再び
王都の城壁近くに何かが落ちた。
ものすごい速さで落ちたモノは、ぐしゃりと音を立てた。
「ぁあ、いてて。いててですんで良かった。」
グロテスクなモノと成った下半身を再生させて、何事もなかったかのように歩き始め再び長い列に並んだ。
近くで凄まじい音が聞こえたので、門番達は慌ててその現場に走っていった。
しかしそこには、若干へこんだ地面しかなく、何も無かった。
最初に会った門番とは違う人が手続きをすることになった。
再び質問をされ、簡単に答え、今は何も持っていなかったので荷物検査をされることなく、普通に入ることができた。
「さて、一日に二回もここを通ることになるとは。」
さきほど俺が、事件を起こして捕らえられたとこまでやってきた。
王都内で事件があったため、警備が多少増えている気がした。
犯人は捕らえられ無事に解決した、とでも思っているのか人達は油断しているのだろう。
なぜあんなことを起こしたのかというと、悪役の気持ちを味わってみたかったのだ。
ただ、それだけ。しかも刺殺事件とか言っているけど、俺は殺していない。
おそらくどこかの施設で治療を受けているはずだ。勝手に殺したことにされても困る。
それに俺は本当に、王都の観光をしにきたのだ。
王都の冒険者達、警備達、住人。騎士団、宮廷魔導士、闇市、王様。食べ物、特産物、娯楽。
知りたい。その一心で、ここに来た。
まぁ、二つ名持ちに出会ったのは偶然で、空術やビアーという少年、ザインというのを知れたのはうれしかった。深みとは本当に面白い。戦闘を好むものとして、大変貴重な経験になった。
「こんなとこでぼーっとして、どうしたのですか?」
道端で突っ立っていたので、心配され声をかけられてしまった。
「いえ、昼間ここであった事件、怖いなぁと思ってただけです。」
「事件?なにかあったのですか?」
ん?あれれ、なんで知らないんだ?
「気のせいですかね...。あぁ、そうでした。何か美味しいものを食べいたのですが、どこかいい場所知りませんか?」
気になるが、もうこんな時間だ。
泊まる場所も大事だが、昼間あれだけ動いたのだ。
お腹が減りすぎてやばい。
「運が良かったですね。私王都でレストランを経営している者です。見たところここの人ではありませんね?」
「えぇ、ではあなたのレストランで食事にします。」
「では、こちらへどうぞ。」
「連れもいるのですが、いいでしょうか?」
「えぇ、是非。」
俺は人気の少ない路地に入った。
周りに誰もいないことを確認し、名前を呼んだ。
「おい、ついてきてるんだろ?ビアー。」
「あ、ああ、あれ。ば、ばれてる?」
どこから現れたのかひょいっと少年が出てきた。
俺でもわからない、一体どこから出てきたのだ。
「どうせ、あそこから出た時から俺についてきたんだろ?」
「う、うん。」
「あと、その演技もいい加減やめたらどうだ?」
そう言ってやったら、震えていた少年がピタリと止まった。目までかかっていた前髪を横に流し、蒼い目が見えた。
「う、うぅん。あぁ、この演技には疲れていたんだ。ありがとう。」
「それで俺は今からご飯を食いに行くんだがお前もどうだ?」
「.........、これは驚いたよ。まさか僕を誘うなんてね。でも遠慮し...。」
どこからかお腹のすく音が聞こえてきた。
俺では無い。
ここには人もいない。
目の前を見ると、顔を赤くしながら俯いてるビアーがいた。
「ほんとにいいのか?今ならおごってやるぞ?」
「おごり...。ゴクリ。......一人で寂しそうだから一緒について行ってやるさ。」
食べたいなら正直に言えばいいのに、なぜ欲を隠すのだろうか。
よく分からないな。
ビアーを連れてさっきの場所まで戻った。
俺の身長の半分しかないビアーを見た、オーナーは
「まさか、お子さんですか?」
「違うわ!」
ビアーが大声で叫んだ。




