逃げたな?
「評価するならば、満点!といいたいけど、こいつらのせいで満点とは言えないな。」
あれだけあった料理を全部平らげてしまったビアーはお腹をさすりながら文句を言っていた。
食事中もビアーから殺気が放たれ続けていたので銀髪の男は一言も喋ることができずにいた。
「おーい、料理食べ終わったから。おーい。」
「...ぁかはっ!!はぁはぁはぁ。」
ビアーの殺気が収まり銀髪の男が呼吸を整えていた。
「なんで俺たちを見て犯罪者だと思ったのだ?」
「そ、それは、俺たち冒険者にはその顔が知れ渡っているからだ。」
「そういえばオーナーは俺の事件のこと知らなかったな。」
「俺の事件?......ま、まさか昼間のやつか!?」
「おまえは知っているのか。どうなってんだこの国は。」
知ってるやつと知らないやつで分かれたな。
冒険者には顔が知れ渡っているとか言ってたが、あの場には住民や警備員もいた。
あぁ、分かった。魔法だな。記憶でも消したのか、意図的に消されたのか。
「魔法か?それとも魔術か?」
俺の言葉に男は反応した。
魔術だな、魔法でそんなことができるのは聞いたことが無い。
となると相当な凄腕の者か、また二つ名持ちかだな。
考えていたらビアーが動いた。
「二ム。僕はそろそろ行くね。あとでなんか返すわ。食事感謝。」
そう言って、消えやがった。
あいつ、あのガキ、めんどうなことを自分からしておきながらこの場から逃げやがった。
微妙な空気になった。
「な、なぁおまえらは一体何なんだよ。」
「俺はあいつとは一緒じゃない。あっちからついてきたんだ。俺の目的は観光、ただそれだけだ。」
「は、はぁ?か、観光?」
「昼間の事件は俺が起こしたものだが、他の事はあっちから来た。俺は知らん。」
口元を紙で拭いていたら、ザッザッザと重そうな金属音が聞こえてきた。
音の鳴る方向を見て見ると、何十人の騎士団の人間がいた。
「いつもの生活よりも珍しいものが見れるな、今日は。」
「王都の観光か?良かったな王様との謁見だ。ついてこい。」
濃すぎる一日だな。王都に観光しに来たら、いろんな事に巻き込まれて、挙句の果てには王様に謁見ですか。
お腹いっぱいになって、身体が重くなって休んでいたのに。
騎士団の人が急かしていたので銀髪の男を無視して、ついていった。
あ、金払ってねえや。ま、いっか。




