MMORPGとは
あまりりすさんの居る場所は今いる場所の近くだったので、すぐに会うことが出来た。
「あまりりすさん、こんにちはです。」
「こんにちは~」
「さっそく初級HPポーションを買いに来ました。」
「どぞどぞ~、他にも売ってるから見て行って下さいね~」
さっそく売り物を見せてもらうことにした。
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クエスト用
・ホーンラビット肉 44L ×15
・ホーンラビット角 55L ×4
・ホーンラビット皮 33L ×20
・薬草 15L ×24
・スライム魔石 25L ×8
・初級HPポーション 110L ×12
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どうやら売っている物は前回と同じみたいだ。
とりあえず初級HPポーションを10個程買っておくことにした。
「まいど~」
「こちらこそ売っていただきありがとうございます。」
「そんなに丁寧に言われると、ちょっと照れますね~
こっちも商売なので気にしないで大丈夫ですよ~」
「そうですか?」
「そうですよ~」
「まあ良いか。それより少し聞いても良いですか?」
「どうしたの?」
「あまりりすさんが売っているのって、ウィンドウにも書かれている通りにクエスト用ですよね? 何で自分で使わないんですか?」
一応、クエストの金額よりは稼げるみたいだけど、レベルも上がるだろうから使った方が良いと思うんだけどな。
「あ~それはですねぇ~、私がそのクエストを行っても大した経験値にもならないからですね~
後は、初心者を助けるってのも有りますが、単なる暇つぶしですかね~」
「暇つぶし?」
「普段、必死に狩をしていると、ふと、こうしてのんびりとしたくなる時が有るんですよ。」
「あれ? この前もここに居ましたよね?」
「あはは~、本当にたまたまなのですよ~
だからある意味ケイン君は運が良いのかもしれませんね~」
「そうなんですか。」
「はい。そろそろイベントも近いですし、本格的に狩りに戻ろうと思ってたので、明日辺りからは連絡が付かなくなるかもしれませんね~」
「メッセを送っても駄目なんですか?」
「メッセはログインしてないと届かないかな~、このキャラはサブキャラだからね。もし連絡を取りたいときはオフラインでの個人のメールやSNSとかになりますね~」
「メール? SNS? それって何ですか?」
「いや、何の冗談を言っているのさ……ってマジ? 本当に知らないの?」
「はい。」
「今時そんな人っているんだ……いったいどこの秘境に住んでるのよ。」
「失礼な! 俺が済んでいるのは、大陸の中心にもなっているルナン王国だぞ! まぁ、その片田舎だけどさ……(ボソッ)」
「何それ、どこのゲームの中の話よ、もしかしてそういうロールプレイなの? 駄目とは言わないけど、そういう人ってお友達になりたくないと言うか、正直苦手なんだけど。」
「中二病? 俺は元気だぞ! それにホントのことだし……あーそう言えば、ましろも同じこと言ってたし、似たような様な反応をしていたな。」
「ましろってのが誰なのかは分からないけど、その子は何て言ってたのよ。」
「確か異世界がどうのとかって言ってたな。詳しくは忘れたけど。」
「異世界!? ネタじゃなくて? 真面目に言ってる!?」
「本当のことだぞ。」
俺はこれまでのことを、あまりりすさんに話すことにした。
「……もう一度確認するけど、それって本当のことなのよね?」
「もちろんだ。」
俺はあまりりすさんに今までのことを説明するのだった。
「『MMORPG』のスキルねぇ~、確かにこのゲームはMMORPGだけどさ。」
「そーいえば、MMORPGってどういう意味なんだ?」
「大規模多人数同時参加型オンラインRPG、Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameのことで、その頭文字を取ってMMORPGってことよ。」
「へ、へぇ、そうなんだ。」
今一つ意味はよく分からないが、多人数で何かをするってことだけは分かった。そうすると俺と同じスキルを持っている人が居るならば、もしかしてこの世界に居るのかな?
「まっ、ここまで無知で、知らないフリをしているって感じでも無さそうだし、さすがにロールプレイじゃないでしょうね。とりあえずは信じてあげる。」
「信じるも何も本当のことだし。」
「はいはい。だったら何か証拠を見せなさいよ。」
「……今はそういった物は無いな。今度何か有ったら証明してやる。」
「楽しみにしているわ。」
「そう言えば、途中から変わったが、その口調が素なのか?」
「……そんなこと無いですよ~、と言うかケインさんも言葉遣い変わってますよ~」
「……まあいいけどね。」
もうあまりりすさんにも普通に話し方で良いや。あの話し方はあまり得意じゃないしな。
「じゃあ、そろそろ帰るわ。」
「はい~、またのご利用をお待ちしております~」
俺はログアウトするのだった。




