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化け物退治はお手のもの  作者: そばかす
酒呑童子編
2/3

弍 化け物退治

「聞いた?都で行方不明者が出たらしいわよ」


「やだ、確かこの間もじゃない?怖いわね…」


洗濯物を物干し竿に掛けていると、そんな話が津吉子の耳に入ってきた。

最近この街で行方不明者が多発しているらしい、近頃はその話題で持ち切りだった

勿論この話は津吉子も知っている。ここら辺の女性達は兎に角噂話が大好きなのだ

あっちからこっちからと、毎日新しい情報が入ってくる。一体どこでそんな話を仕入れてきたのか…と、毎度の事ながら思うのだった。


「しかも、居なくなったのは若い娘が多いみたいよ…」


「嘘…!うちの子にも気を付けるように言っておかないと」


洗濯物を干し終え家に入ろうとすると、また二人の話し声が聞こえた。

行方不明者は若い娘が多い。確かに最近津吉子くらいの娘をあまり見なくなった気がするが、それはこういう事だったのだろう。


(それじゃあ私も危ないのでは?)


少し考えて身震いした。外に出るのは控える事にしよう

まあ、少し考え過ぎかとも思うが念の為…というやつである。

家に入り戸を閉め、履物を脱ぎ床に腰掛けると、目の端に映るものにしっしっと払う仕草をした。

津吉子には他人には見えないものが見えてしまうのだった。それは所謂妖や妖怪と呼ばれるものだろう。


(…もしかしてそういう事か?)


払われたのに横でこちらをじっと見ている蛙もどきを見て、はっとした。この事件の謎が少し分かった気がしたのだ。

だが、確証はない。けれどこの辺りにはそういうものに詳しい専門家が居るではないか、あまりこういった事件には首を突っ込みたくないが、今回は違う。自分の安全の為と、少しの好奇心が彼女を動かしていた


思い立ったらすぐ行動、という言葉があるように津吉子は立ち上がると靴も履かずにあの人の元へと向かうのだった。

そう、陰陽師である安倍晴明の所に


「珍しいお客様だね」


津吉子の家と晴明様の邸宅はだいぶ離れている。その為徒歩で行くとなると結構な道程になってしまう、その事をすっかり忘れていた津吉子は肩で息をしながら自身の推理を話そうと口を開いた。


「最近都で行方不明者が出ているでしょう?私、それは鬼の仕業だと思います。」


「ほう?それはまた……理由は?」


津吉子の推理はこうだった。

大江山には古くから鬼が住んでいるという言い伝えがある。鬼は若い娘と金品を好みよく都へ降りてきては連れ去らうのだ。

それをどこかで聞いた覚えがあった、そして今回の事件と類似している。その為鬼の仕業だと考えたのだ。

そこまで話終わると、晴明様はお見事!といった様子で拍手を送った。


「いやあ、素晴らしい推理だ。貴方の言う通りこれは間違えなく鬼の仕業だろうね」


どうやら津吉子の読みは当たっていたらしい、だがそこで少し疑問に思った。

何故晴明様は鬼の仕業だと知っていて対処しないのだろうか、と。彼なりの考えがあるということなのか?津吉子の頭ではさっぱり理解が出来なかった。


(これは問うべきなのか…否か、でも私は陰陽師でもなんでもないからな)


伝えれることは全て伝えたので、後は晴明様に任せよう。と津吉子は邸宅を後にしようとした。

だが、彼は津吉子をこの後もまだこき使おうと思っているらしい。いや、もしかしたら少し自身に興味を持ってくれたのかもしれない

まあどちらにしても迷惑な話だが…晴明様は津吉子を引き止めた。


「貴方、陰陽師の仕事を手伝う気はあるかな?」


「……はい??」

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