連続クエスト
「そー言えば、カンテール男爵夫人が何かを探しているって言ってたな。」
「猫、猫は何処だ!」
「知ってるか! カンテール男爵夫人が探している物を持ってくると何か貰えるらしいぞ!」
「カンテール男爵夫人のお屋敷はあの大きな建物だ。」
ちなみにこれらは全部違う人から聞いた話だ。どの人も繰り返し同じことを言うのは変わらなかったけどな(遠い目)
まぁ、話しをまとめてみると、カンテール男爵夫人がこの黒猫を探していて、黒猫をカンテール男爵夫人のところへ持っていけば何か貰えるってことらしい。
お屋敷の場所も分かったし、とりあえず行ってみることにした。
大きな門の前までやってきた。門の前には守衛が2人立っていた。
とりあえずあの人に話しかけてみよう。
「通れ!」
「えっ?」
俺が守衛の人に近づいただけで門を開けてくれた。普通、こういった場所って、要件を伺って、主人にそれの確認をして許可が下りてから開けてくれるものじゃないの?
……まぁ、開けてくれたんだし、良いんだろうな。知らんけど。
とりあえず問題無く入れるみたいなので進むことにした。
「それにしてもお金持ちってのは何を考えているんだろうな。」
何故なら、門から玄関までかなりの距離を歩かなくてはならないのだ。しかも道沿いにある土地には畑では無く短く刈った草ばかりで果物の木も無いんだぞ?
ハッキリ言って無駄としか言いようがない。俺の家なんか門自体無いんだぞ? すぐに家に入れる方がよっぽど良いと思うんだけどなぁ……
そんなことを考えているうちに玄関へと到着した。
バンッ!
「ミーちゃん!」
突然玄関の扉が開らかれ、少しふくよかな女性が飛びかかってきた。この人がカンテール男爵夫人なのだろうか。
あまりの勢いに少々ビックリしたが、連れてきた黒猫に向かってきていたみたいなのでその女性に猫を渡してあげた。
「ミーちゃん! ミーちゃん! ミーちゃん!!」
女性は黒猫を受け取ると、抱きしめて黒猫の名前を連呼していた。
何となくだが、黒猫が迷惑そうな顔をしてこっちを見ている気がするんだが……すまんな、俺にはどうすることも出来ないんだ。
少しして落ち着いたのか、カンテール男爵夫人がこちらを向いて話しかけてきた。
「あなたがミーちゃんを見つけてくれたのですね。」
「あ、はい。」
「……なるほど、裏路地で怪我をしていたところをあなたが助けてくれたのね。ありがとう。」
「えっ?」
一言も裏路地のことも、怪我のことも話してないのに何で知っているんだ?
「そんなあなたにお願いがあります。依頼を受けて頂けませんか?」
「えっと?」
すると、目の前にウィンドウが現れた。
******************************
特殊クエスト:黒猫の怪我の原因を調査せよ
黒猫が怪我をした原因を調べる
報酬:不明
経験値:2,000EXP
******************************
また特殊クエストだ。しかも経験値が結構高い!
『この調査依頼を受けますか? はい/いいえ』
う~ん、どうしよう……まぁ、調べるだけなら問題無いかな? 俺は「はい」を押すことにした。
「ありがとうございます。では、こちらを受け取ってください。」
カンテール男爵夫人がそう言ったのだけど何もくれないんだが……はっ! そうか!!
俺はストレージの中身を確認してみることにした。
「えっ!? こ、こんなに!?」
どうやら頂いたのは、金貨が1枚と通行証が1枚だった。
「一気に大金持ちになってしまった……」
「では、頼みましたよ。」
カンテール男爵夫人はそう言うと、屋敷の中へと入って行った。どうやら話は終わりみたいだ。
此処に居ても仕方がないので、俺はこの場から去ることにした。
門の外へ出ると、門番は何も言わずに門を閉めたのだった。
「さて、原因を探しに行くとしますかね。」
俺はまずは黒猫を見つけた場所へと行ってみることにした。




