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デチャルネーレ  作者: ハゲタカ
Giant killing
20/22

ささやかな日常に潜む影

で、連れてこられた先がこの路地裏ってわけ。なんだかきな臭いなぁ。

駅前の都会ぶった地域でこそこそと3人で話し合う状況が出来た。


「私たちは魔導師としてパトロールを行っている、もちろん個人的にだ」

「向埜家の使命とかでもなくて?」

「強いて言えば玲瓏高校の生徒会長としての使命、だろうな」

「なに言ってんだ?」

「ともかく、魔導界の悪行は日の目に晒されにくい、頻度が少なかれど日常に与える影響が大きい可能性がある限りは無視はできん」

「え、でもコルセルニの人たちとか見張っているんじゃ?」


俺が言うと、根室が俺に1枚の紙を渡してきた。


「生徒会のお悩み相談ポストに投函されていた手紙だ、こんなことを書かれては動かざるを得ないだろう」

手紙の内容は「盗撮された写真がネットで出回っている」と言うものだった。

「これ一通だけ?」

「いや、何枚も同じような内容がある、警察に通報しても足取りがつかめないらしい、故に我々は魔導による犯行である線を考えざるを得ない」

「コルセルニは死人が出ない事件を軽視しがちだ、だからこそ私たちで解決せねばな」


腕を上げて会長が言った。確かに、この手の事件は自分らで対処しなければいけない事なのかもしれない。

世界の平和だ何だ,、という前にこういう身近な平穏を守れなければ何も守れないだろう。


「オーケー!では早速取り組みましょう」

「何を頼りに取り組むつもりだ?」

「…はて、どうしましょう?」


会長が対策しているんじゃないのだろうか?しかしこちらからせがむのは何か失礼な気がする。

先に案を提示しなければ!


「盗撮現場を取り押さえる、とか?」

「お前は盗撮犯の行動が把握できるのか?」

「できているのなら、大したものだなガーデナー」

「ん~じゃあ待ち伏せか?」

「どこで?」

「その辺の女子生徒で」

「どの女子生徒だ、この街には他校の生徒だっているんだぞ」

「たしゅかに」

「そのしゃくれはなんの意図があってのものだ?」

「特に意味はありません」


さてどうしよう、正攻法でダメなのなら裏技を使うしかないのか。


「やはり…魔導ですか?」

「その結論に至るまで時間がかかったな」


そういえばそうか、そもそも俺たちが魔導師なんだからそれに頼るに決まっている。


「魔法をもってして犯人を暴いてやろう、見つからなければそれでいい、ただの犯罪者ならば我々の出る幕ではないからな」

「使う魔法は『スペクト』、忘れるなよ」

「理解したな?では早速行くぞ」

「委細承知」

「え?ちょっ、あんたら…」


俺の反応を待たず会長は風のように走り去り、根室は魔術かなんかで消えていった。

集団行動するのかと思ったが、効率を重視するのね。

なんかさびしー、いとさびし。

せっかくなので入った路地裏を突っ切る形で歩いてみる。

そこそこ人通りはあるが、見た感じ魔術を使っているようには見えない。

スペクトの魔法を使ってみても何も見えない。

そういえば、この魔法の使い方、よく分かってない。

人を対象にして魔術の痕跡を探る効果だった気がするが。

その効果の目印が分からない。

胸のあたりにブォンブォン炎でも燃え盛っているのだろうか。

少し悩んでいると前から目を惹く人影が襲来した。

それは、銀音さんだった。相変わらず目立つドレスを着ている。

ざっざっと早歩き、近づくにつれその意を俺は泥濘に足をとられるように理解していった。


「ごめんなひゃい!?」

「情報漏洩は組織において許されない行為の一つです」


急に俺の首裏には冷たい刃物が当てられた。銀音さんの持つ大鎌だ。

片手で持っている。俺の命の軽さを表すかのように。


「私が常に見張っていることをお忘れですか?」

「だ、だってぃ、向こうが組織のいざこざ抜きで俺たちの助けになってくれるって言うんだし、それに報いない理由もないでしょ?」


俺からすればコルセルニだの向埜家のだのと言われてもパッとしないし、ただ従うことで恩恵を受けられると思っていない。

組織にとらわれすぎている銀音さんには分かってもらいたい、俺のこのスタンス。


「あの二人が、…いえどちらか一方でも敵だったのなら、その責任を背負いきれますか?」

「敵?」

「嘘をついている可能性もあり得ます」

「ははっ、冗談、死にかけてるんだ、裏切る要素なんてあった?」

「敵、とは未来の可能性にまで考慮して言いました、いつかあの二人が敵と利害が一致するかもしれません」

「流石にそこまで行ったらいちゃもんが過ぎるでしょ、俺だって裏切るかもしれないですよ?」

「貴方は裏切ったら即座に殺せるので問題ありません」

「…ごもっとも」


現状、俺の命は銀音さんの片手に委ねられている。


「じゃあ、銀音さんが裏切る可能性は無いの?」

「私はコルセルニから派遣された魔導師です、そんなことはできないです」

「でも俺はその可能性すら考慮に入れられる」

「…」


銀音さんが黙った。いいぞ、こっから畳みかける。


「結局俺の信頼によって成り立つ仲間なわけで、根本は組織がどうとかではないと思うんですが?」

「詭弁です」

「現場の判断ってやつですよ、理想論を口にして何でもかんでもうまくいくわけじゃないでしょ?」


少しの間、沈黙が流れた。そして大鎌が俺の首から離れる。


「…いいでしょう、あなたには志木健一の件があるので背負わせまいと考えていたのですが、そこまで言うのなら背負ってもらいましょう」

「大人の階段の一歩目ってやつだね」


納得していただけたようでなによりだ。


「…それで、盗撮犯探しですか」

「銀音さんならどうします?」

「証拠品さえあれば手繰るのは容易です」

「へ、へえ」


流石のプロフェッショナルか。しかし当の物は根室が持っている。


「根室を呼び戻すか」

「そのような手間は要りませんよ」


俺がスマホを取り出そうとすると、銀音さんは消えていた。


「あれ?銀音さん?」


ちょっとした風が当たる、上を見ると白い影が一瞬だけ見えた。

屋上から探すのか?

しかしすぐ帰ってくるわけでもなく、俺が棒立ちで何もすることがない。

仕方ないと俺は踵を返す。

すると、見知った男に出会った。


「あれ?三橋じゃん」

「し、志木!?」


たまに遊びに行くクラスメイト、三橋だった。

特に仲がいいわけではないが、やたらとゲームが上手かったやつだ。


「なんだよ、こんな路地裏になんか用か?」

「お前こそ、何やってんだよ」

「ん?彼女と遊んでただけだが?」

「え、おま、彼女いたのかよ」

「実はな、誰にも言うなよ?」


完全に嘘だがこれで誤魔化しておく。どうせ銀音さんが他生徒と接触する機会なんて、…あるかな?

まあ別に変なことはないはずだ、俺の私生活を恐らく見ているだろう銀音さんへのささやかな反撃として考えればやましいことはない。

言い訳?説得力のある嘘が思いつきませんでしたすいません!


「で?何やってたんだ?」


俺から聞いてみる。

クラスメイトを怪しむのは気が引けるが、確認するに越したことはない。


「スペクト」


魔法で見る。全身に魔力が巡っているのが分かる、こいつ魔導師だ。

俺の詠唱は、見た感じ聞こえてない。俺より練度が低いようだ。


「そうだな、なあ志木、俺に協力しないか?」

「協力?」

「いいもんがあるんだよ」


そう言ってスマホを見せてくる。

画面に映ったのは、盗撮写真だった。すべて察した。

ここで正義感を出してはダメだ、こいつがどんな魔術で逃走するかわからない。


「お、おい、これって」

「こいつでいろんな写真が撮れるんだ、ホテルの中とか、スカートの中まで」

「す、すげえ!」

「じゃあついて来いよ、早速生の光景拝ませてやるぜ」

三橋はそう言って路地裏から抜けようと歩いていく。

その肩を、俺は掴んだ。

「なんだ?」

「興味がないと言ったら嘘になるけどよ、やっぱ自首しね?」


俺が言った瞬間、三橋の目つきが変わった。


「お、お前…」

「うちの高校でも被害に遭ってる、これ以上困らせるならお前もただじゃすまない」

「…まさかお前がそんな真面目ぶってるとは思わなかったぜ、そうだよな、会長のお気に入りだもんなお前は」

「は?」


そんなの関係あるか?ととぼけたいが思えば入学当初から会長には世話になっている。

お気に入りと言うのはあながち間違っていないのかもしれない、サンドバックとしては。


「会長に言われたんだろ?そんなクソみたいな正義感で青春潰したくねえだろ」

「いや、青春を潰すような真似してるのはお前だよ」


俺は肩を掴んだ手の握力を強める。


「お前が個人で楽しむ分には、バレなきゃ問題ないだろうな、だけどネットに晒上げて人を辱めるような真似は許せない」


こんなことをやっていては思春期の男子高校生が敵視される。

保身のためであり、いろんな意味で丸いとこに落ち着くためにも俺はこの男を裁かなければならない。

俺は三橋の腕を掴んだ。


「来てもらう」

「…ちっ、クソ!『スプレンド』!」

「おあっ!」


目の前が光に覆われ、視界が0になった。差し込む夕陽がその効果を強めて俺に抜群だった。

掴んだ腕が振り払われる、次に目を開いたその視界には三橋の姿はなかった。

路地裏を抜けた先は人混み、夕方の帰宅ラッシュで混雑している。

まずい、これでは振出しに戻る。

三橋が犯人だってことが分かったのは前進だけどあいつ学校に戻ってくるのか?

俺に知られた以上もう戻らないかもしれない。

最悪、やばい集団とつるんで闇の世界に消えゆく可能性も。

どうするか、どうする?スペクトで漁るにも対象が多すぎる。

この人混みの中で一人を探るには…


「一か八か、か」


できるか分からないがぶっつけ本番の魔法を使う。床に手を着き詠唱をした。


「『プロセクォール』!」


追跡の魔法、直近の魔術の使用痕跡を基に使用者を辿る魔法だ。

魔導教本にも載っている基礎魔法だが、三橋が初心者レベルの魔導師である可能性は高いし、有効だろう。

感覚的にピン!ときたらあたりだが、何も感じなければそれで終わりだ。

多分銀音さんが対処してくれるんだろうけど、こればっかりは自分でやりたい。


「!?あたった!」


位置を把握した。唐突な結果で思わず声が出て通行人がざわついていたが、足は動いていた。

人混みをかき分けて三橋の野郎を視界にとらえる。


「リガレ!」

「え!?」


拘束魔術で手足を縛る。

唐突に倒れ込む三橋に周りの通行人は見て見ぬふり。

まあ俺が近づいてただならぬ形相になったら近づかんわな。


「逃げるなよ、大人しくしろ」

「クソッ!なんで!?」

「すごい力ってやつはお前にだけ配られたもんじゃないんだよ」


とはいえ三橋が手練れだったら撒かれていた可能性がある。

勝ち誇って慢心する時間じゃない、会長に電話を…


「…!!」


スマホを取り出した瞬間、殺気を感じた。

俺は飛び退いて殺気の根源を真正面に据える。

黒いパーカーのフードを被った男、その手に持つのは、斧。

恐らくは投げるタイプだ。そう予測したところでスッと俺へその斧を投げつけた。


「うぃい!?」


間一髪、腕を掠めただけで済んだ。俺は背を見せて走り出す。

そしてスマホを手にすると、既に電話がかかってきていたのでそれに出る。


「会長か!?」

『ん?どうした志木、息が荒いが』

「敵です!多分俺より強いっす!」


ゴミ箱、電柱、走っているうちに周囲の物が投げ斧に破壊されていく音が聞こえる。


『今行く、どこだ?』

「駅前の地下入り口に向かっています!」


先ほどの路地裏は反対側なので戻れない。ならばと他に分かりやすい場所を挙げた。


『わかった、死ぬなよ』


電話はそこで切れた。死ぬ気は全くない。だが死と隣り合わせの状況だ。


「行動するにしたって大胆過ぎるだろ」


街中で斧を持ち出すのも警察案件だが、例によって普通の人には見えないんだろうな。


「うおっ!」


遂には斧が靴を掠めた。駆ける足が神経質気味に飛び上がる。


このままじゃ追いつかれる。

俺は近くのビルとビルの間、またも路地裏へ逃げ込む。

カバンからあるものを取り出し切り返して相手が来るのを待つ。

足が見えたら、そこへ魔術を放つ。


「『ムルス・ヘデラ』!」


切っ先から放たれる魔術は敵の足元に放たれ、ツタの壁が形成される。


「なに!?」


ツタが敵を絡めとり、拘束した。

敵は呆気にとられたような声を上げたか数秒後、ツタを焼き切って抜け出した。


「マジかよ!ずるい!」


俺は安心する間もなく逃走を続ける。

熱気が俺の傍らを通り過ぎた。


「あっつ!?クソ、ネガシオ!」


飛んでくる斧には火がついていた。火炎系の魔術か。

魔法を展開し、身を守りながら走り切る。

広いところに出る。一般人を巻き込む可能性もあるが、この際仕方ない。

自分の命には代えられない。悪いのは敵だ。

自分に言い聞かせているうちに目的地の駅前地下入り口にたどり着いた。

そこには安心できる人物が木刀を手に待っていた。


「はぁ、はぁ、か、かいちょー!」

「遅かったな、あまり待たせるなよ」

「待たせるような余裕はねえっすよ…ぜえ」


電話を掛けたのはついさっきなのだが、そばにいたのだろうか?着くのが速すぎる。


「むっ!」


会長が何かに気づいたように俺の後ろへ出た。

コン!コン!と木製の衝突音が響いた。

さらに連続して鳴る。振り向くと会長が投げ斧を斬って捌いていた。

あれを木刀で弾くのか、すげえフィジカルエリートだ。


「あれが敵か」

「はい、盗撮犯を庇うように襲って来たんで多分あれが黒幕じゃないですかね」

「対処しよう、サポートを頼んだ」

「はい!」


とは言えど俺にできるサポートなんて拘束魔術を掛けることぐらいしかできない。

敵の前に駆けていく会長に俺は自身の無力感を感じていた。


「平穏を乱す輩に裁きの刃を喰らわせてやろう、『乙影・日散らし』!」


会長の刀に影が集まり、刀を振るうことでその影をペンキをぶちまけるがのごとく敵へ投げつけた。

飛び道具は視界が命、当たらなければ意味がない。

俺も影の中が見えない、サポートとは一体…

自分の作り出した影の領域に会長は臆面もなく突っ込んでいく。

会長自身は、見えるのか?

カンカンと謎の金属音が聞こえるのも束の間、やがて肉を裂く音へと変わる。


「ッ!?スペクト!ムルス・ヘデラ!」


そういえばスペクトがあったなと思い出し、反射的にスペクトに続いてムルス・ヘデラを発動した。

捉えたのは二つの人型の魔力。その二つの違いは、光の強さ。

強い方を拘束したが、敵の強さを把握していない以上どっちかは判別がつかなかった。

会長を拘束していたらどうしよう、と不安だったが影が晴れてそれは杞憂に終わった。


「よく見極めたな、流石だ志木」


ツタの壁で拘束した黒フードの敵を、会長が本物の刀の刃を首に突き付けている光景が広がった。

いつの間に本物のポン刀を…

あとお褒めの言葉を預かったがどっちを拘束すればいいか分からない状況だったのは言わないでおこう。

負傷は、敵の方が甚大だ。黒い衣服だと怪我の跡が目立つ。

良かったぁ、これでなんかケガしてたら俺がトラウマになる。


「命が惜しければ、この襲撃の目的を吐くんだな」

「…はん?」


すっとぼけた反応、まるで窮地に陥っていないような余裕だ。


「甘いな、ガキどもが」

「!?」


敵はツタを無理やり千切って右腕を拘束から解放すると、ポケットに手を突っ込む。


「妙な真似を」

「『インヴォーク』」


詠唱が聞こえた時点で世界は暗く、青白い世界が広がった。

黄昏時を過ぎたことに俺は今気づいた。


------------------------------------------------------


黄昏時、白いドレスの銀音は建物群の屋上を駆けていた。

およそ一般人では飛び越えられないであろうビルの間を飛び越え、着地する。

向かう先にはある男の背中、あまりに運動していないであろうおぼつかない足取りで前へと進んでいるが、銀音から逃れられるような速さはない。


「はあ、はあ…」


息切れする男に対して少女は容赦なくその距離を詰める。


「●●●●」

「へぇ!?」


銀音は確かに口にする、だがそれを理解することは出来ない。

耳にする時点で、それが理解できない言葉であることが分かってしまうからだ。

魔導師である以上魔導を扱う際には詠唱が必要になるが、言葉を理解してしまえば手の内が読めてしまう。

だからこその工夫、詠唱をただ理解させないことによって惑わす、それこそが実戦での巧みな魔導の扱い方というものだ。

男の背後に何かが当てられると、倒れる。

一瞬にして距離を詰めた銀音が倒れた男の背中に大鎌を当てていた。


「どこの所属ですか?答えなさい」

「ル、ルミネイト教会!だが今回の件は俺個人で行ったことだ」


脅しつけるように言う銀音、男はその問いに答える。


「鵜呑みにはできませんね、仲間はあと何人居ますか?」

「4人だ、所属は知らねえ」

「●●●●」

「うぐっ!」


謎の詠唱により発現したのは拘束する光の縄。

急に身動きの取れなくなった男は石床に頭を打ち付ける。


「事情は後ほど聞きましょう、とりあえずはその4人の確保から…」


次の行動に移ろうとしたその時、世界が夜に包まれた。

銀音はそれが結界・カウェアであることに瞬時に気が付く。


「…なるほど、そういうことですか」

「な、なんだ?何が起こって…」


銀音が視界を男から逸らした瞬間、男が黙った。


「ごふっ!?」

「全く、クズはクズでしかありえないか」


銀音が視界を再び男の方へ向けると、男は背後から剣で貫かれていた。

古風のローブを着た、何者かに。


「まあそうだよね、世間で疎まれるような奴が僕たちの崇高なる計画に貢献できるとは思えないしね」


その姿を捉えた瞬間、銀音は手に持つ大鎌でローブの人間を斬りつけていた。


(手応え無し)


斬りつけたそれが実体でない事に気づく。


「あなたとは戦いたくない、ですから見逃してもらえませんか?迷惑をかけた使い捨ての下っ端たちの処理はこちらでするので」


実体のない幻像が消え、その背後、少し離れた場所にローブの人間がいた。


「信用できません」

「そう、残念だね」


ローブの人間が手で何か動きを見せる。

銀音はその動きに警戒し、大鎌で防御態勢をとる。

ガキィン!と、大鎌が何かを弾いた。

それは男を貫いた剣、スタンダードに片手で振れる直剣が浮遊し、銀音へ襲い掛かる。


「いくら君が強いとは言え、この空間は僕たちの方が慣れている」


顔の見えないローブの深い影、そこには獲物を捕らえようとする獰猛な化け物の大口が開かれている。


「あわよくば…だけど、死んでくれたら嬉しいな」

人物ノート⑬


トラッシュ・コルセルニ


コルセルニ教会3代目神父。2代目神父の遺した負の産物・理外の魔術への対処の責任を負う人物。

3代目として就任する以前から父親であるマイモンを快く思っていなかった。

そう思いながらもマイモンの計画を看破しきれなかったことが心残りで、問題解決へはいち早く動いている。

『魔眼』への対処をしたことを魔導界では高く評価されており、コルセルニ教会そのものの単純な実力の大きさを誇示している。

コルセルニ教会がいい意味でも悪い意味でも大きく見せられるのは、神父あってのものである。

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