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#4

□桜の並木道

  彪、バイクを押しながら、

彪「何のために走る、か」

  散っていく桜の花びらを見つめる。


□博多の森競技場・サブトラック(夕方)

  スタートブロックから飛び出すしなやかな足。振り上げた腕から飛び立つ汗。

  幸太が百mトラックを疾走していく。

  美幸、ゴールで幸太の走りを見ている。

  ぐんぐん迫りくる幸太、フィニッシュ。

幸太「ふぅー」

  腰に手をあて、ジョギングをする。

  美幸、ニコリとして、

美幸「調子良いみたいじゃない、幸太」

幸太「まだまだ、これからさ」

  振返り、はにかみ笑顔。


□福岡空港沿い道路(夕方)

  彪、バイクで走り抜ける。

  シューズ入れを肩にかけている。

  思い詰めるように目を細める彪。


□博多の森競技場・サブトラック(夕方)

  彪、駐輪所にバイクを止める。

  シューズ入れから使い古したスパイクを取り出す。

  彪、サブトラックを見つめる。


□彪の回想(同・サブトラック)

  歩萌、ストップウォッチを持って叫ぶ。

歩萌「もっと速くー」

  彪、百mトラックを疾走していく。

  歩萌、タイムを見て笑顔で、

歩萌「わぁ、すごいよ、彪!」

  彪、振り返り、満面の笑顔で拳を握る。


□回想戻って

  笑顔を失った彪、サブトラックを見つめてぼう然としている。

彪「……」

  そこに美幸、彪に気付いて、

美幸「あっ。おーい!(手を振る)」

  彪、美幸に気付く。

  近づく美幸、彪のスパイクに気付いて、

美幸「へぇー、陸上部だったんだ」

  彪、珍しげに見回る美幸に、

彪「……(視線をそらす)」

  美幸、唇をとがらせて、

美幸「もう、相変わらずなんだから」

  後ろから幸太がやって来て、

幸太「ネエちゃん、知り合い?」

美幸「うん、あの噂のナンパ男よ」

彪「なっ…」

幸太「あーあ、キミが」

彪「って、アンタ、何勝手に」

美幸「私はアンタじゃありません。春日美幸よ。これでも教師なんだから」

彪「教師…」

美幸「で、こっちが弟の幸太。あ、陸上やってるんなら、春日幸太を知らないわけ、ないわよね?」 

幸太「たく、ネェちゃん……」

美幸「いいじゃない、自慢の弟なんだから」

彪「…お前が、春日幸太」

  彪と幸太、向かい合う。

  幸太、彪のスパイクを見ながら、

幸太「随分と使い込んでるね。ね、僕と一緒に走ってみない?」

彪「…嫌だね」

  幸太、目を細めて、

幸太「クロサキアキラ……あ、そうか。ね、歩萌ちゃんさ、元気にしてる?」

彪「……!! なんでお前」

幸太「キミと僕、どっちが速いかな」

彪「……」

  ニヤリとする幸太に表情が硬くなる。


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