると、乗組員は一斉に動き出し、いつものように出撃準備に取り掛かった。セイツェマンも走って格納庫に向かう。格納庫ではランドルがすでに準備を始めていた。


「セイツェマン、これ落ちてたよ」


 そう言ってランドルはあのペンダントを渡してきた。


「ああ、そこにあったのか。ありがとう」


 ペンダントをつけないのも不自然かと思い、セイツェマンは首から下げた。しかし、あれ以来ペンダントは不気味な存在になっており、どこかで捨ててしまおうと考えていた。


 艦内に警報が鳴り、艦のエンジンが始動した。するとペンダントが少し明るくなった後すぐに元に戻った。セイツェマンは不気味に感じつつも、少しペンダントに興味が湧いていた。


「今回は六つの艦隊全部が揃うから負ける気がしないな」


 アモスが急に話しかけてきたことにセイツェマンは驚いて、急いでペンダントを服の中に入れた。


「あ、ああ。そうだな。だが、六大艦隊全てが揃うとなると本当に帝国は窮地に立たされてるんじゃないか?」


「そうかもな。でも帝国なら大丈夫だって。なんてったって世界一の艦隊だからな。新しくできた艦隊なんかに負けるわけない」


「そうだな」


 対帝国同盟が侵攻を始めてから1ヶ月ほどたち、帝国は反抗作戦を開始した。侵攻当初の勢いは失われつつあるものの、同盟側が優勢なのは変わりなく、さらにここで膠着状態になってしまえば戦争続きだった帝国にさらなる被害が加わり、国力の低下につながるからだ。作戦地点には続々と艦隊が集結し始め、空は鉄の塊で埋め尽くされていた。ここで、帝国の命運が決まる一大決戦が始まろうとしていた。

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