報告
目が覚めたので起きることにする。
「今日も1日頑張ろう。」
昨日の疲れが残ってなくて気分がすっきりだ。今日も元気だなと感じてふと思った。
「そーいや、俺って全然寝てないよな。何で元気なんだ?」
嵐の日なんかだと、夜中に畑を見に行ったり、家の雨漏りを直したりで徹夜をするときが有るが、1日だけならまだしも、2日も続けば体はだるくて疲れてくるし、頭も働かない。それなのに、すでに3日ほど寝てない……一応ベッドには入って寝ることはするが、その後すぐに向こうの世界で目覚めて活動しているので、ほぼ寝ていないと言っても良いだろう。
「う~ん……まあ良いか。」
特に体に不都合らしき症状も出て無いし、今のところ問題も無いだろう。逆に人の2倍を活動できると考えられるのならば有難いと思うことにした。
「さて、朝食を食べに行こうか。」
俺はベットから降りて台所へと向かう。
「母さん、おはよう。」
「おはよう。もう朝ご飯は出来てるわよ。」
すでにテーブルには朝食が並んでいたので、席に着くことにした。
「「いただきます。」」
今日も黒パンに豆のスープ……いや、お肉入りだ! 後、柑橘類の果物が1品追加されていた。
「母さん、これは?」
俺が果物を指さすと、母さんが嬉しそうに言った。
「昨日、ジャックのお母さんにお肉のお裾分けに行くって言ったでしょ? その時のお礼に貰ったのよ。」
「そうなんだ。あれ? でも母さんの分は?」
「昨日のお肉はケインが取ってきた物でしょ? だったらそれはケインの分よ。」
「だったら、こうしようよ。」
俺は果物を半分にすると、母さんへと渡す。
「ほら、こういった物は、一緒に食べるからこそ美味しいんだよ。」
「あら、貰っちゃっても良いの?」
「もちろん!」
「ありがとうね。」
母さんは嬉しそうに果物を受け取ってくれた。
朝食も終わったので畑仕事に向かうことにする。
「っと、その前に、母さんこれ渡しておくね。」
俺は、昨日狩ったホーンラビットの肉3匹分を母さんへと渡す。
「昨日も1匹貰ったのに、また今日も持ってきてくれたの? しかも3匹も!」
「これからは、この程度だったら、いくらでも持ってこれると思うよ。」
「そうなのね。」
「もし母さんが、この肉を使って何か商売をしたいって言うなら、定期的に持ってくることも出来るけど?」
「それは遠慮しておくわ。」
「そっか。」
「じゃあこのお肉は、家で必要な分を取ったら、後はご近所さんに配っちゃうわね。」
「うん。その辺は全部母さんに任せるね。じゃあ俺は畑に行ってくよ。」
「はい。行ってらっしゃい。」
家を出た俺は、畑を目指して歩くのだった。
あっという間に畑に到着したのだが、すでにジャックは畑仕事を開始していた。
「すまん。遅れたか?」
「いや、俺が先に来て勝手に始めていただけだ。」
「どうしてまた。」
「ケインと同じ時間で終わらせるには、早く始めないと終わらないからな。
それに、昨日はやたらと旨い肉を食ったから力も気力も十分だしな。あの肉、ケインがくれたんだろ? ありがとな。」
「なに、ちょっとばかり伝手が有ったからな。今日も多分食べられると思うぞ?」
「本当か!? それは楽しみだな。
なら、さっさと終わらせて早く帰らないとな。」
「だな。」
俺たちは畑仕事を頑張るのだった。
同じくらいの時間に終わったのは、やっぱり肉が食いたかったからだろうか。
「じゃあ、帰るとするか。」
「そうそう、忘れた。」
「どうした?」
「俺、冒険者になるのやっぱり辞めるわ。」
「何でまた。」
「今の生活でも十分に満足出来るのが分かったからな。無理して冒険者をする必要がなくなったって訳だ。」
「ふ~ん。まあいいけどな。
まぁ、俺的にも別の知らない人と一緒に畑仕事をするよりかは、昔なじみのケインとやる方が気楽だしな。」
「そう言うことで、これからもよろしくな。」
「ああ。」
「じゃあ、帰るか。」
しっかりと今後のことも話したし、これでスッキリしたな。
俺は家路に着くのだった。
・・・・
「ただいま。」
「お帰りなさい。ケイン。」
扉を開けて挨拶をすると、昨日も嗅いだ良い匂いが漂ってきた。きょうの夕食も期待できそうだ。
手を洗って台所へと向かう。テーブルにに着いて夕食が運ばれてくるのを待つ。
「あらあら、そんなに待ち遠しかったの?」
「あんな匂いを嗅がされたら待てないよ!」
「うふふっ、気持ちは分からなくも無いけどね。」
母さんがにこやかに夕食を持ってやってきて、次々と配膳されていく。
「こ、これは!?」
「どう? 凄いでしょ~♪」
何と今日の夕食は、黒パンに、野菜と肉がゴロゴロと入ったスープとステーキだった。そして赤い実の果物も置いてあったのだ。
「どうしたんだよ、これ!」
「えっとね、お肉をあちこちに配ったら、お礼にって貰ったのよ。」
「すげー!!」
「ほら、冷めないうちに食べましょう。」
「うん!」
俺達親子は、豪華な夕食を堪能したのだった。今日も耐えられなくてステーキを先に食べてしまったが、スープも美味しかったので満足だった。黒パンだけはいつもと変わらなかったとだけ言っておく。
「はぁ~、旨かったぁ~!」
「本当にね。」
今は、食後のお茶を飲みながら、果物を食べつつ団らんしている。
「これも旨いな。」
「甘くて美味しいわね。こんなにも良い思いをして良いのからしら。」
「良いんじゃない? これからも沢山お肉とか美味しい物持ってこれると思うしね。」
「無茶なこととかはしてないわよね?」
「信じてくれとしか言えないが、してないよ。」
「なら良いけど、絶対無茶したら駄目だからね。」
「はいはい。」
少々口うるさいが、こうして心配してくれるってのは有難いことなんだろうな。
うん。無茶なことはしないで、頑張るぞ!




