BOT
目を覚ますと冒険者ギルドの中だった。
「そーいや、ここでログアウトしたんだっけ。」
とりあえず周りを見渡してみる。ましろさんも、エクスさんも見当たらなかった。
仕方がない、とりあえず掲示板でも確認してみることにしよう。
どんな依頼が有るかな……
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ホーンラビットの毛皮の収集
ホーンラビットの毛皮を5枚集める
報酬:銅貨1枚
経験値:70EXP
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ホーンラビット肉の買取り
ホーンラビットの肉を5個集める
報酬:銅貨2枚
経験値:100EXP
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ホーンラビットの角の買取り
ホーンラビットの角を5個集める
報酬:銅貨2枚、大鉄貨5枚
経験値:125EXP
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ホーンラビット関係の依頼で探してみたら3種類もあった。
ホーンラビットの角の買取り依頼の報酬がやたらと高いが、昨日10匹も狩ったのに2個しか落とさなかったことから考えると、これで妥当なのかもしれない。
それにしてもこの依頼主って、角なんか集めてどうするんだろうな。まぁ、俺の知ったことじゃ無いか。
とりあえず手持ちに、ホーンラビットの毛皮が5枚あったので、依頼を報告しておいた。
「さて、今日もホーンラビットを狩りに行ってこよう。」
最低でも1匹分のお肉は確保しておきたい。頑張って狩りに行くことにした。
・・・・
ザシュ!
「これで……やっと10匹目か。」
慣れたことで、ホーンラビットを倒すことに関しては楽にはなったが、そのホーンラビットを見つけるのに苦労していた。
なので、10匹を探すのにかなりの時間を要していたのだ。
「他の人って、どうやって見つけているんだろう?」
ちなみに俺の探し方は、前にロンドさんから聞いた狩りのやり方だ。自分の気配を消して辺りに注意しながら身を隠しつつ、ゆっくりと移動して獲物の痕跡を探す方法だ。
ただ残念なことに、俺の注意力が足りないのか、技術が無いのかは分からないが、ホーンラビットの足跡やら、痕跡を探せないため、視覚による発見が主なやり方だった。
まぁ、それでも攻撃する前にバレてばかりなんだけどね……もっと精進せねば。
その時、向こうの方から1人の弓士がやってきた。
その弓士は隠れると言うことを一切行わず、草むらが有ろうと関係なく、辺り一面走りまくっていた。
「何やってるんだよ、あれじゃ敵に気づかれて逃げられるじゃねーか。」
折角の狩場を邪魔されて、少し腹を立てて愚痴っていたら。
草むらに隠れていたホーンラビットを見つけたみたいだ。すぐさまホーンラビットに近づいて行き、弓を射てあっさりと倒してしまった。
「なるほど、別に見つけられても逃げる前に倒しちゃえば良いのか。そう考えると遠距離攻撃が出来る弓って良いのかもしれない。」
俺がそのことに関心していると、近くの草むらで草が擦れた音がした。獲物か!?
用心しながら草むらへと近づくと、草むらからホーンラビットが現れた。チャンス!
俺は、剣を構えると、ホーンラビットへ向けて切りかかった!
パシッ!
切りかかる瞬間、目の前のホーンラビットに矢が刺さり、そのままホーンラビットは倒されてしまった。
「なっ!」
どうやらさっきの弓士の人の仕業だったみたいだ。獲物を横取りされて少々腹が立ったが、倒したのは向こうだし、落ちている毛皮を拾って渡してやるとするか。
スカッ!
屈んで毛皮を拾おうとしたのだが、手は毛皮をすり抜けたのだった。あれ? この感覚、どこかで……?
その時、弓士の人が近づいて来て、有無も言わさず毛皮を拾うと、また走って離れていく。
「ちょっと待てよ!」
声を掛けてみたが、その弓士は何も答えずに、そのまま走り去っていった。
「何なんだ、アレ……」
あまりの出来事に、開いた口が塞がらなかったが、変な人に出会ってしまっただけだと納得して忘れることにした。
「まあいいや、次だ次!」
気持ちを切り替えて狩の続きをすることにした。




