ステ振り
「じゃあケイン君は、こっちの世界でお金を稼ぐためにも最強を目指すんだ。」
「最強か……なれるのかな。」
「まぁレア次第ではあるけど、しっかりとしたステータスがものを言うかな。」
「ステータスなら、かなり悩んだけど、満足行くステータスに出来たと思うよ。」
「ほほう? 同じ最強を目指す俺が評価してあげよう。どんなステ振りしたんだ?」
「どのステータスも必要な物だろ? だから全部同じ様になるように上げたんだ。凄いだろう!」
「「あっ……」」
突然2人とも可哀そうな目で俺をみていた。失礼な人達だな。
「何だよ!」
「まぁーその、つまりだな。ケインが言ったとおりに上げると、ある程度までは問題無いけど、上級ダンジョンとか、ボス戦とかにはちょっとばかりキツイかな~って。」
「こうなったらキャラを作り直す方が良いかもね。」
「作り直すって、もう一度ステータスを新しく振りなおせるのか?」
「そうよ、キャラ選択画面で、作り直したいキャラを一度削除してから、新しいキャラを作り直せば……って、ケイン君の場合、キャラって消せるの?」
「キャラ選択画面と言うの自体が良く分からない。」
「えっと……」
「なぁ、もしかしてだが、消すってことは死ぬってことになるのか?」
「「・・・・」」
おい! 2人もそこで黙り込まないでくれ!!
「ま、まぁ、今はまだレベル12だろ? まだ全然取り返せるって!」
「そ、そうね。全然大丈夫よ。うん。」
そうは言ってくれたが、そう言うくらいなら、2人とも俺から目を逸らさないでくれませんか?
どうやら俺は、ステータスの上げ方を間違ったらしい。しかもやり直しが出来ないとのことだった。なんてこった……
「まあ良いか。それなりに稼げるくらいに強くなれるのならば、それで良いしな。」
俺がそう言うと、2人とも安心したみたいだ。
「それでどうする? 一応、俺が知ってる最強のステ振りだったら教えてやれるが。」
「あら? この前び仕様変更で文句を言ってたのは誰かしら?」
「うぐっ!」
「いやいいよ。俺はこのまま自分が思った通りに行こうと思う。」
「そっか。まぁ、楽しみ方は人それぞれだしな。」
「そう言ってくれると助かる。」
とりあえずこの話はここで終わらせた方が良いだろう。
「ところで、ケイン君はこれから何か用事でも有るの?」
「いや、特に無いけど、どうしたんだ?」
「折角だし、異世界のこと色々知りたいなって思ってさ。」
「構わないけど、たいして面白い話は無いぞ?」
「それでも良いから教えてよ。」
「わかった。そっちも教えてくれるなら良いぞ。」
「やったね! じゃあケイン君からね。」
「じゃあ、普段の生活からな。」
俺は自分の周りのことから話し始めることにした。俺自体もたいして楽しいと思わなかった畑仕事は大した興味を示さなかったが、成人の儀式はすごく興味を持たれたのには驚いた。やっぱりスキルや魔法が無い世界からすると、かなり興味がそそられるみたいだ。
逆に俺も向こうの話を聞いたのだが、鉄の塊が空を飛んだりとか、馬のない馬車が走ったり、夜でも明るい石造りの高い建物が有ったりと、正直に言うと、そっちの方がよっぽど面白いと思う。
「今日は楽しかったぜ。」
「うんうん。正に異世界って感じだったね。普段の生活はアレだけど……」
「俺も、知らないことを知れて楽しかったよ。」
「さて、明日も学校有るし、そろそろ落ちるね。」
「俺も明日は午前から大学の講義取ってるし、落ちるわ。」
「じゃあ、俺も帰るわ。」
「次は一緒に冒険しようよ。」
「だな。俺も行くぜ。」
「分かった。」
「っと、その前にフレ登録しちゃうね。」
「俺も。」
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俺は両方とも「はい」を押した。
「ありりん。じゃーねー!」
「サンキューな。またな。」
登録が済んだことで2人とも消えていった。
「なるほど、ログアウトするとあんな感じになるんだな。
さてと、俺も帰るとしますか。」
メニューを開くと、ログオフを押したのだった。




