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ゾンビ


街を出て少し歩くと霧が出てきた。しかも昼間なのに薄暗くて気味が悪い感じだ。



「エクス、まだ着かないのか?」


「もうすぐだ……って、ほら着いたぞ。」



そこに錆びた鉄の柵に囲まれた広大な場所だった。柵の中には墓石がランダムに並んでいた。



「不気味な所だな。ところでゾンビとやらは何処に居るんだ?」


「そこの門を入ると出てくるぞ。一応入る前に言っておくが、ケインは確かステータスを平均的に上げてたよな。ならVITもそこそこ高いし攻撃を食らっても問題無いだろう。

 もし攻撃を食らったらゾンビから離れて回復を優先してくれ。その間は俺が代わりに引き受けよう。」


「わかった。」


「……ふと思ったんだが、ケインのその服は何だ? 防具はどうした?」


「これしか持ってないが?」


「……まぁ、1撃で死ぬことは無いだろう。よし入るぞ!」



何か呆れられた気もしなくも無かったが、俺とエクスは、墓場の門をくぐった。

すると、地の底から何かの叫び声が聞こえ始め、あちこちの土が盛り上がってきた。」



「来たぞ!」



エクスの声と同時に、土の中から半分腐った死体が飛び出してきた。



「うおっ! 本当に死体が動いている! しかもかなり臭せぇ!」


「いや、匂いなんかしないだろ? ……ってするのか?」


「当たり前だろ! 何でこの匂いの中で平気なんだよ!」


「そりゃ、そんな設定は無いからな。と言うか臭くて動けなくなったらゲームにならないからだと思う。」


「意味わかんねー! 何で俺だけなんだよ!」


「まぁ、匂いで死ぬことは有るまい。ほれ頑張れ!」


「他人事だと思って……くそっ!」



俺はショートソードを構えると、ゾンビへと切りかかった。


ザシュ!



「おぉぉぉぉぉ……」



俺の攻撃は無かったかの様な感じで全くひるむことが無かった。



「痛覚も無いのかよ! って危ねっ!」



ブォン!


ゾンビの攻撃を避けた。確かに力は強そうだが、大振りで動きも遅い。これなら問題なさそうだ。



「ほらほら、さっさと倒さないと、どんどん集まってくるぞ~!」



エクスはニヤニヤと俺のことを見ていた。腹立つな~!

でも、確かにエクスの言う通りだ。俺は引き続きゾンビへと攻撃を仕掛けるのだった。

ゾンビは4回攻撃を食らわせると倒すことが出来た。

だが、息をつく暇もなく、次のゾンビに襲われるのだった。




・・・・




「あぁ~~!! 次から次へとうっとおしい!!」



あれから何体のゾンビを倒したのだろうか。20体からは数えるのは止めた。匂いについてはすでに麻痺したのか慣れてしまった。

幸いなことにこの世界だと、どれだけ動いても肉体的には疲れることは無いのだが、精神的には疲れてきたな。



ドカッ!



「くぅ!」



集中力が切れたせいで、とうとうゾンビの攻撃を食らってしまった。1回の攻撃で、HPが4分の1も減ってしまったので、本当に力が強いみたいだ。



「ほれ、休憩ついでにHPを回復しとけ。」


「すまん。」



エクスが助っ人に入ってくれたので、有難く休ませてもらうことにした。

それにして、エクスが戦うとゾンビも1撃なんだな。余裕でバッサバッサとゾンビを倒していた。強い!



「なぁ、エクスってレベル幾つなんだ?」



ゾンビに囲まれる前に倒しており、余裕そうにも見えたので、質問してみることにした。



「俺か? 俺は今34だな。」


「俺の3倍近くもあるのか。そりゃ強いわな。」


「それもあるが、俺の場合は攻撃特化なところもあるしな。ゾンビ程度なら素手でも1撃だぞ?」


「そりゃ凄い。」



するとエクスは武器をしまうと、素手でゾンビを殴りだした。本当に1撃で倒してら。よくもまぁ素手で触れるもんだ。ある意味感心だな。

とりあえず先ほどエクスが言ったとおりなら、ステータスはほぼSTRにポイントを振っているってことか。

なるほど、確かに高レベルの割には俺とたいして速度が変わらない訳だ。

とりあえずHPは回復したが、精神的な疲れがまだ残っていたので、もう少し休ませて貰おう。



「おっと!」



エクスがゾンビの攻撃を受けた……が、ダメージを受けた様子は無かった。



「エクスって俺と大してVITの数値って変わらないんだよな? 何でダメージを受けないんだ?」


「そりゃぁ、ちゃんとした防具と布の服の差だろ。」


「確かに。」



エクスが着ているのは何かの金属で出来た鎧だ。そして俺は普通の布の服だ。そりゃ誰が見たってダメージに差が出るよな。

さて、十分休めたことだし、交代するとしますか。



「エクス、そろそろ良いぞ。」


「そうか? じゃあ代わるか。」



俺は、エクスと交代して再びゾンビを狩り始めることにした。

そして1体を倒したところで、足元から光が輝いた。久々にレベルアップしたな。



「おっ、上がったか。」


「なんとかな。」


「パラメータを振るんだったら代わるぞ?」


「いや、たいして変わらないだろうか後で構わない。」


「そうか、引き続き頑張れよ!」


「おう!」



エクスの声援を受け、俺は再びゾンビを狩るのだった。


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