キキエの村
「おはようございます。」
「お?お出かけかい?」
大きな欠伸をしている門番に挨拶をする。
今日でこの街から出ていく旨を伝えると寂しそうな顔を一瞬した。すぐに笑顔になり笑ってくれた。
「そうか。平和なこの街のこと忘れないでくれよ!」
「えぇ、勿論。皆さん暖かかったです。ではまたどこかで。」|
去り際に錆びた金硬貨を門番に渡すと嬉しそうな声が聞こえた。良い表情をしているんだな、と思いながら朝日が登り始めた。
眩しい朝日を見ながら、旅袋を片手に広大な自然へと歩き始めた。
しばらく歩いた頃、流石に腹が減りどうしようかと辺りを見回していた。
ここからそう遠くないとこに家が数軒建っているのが見えた。あそこの小さな村に行こう。
美味しい食べ物を想像しながら歩いて行ったらすぐに着いた。
簡易な木の柵で囲まれた村には、畑を耕している人、井戸の水を組んでる人、屋台を準備している人など、とても活発な生活を送っているんだな、と感じることができた。
「お兄さん、ようこそ。キキエの村へ。」
「こんにちは、突然だけどお腹が空いているんだ。何か美味しいものはないかな?」
「ありますよ、こちらへどうぞ。」
若くて筋肉質な体つきをしている村人に案内され、屋台の前にたどり着いた。
「おじい!肉串焼いてくれ!」
「あいよ、うん?おぉ旅人のお方か。わしの特性肉串はうまいぞぉ。」
こちらもご老体には見えない筋肉質な老人が熱い炎の前で肉を焼いていた。
甘そうなタレの匂いと、ワイルドな肉塊の香ばしさ、これを今から食べれると思うと感動してきた。
「一本25銅貨だ。何本食べるかい?」
「では、5本ほどでお願いします。」
「旅のお方なんだし、体力つけて貰わねえといかんからほら、オマケで2本追加しとくわ。値段はおんなじだから安心しな。」
ハッハッハ、と笑いながら肉串を7本もいただいてしまった。ポッケから銀貨と銅貨を手に取りおじいさんに手渡した。
「うむ、ちょうどだ。元気でな旅の人よ!」
「お兄さん!頑張れ!(?)」
謎の応援を受け、出来立ての熱く、香ばしい匂いのする肉に食らいついた。
朝から食べるにはちと重い食事だったが、美味しいタレと肉のせいでペロリと完食してしまった。
旅袋に入れてある水を飲み、お腹がいっぱいになったので、村を出発した。
俺が今目指してるのは王都だ。今はまだ草や砂利だらけの道を歩いているが、そのうち整備された道が見えてくるはずだろう。お腹が満たされて元気になった俺はやや早歩きで進んで行った。