宝石
冒険者ギルドへと到着した。相変わらずいつ来ても、ここは人が多いな。実際の冒険者ギルドもこんな感じなのだろうか……
とりあえず角の依頼が2回分、毛皮の依頼が4回分持っていたので、依頼を受けることにした。
「今日は全然レベルが上がらなかったな。」
昨日まではそれなりにレベルが上がっていたのだが、今日はまだ1つも上がっていなかった。
詳しくは分からないが、強くなるにつれて上がりにくくなるのだろうか。
ステータスを振ることで強くなっていく実感が好きだったのだが、こればっかりはしょうがないか。
さて、今日はそろそろお終いにして帰ろうかな。
いや、さっきの戦闘で思ったことを忘れるところだった。HPポーションは買っておかなければならない。
露天へ行けば売っているかな? とりあえず行ってみることにした。
露天に到着した。この前来たときはじっくりと見てなかったけど、今日は色々と見て回っても良いかもしれない。
この前あまりりすさんに教えて貰った頭の上にあるウィンドウを眺めてみる。
確かにこうして売っている物が書かれていると、分かりやすくて良いよな。
色々と興味も有ったので、手前にある露店から順番に見ていくことにした。
「初級宝石か。これってプレゼント用なのかな?」
1個1000Lだ。大銅貨1枚分だとすると安すぎるか。初級宝石と書いてあるし、もしかして小さいのか?
俺も詳しくは知らないのだが、宝石と言うと貴族様が身を飾るために使うらしく、少なく見ても金貨数枚はしたハズだ。
それが1000Lで買えるとなると……大銅貨1枚か。転売したら大金持ちになれるのかもしれない。
「よし、1個買ってみるか。」
俺は初級宝石を1個買ってみることにした。
ストレージを確認すると、初級宝石が1つ入っているのを確認できた。取り出して手に取ってみると、親指と人差し指で輪っかを作った大きさの青い球だった。
「う~ん、宝石と言うには輝いてもいないし、どっちかと言うと青い球にしか見えないな。」
これを売ったらどのくらいの値段で売れるのだろうか……単なる石と判断されたら、良いとこ銅貨1枚にしかならないのかもしれない。
もしかして、やっちゃったか!? ……いや、普通に露店で売っているってことだし、それなりに価値が有って、何かに使える用途が有るに違いない。
「そうだ!」
こういう時は、商人でもあったあまりりすさんにでも聞いてみよう。
俺は早速メッセを送ってみることにした。
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ケイン 『あまりりすさん、ちょっとお聞きしたいことが有るのですが、宜しいでしょうか?』
あまりりす『あら、この前のお客さんですよね? どうかしましたか~?』
ケイン 『実は青い宝石のことでちょっと。』
あまりりす『おー! ケインさんはもうダンジョンに行ける様になったのですね~』
ケイン 『ダンジョンには行ってませんよ。露店で売ってたので、これがどんなのか聞いてみたんです。』
あまりりす『なるほど、そう言うことでしたか~』
ケイン 『はい。』
あまりりす『青い宝石、初級宝石のことですけれど、武器のレベルアップに使う物ですよ~』
ケイン 『武器もレベルが上がるんですか?』
あまりりす『もちろん、鍛冶屋で上げて貰えますよ~』
ケイン 『そうなんですね。上がるとどうなるんですか?』
あまりりす『レベルを1つ上げるごとにATKが10上がりますよ~』
ケイン 『それは凄いです!』
あまりりす『ただし、レベルアップに失敗すると武器が壊れるから気を付けください~』
ケイン 『えっ? 壊れっちゃうことも有るんですか?』
あまりりす『5までは問題なく上げられますけど、そこからは上がるたびに壊れる確率が下がるんですよ~』
ケイン 『ちなみに、壊れるとどうなるんですか?』
あまりりす『もちろんその武器は無くなりますね~。だからレベルアップさせるときは、予備の武器を用意してからやると良いですよ~』
ケイン 『わかりました。色々教えて頂き助かりました。ありがとござます。』
あまりりす『いえいえ~、今度は買い物にも来てくださいね~』
ケイン 『はい。是非! ……っと、あまりりすさん、初級HPポーションって扱ってましたよね?』
あまりりす『もちろん有りますよ~』
ケイン 『買いに行きたいのですが、今どこで売ってますか?』
あまりりす『この前と同じ場所で売ってますよ~』
ケイン 『すぐに向かいます。』
あまりりす『りょ~!』
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ウィンドウを閉じた俺は、あまりりすさんの所へと向かうことにした。




